情報
何日か情報収集のために動き回った。
その中でユキの救出に希望の持てる情報が一つだけあった。
それはユキの捕まったあのグラウンドで、月に一回行われる囚人たちの運動。
そして明後日が今月の、その日にあたる。
グラウンドには柵があり俺たちはあの日、その柵の僅かな隙間から忍び込んで愛を語りあっていた。
普段なら、奴らの追跡など簡単にかわせるのだが、あの日は一カ所しかない出入り口が災いした。
もしも情報通り明後日、あの場所にユキが来たらどうする?
奴等に見つからずに柵の隙間から中に侵入できたとして、見つからずにユキに近づくことはできるのか?
運良くユキに近づけたとして、どうやって出る?
袋小路のグラウンドの中、奴らに出口を抑えられたら二人とも捕らえられるしかない。
脱走は”死”
そう。
そうなれば俺は捕獲され、ユキには脱走罪として死が与えられる。
失敗は許されない。
だからと言って、この機会を逃すわけにもいかない。
なぜなら捕獲された我々の仲間には、命の期限が与えられるから。
捕えられた、その瞬間から命のカウントダウンが始まる。
奴らに従順であれ!
奴らの言うことを覚えろ!
そして、奴らの奴隷になれ!
条件を満たし、さらに買い手に気に入られたものだけが生き残るチャンスを得る。
保証ではない。
与えられるのはチャンスだけ。
奴らの気分次第で、再び収容所に送り戻された仲間も何人もいる。
そういう仲間たちは、いかに奴隷として良い評価をされようとも高齢と言うだけで、もう過酷な労働には耐えることができないと判断され処分される。
処分。
俺たちの命は、奴らによって”処分”されるのだ。




