※メディス は スッキリしました
ドガッ!!!!
「ゲブッ」
「仁?大丈夫ですか?【回復】(ヒール)」
「ゴフッ」
「あ、す、すいません仁。【祝福】(ブレッシング)」
この【祝福】(ブレッシング)は神あるいは神官(普通こっち)が使う魔法で、使った相手を回復させるという能力である。
【祝福】と【回復】の差は、【祝福】はHPとMPの両方を瞬時に回復させ、【回復】は聖の生命力を増幅させ持続的にHPのみを回復させる能力である。
…結果、中間人間(中間管理職ではない)な俺には体内のバランスが狂ってダメージを受けるということだ。
あ、聖の…とか言ってるけど、メディスに言わせるには、神様はどちらの力を持っていても神様という括りになっているため、聖だから神様に近いという考えの人間は間違っていると言っていた。ついでに言えば、反対の属性に邪属性というものがあって、その力を持っている神様だからといって悪い神では無いらしい…サディスもその属性だと聞いたのだが…
「……あー、痛くはないから大丈夫だぞ?心は痛いけど。」
俺は今、メディスに投げ飛ばされまくっている。…男としては、凄く虚しくなるな。
あ、ちなみにここは宿屋の庭である。
「すみません。心の傷の方は…」
「いや、これは俺の問題だから…」 (逆に悲しくなるからやめて…)
『スキル・体術を獲得しました』
最初の方はメディスの怒りを収めるためにやっていたのだが、途中からあまりにも情けなくなって結構本気でやるようになった。
のだが…あれ、なんか特訓する方向性が間違ってねぇか?ここ異世界だろ?
「メディス…今更だけどさ、体術だけじゃなくて魔法も教えてくれないか?」
「あ…お仕置きのことばかり考えていて完全に忘れてました〜…わかりました〜」
「本当か!!」
「でも〜」
「ん?」
「これを見て覚えて使えるようになったら教えてあげます〜【神の手】(ゴットハンド)〜」
メディスが魔法を唱えると、俺の目の前に光の渦みたいなものが出てきて、その中から出てきたメディスの手のようなものが俺をぶち殴ってきた。
「は?…べふっ…」
「【神の手】」
「アップァ」
「【神の手】」
「ンベシ」
「【神の手】」×10
「fだsvmんfcsぢうれ」
その十分後…殴られまくって魔力というものが何となくわかってきた。
おそらく、この魔法は殴るときに魔力を流していて、その魔力を感じられるようになったのだ。
…これなら、できるかは知らないが体に直接流してもらったほうが早いし楽だと思うのだが…まだ怒っていらっしゃるようだ。
さらに数十分後…俺はようやく魔力の吸収・放出の仕方がわかってきた。
「【神の…」
「【神の手】!!」
ガシッ!!
と、出てきた手のようなものが確かにメディスの魔法をとらえた。
よ、ようやく使えた…って「ベフッ」
「な、なんでだ?」
俺は今確かに見よう見まねだが手のようなものを出せていたはず!
「フフフ、フフフフ。それはですね〜。じつは仁にこの魔法、使えないんですよ〜」
そう言われた瞬間、俺の中にある何かがきれたような気がした。
「【神の手】」
次の瞬間、メディスの目の前に灰色の渦ができ、そこから同じ灰色の手が出てくる。
「ッ!!」
「やったか!!」
って、これじゃ俺がメディスを殺そうとしたみたいに聞こえるな。ただ、魔法ができたのか!!と言いたかったんだが。
「いや、別にな、俺はお前に少しばかり仕返しがしたくなって…」
「仁」
あ、これまた怒られ…「この技の使用を禁じます。」
「は?」
「この技以外は教えてあげますから…ダメですよ?」
と、真剣に言ってくる。
「わ、わかったよ。」
「…それは良かったのです〜。では、仁〜何回か半殺しにする勢いでいきますから、魔法、覚えくださいね〜」
へ?
『聖・邪・火・水・風・土魔法を獲得しました』
その日、宿屋のおっさんにたくさん叱られた。…理不尽だと思いたいが、その原因の原因が俺なので何も言えない…