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お参り

 久し振りに表に出ると、何もなかったかのように人は流れている。


「久しぶり!」


 と、声を掛けてくれる人の中には、いなくなったユキのことを心配してくれる人も何人かいた。


 そのなかで、一人の女が俺にヒントをくれた。


「ここのお寺のご利益は”縁結び”だから、お参りすれば屹度また会えるよ。いってみる?」


 俺は目の前にある山門を潜って女と一緒に境内に入った。


 賽銭箱に女が小銭を投げ入れたあと俺のほうに振り向き「あなたの分も入れておくね」と、続けて小銭を投げ入れた。


 そう。俺たちは政府の発行する通貨を使用する権利を剝奪されているから、小銭すら持っていない。


 もちろん貯金通帳やキャッシュカードも作れない。


「ユキに、また会えますように」


 なんか七夕の短冊に書くような幼稚な願い事になった。


「じゃぁまたね!」


 女は俺に手を振って去って行く。


 あっさりしたものだ。


 特権階級の奴らは、俺たちに好意的でも長い時間関わる人はいない。


 それは俺たちが違法に暮らしているからだ。


 結局は面倒なことに巻き込まれたくないのだろう。


 政府は俺たちの存在を認めていないのだから。


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