計画
ユキに近づく機会をうかがっていた。
模範囚として過ごし、奴隷になる道など俺は望んでもいない。
その先に“死”が有るのは分かっていても、何とかユキだけは助けたい。
捕らえられ、牢屋に放り込まれてから五日目。
ずっとチャンスのある時間と場所、それにタイミングを探っていた。
唐突に見つけたチャンスと思える場面も有ったが、それはホンの一時的なものに過ぎず、もしそこで行動を起こしたとしても一瞬で捕まるのがオチだ。
ユキを助けるためには、もう少し時間が居る。
生きて行くことの大切さを説き伏せる時間。
ユキに生きていてもらいたいと願う気持ちを伝える時間。
俺たちの行動は、予め決められた時間割通りに事務的に進められることが、この四日間で分かった。
その中で、最も可能性のあるのは、昼前にある散歩の時間。
仲間同士の喧嘩を避けて、間隔を置いての監視付き沿いでの散歩だけど、その時間だけは未熟な監視役も動員されて俺たち全員が外に出る。
順番は牢屋の並び順。
俺が牢から外に出されたときには、先頭にいるユキの姿は見えないけれど、中間点手前の小高い丘に登ったところで、丘の下の道を歩くユキとすれ違う。
ここが、最もユキと近くなる場所で、背の高い監視役を上から襲える唯一の場所だ。
チャンスは一度だけ。
失敗は許されない。




