俺
「堺部、堺部 仁導さんはいますかー。」
受付の人が呼んでいる。
歩きだそうとした俺の袖をあいつはつかんで引き止めてきた。
「おい、なんだよ。」
「そのですね~、あのですね~、エットですね~。」
?顔を赤くしてまだ恥ずかしがるならさっさと離してくれないかね、キミ。こっちも恥ずかしいから。
「仁、行っちゃ嫌なのですよ~。」
いや、子供かッッッ!!って、突っ込みたくなる衝動を抑えつつ、ここは冷静に対処しなければ。
「大丈夫だよ。ここは家からも近いし、時々ならよってやれるから。」
その言葉を聞いて、あいつはうーんと唸ったあと。頭のうえにアイデアマークが飛び出したような顔をした。
「仁~、私も退院するので~仁について行きたいです~。ちょっと病室で待っていてください~。」
「ちょっとってどのぐらいだ?」
「は、半年でなんとかして見せます~。」
「三十分くらいなら大丈夫なんだけどなぁ。」
うう~と再び唸ったあいつは両手を広げてだっこしてのポーズをとった。
「はいはい、わかりました。お嬢様。で、どちらに?」
無言のままあいつはドリンクコーナーを指さした。
「それで、なんだ?」
まさか最後の最後で飲み物をプレゼントしてくれとかか?
「…………あのですね。」
「…………………………。」
「私、仁のことが好きなのですよ!!」
…………おぉう。
「お、俺も……
『……さんはいらっしゃいますかー』
お前がって、え?」
?誰のことだ?
「はい、ここにいますよー。ゴメンナサイ仁。先にあっちを済ませてもらっても?」
!?
いまの………を聞きそびれたことを今俺は全力で後悔している!!
ではなくてだなぁ。
まぁいいか。
「それでなんでしょ~。」
「お電話です。」
ガチャ。
「もしもし~。………え?」
ザザザッ、ザッ、ザァァァァァァ。
ノイズ
ザザっ音が聞こえる
ザッ、プツン。何かが切れる音がした。




