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女神様に求婚したら邪神に呪われた!?  作者: 妖星
零章 ”物”と”者”
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物と者

中学一年の夏。俺は、いや、俺の家族は事故にあった。


 親父はオーケストラの指揮者で、よく海外にも行っていた。俺達家族はそれに時々ついて行っていた。


その帰り道、飛行機が墜落した。


よりにもよって、俺達が座っていた場所は、一番被害が大きかった右側の席。


両親はとっさに俺をかばってくれていたらしい。

俺は両親という肉壁によって重症ではあるものの五体満足。

でも、両親は…死んでしまった。


 気づいたら俺は入院していた。五体満足とは言うものの、リハビリをしなければ行けないほどに俺の体はボロボロになっていた。

俺はすぐに死にものぐるいでリハビリをした。


 親が死んだという現実に向き合うことが怖くて。


 自分が元に戻れば、親が戻ってくる、そんな気がして。


そんな俺を心配して毎日のように祖母や祖父が通ってくれた。

当時俺は親類縁者全員が辛い。ということは頭になく。リハビリ中に話しかけてくるすべての”物”が煩わしかった。


その頃から俺は、俺が元に戻るまでの俺はゴミ屑なのだと心の底から思うようになった。そのせいで周りからはどんどん離れて行った。こんな俺が他人と関わる資格があるはずがないから。


それでも、祖父や祖母は俺の入院費を払ってくれた。

ただ、誰かと関わらない限り人は生きていけない。俺は”者”が”物”だと思うことにした。

その対応がまずかったのだろう。

結果祖父や祖母は姿を見せなくなった。


それでも、祖父や祖母は俺の入院費を払ってくれた。


入院してから一年程たったある日。

近くの個室の”物”が入れ替わったことを知った。その時俺は久しぶりに”物”に興味が湧いた。


リハビリの場所から変える時個室にある”物”について誰かが話しているのが耳に入ったからだ。『とてつもない美少女だ』と。


興味が湧いたからと言って、行くかどうかは別で、相変わらずリハビリづけの毎日だった。


そこから半月が経った日。

日課であるリハビリしに行くと、見慣れない”物”があった。俺と同じように、鬼気迫る顔でリハビリをする、金髪の少女。身長は俺の肩ほどだろうか。胸は…まぁ、何も言うまい。俺はどっち派でもない。

それはともかく、俺はその”物”に他の”物”とは違うなにかを感じた。


その“物”が来るまで、俺は自分ができる全力で、リハビリをしていた自信があった。


それでも”あいつ”にはかなわなかった。


”あいつ”は毎日自室ではリハビリが出来ない俺とは違う、個室なのである。


”あいつ”は自室でもリハビリをしていた。

そのことを知ったのはあいつが来てから半月がたった時だった。

なぜそれを知ったのかというと………。



ある日の朝。

リハビリに行こうとしていた時、やけに人が少ないと感じたが、俺は気にすることもなく、リハビリをしに行った。


その夜、同室の爺様と呼ばれている”物”があの特別な”物”が倒れたというようなことを喋っていた。


お察しの通り、あの”物”は自室でもリハビリをしていた。

その時から俺はその特別な”物”のことを”者”と思うようになった。


多分俺は悔しかったのだと思う。

だからこそ”者”としてみれた。

そして俺は”あいつ”のリハビリ中に問いかてみた。なぜそこまで?と。


「私は~、家族がまってくれているからがん

ばれているんですよ~。」


いつもの鬼気迫るような表情ではなかった。

その言葉を聞いた瞬間、俺は鈍器で頭を殴られたような気がした。

”あいつ”は結局俺とは違った。

そのことにショックを受けたのもある。

問題は、彼女は………。




「私は~妹を庇ってココにいます~。後悔なんてしてません~。」



彼女の家族は飛行機の最左列に座っていたらしく、彼女自身は事故が起こった時1番被害が少ない場所だった左側の席にいた。

そして、彼女の両親が真ん中に座り、最も被害の大きい左側の席には、彼女の妹が。

事件の直後彼女は、まっさきに両親に何とかしてもらおうとしたらしい。


が、両親は震えるばかりで何もしない。地面がだいぶ近づいてきたのを察した彼女はとっさに妹に覆いかぶさったという。


その話しを聞いた俺は何故か涙が止まらなかった。


俺の両親は俺をかばって死んでしまった。

でもそれは、それだけ俺のことを大事に思ってくれていたということ。

それを今までわかってきたつもりだった。


でも、二人の愛は、俺が思っていたよりも大きいものだったと気づけた。

そして同時にもう二度と両親には会えないのだと、ようやく実感できたから……………。










うん、落ちついて考えたらすごく恥ずかしい。


そう気づいたのは自分のベッドの上だった。

爺様に話を聞くと俺と”あいつ”が少し喋っていて、珍しいな、と思ってみていたら、突然泣いてそのまま寝てしまったという。


うん、リハビリで疲れてたからな。

そして爺様が俺をここまで運んできてくれたという。


……………”者”…か。

だからこんなに恥ずかしいんだな。


……………父さん、母さん。たくさんの愛をありがとう。さようなら。

……”あいつ”の名前でも聞きに行ってってみるかな。

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