奴隷市
それからというもの、ユキは以前の明るさを取り戻し、奴らの指示にも従順に従うようになった。
ただし、これには条件がひとつ付け加えられた。
それは、俺のいるときだけ。
惚れた女に、そこまでされちゃあ男冥利に尽きるものだが、逆に俺の居ない所では以前ほどではないにしろ不機嫌になる。
そのことが俺は不安でたまらない。
それはユキの牢が崖っぷちポジションだから。
しかし、ユキが良い方に変わったことにより刑の執行は延び延びとなり、あれから四回目の奴隷市が開かれた。
過去三回、ユキはいつもの明るさを消すように用心深く振る舞っていた。
その姿は、奴らにとって神経質で扱い難く映る。
牢に叩き込まれている以上、俺たちはタダメシ喰いだ。
何度も買い手から見放さる行動をとっているユキが心配になる。
しかし四回目のこの日のユキは違った。
相手に良い所を見せるための見本市なのに、なんと俺に懐いて来る。
「おい。人前でイチャイチャする奴があるか」
俺がいくら注意しても「だって、もう死ぬかも知れないんだから好いじゃない」
なんて甘く色っぽく囁いてきて、俺の理性も飛びそうになる。
周りから見ればバカップルそのものだ。




