【コラボⅥ】 06
「炎塵と化せ――紅蓮」
朱梨が腕を振り下げると、マグマが地面から吹き出して次々に広範囲を飲み込んでいく。しかし、そんな技が的に通じるわけもなく。
蒼依、白峰の速さが尋常ではなかった。蒼依は右手を振り上げた。
そして青く発光してから。多分、喰らえば瞬殺だろうそれを、
「蒼龍拳!!」
「どっかで聞いたことある名前だ―ッ!?」
右アッパーであった。それを海紫は叫びながら跳躍。朱梨は身を引くが少し掠る、それだけでもHPが3分の1が削られた。
そして蒼依は次の攻撃に入る。朱梨を掴もうと左手を伸ばしてくる。
と、その瞬間に蒼依は横から飛んできた、何かにぶつかり、横なぎに吹き飛ばされ、岩に激突。
「朱ちゃん!!」
宙に陣を敷いて留まっていた海紫が叫ぶ。その、何かは海紫が吹き飛ばした白峰である。
しかし、反撃に会い鎧は半分程度崩れていた。
「しーちゃん、トドメだっ!!」
「おう」
まだ、起き上がろうとしない二人を見据えて
「焦炎なる神炎よ 慈しみ果てるその前に 我にその炎を貸し与え 身を焦がすに至らぬ程に 衝閃の雷を与えたまえ――――炎雷迅」
「世界の果てに 大地をえぐる 太陽の力――――太陽炎塵翔」
朱梨が地を蹴り、海紫が空から半身を翻し、その中心に蒼依がいて、二人は炎を撒き散らす¥。
海紫が放った業、それを――――
チュどーーーーん。
煙がドクロを描き――――ノイズが視界に走り――――――ゲームが強制終了した。
どうやら不具合が見つかったらしい。ツールを使ってプログラムに侵入したらしく、警報が鳴っていた。
◇◆◇◆
土下座をしている。何回目なのか、只々地面に額を擦り付けて、一糸乱れず14人が、このゲームのスタッフに頭を下げていた。
この日の午後六時からこのゲームの大会があるそうで、導入するのはいいが壊されるとは思っても見なかったらしい。
キッカケは、プログラムにない魔法と、よく分からない装甲。そして、プログラムに侵入できるチートの仕様によるもので。それはケイン、エミルダの言う、書き換え工作。
対戦サーバが爆発、そして強制排出されて今に至る。
電力がオーバーロードして、このゲームセンターの電気がつかなくなり、今日は赤字だろう。ということだった。
『『どうもすみませんでした』』
謝る以外に何ができるだろうか。
「そして、どっちが勝ったことにするんだ?」
朱雄がため息まじりに言った。
「引き分けで良くない?」
と、川原。
「じゃ、じゃぁ。朱梨ちゃんは??」
と、朱雄があたりを見回すが、朱梨の姿は見えない。
――――ゲームセンター屋上――――
「今日は済まなかったなぁ」
蒼依(男)が笑って言う。
屋上の柵に寄り掛かり、海紫と朱梨が「いやいや」「楽しかったから」と返した。
「てか、男だったなんて。しかも、別人みたい」
朱梨がへぇ~と蒼依の顔をぺたぺたと触って言う。
「どうしてかな、俺にもわからないんだ」
「まぁ、弁償じゃなくて良かったよかった。また、会ったら対戦しような」
海紫がそう言うと、「ああ、またな」と、蒼依は右手を差し出してきた。
二人は、がっとりと握手した。
隣には白峰がいて、そこに朱梨は飛んで行く。
「君も男なんだってね―」
朱梨は白峰を眺める。三百六十度全方向から。
「あ、正確には違うよ? 男の時と、女の時があるってだけ」
と、彼女が可愛らしく口元を隠した。
「天邪鬼みたいな?」
「そうそう」
「いーーなーー」
「どうして? 僕は女の娘の君の方が羨ましいけど」
白峰が首を傾げた。
すると、朱梨が、自分が履いていたスカートを正面だけめくった。 朱梨はトランクスを履いている。
「ボクは男だよ? 女装が趣味なだけ」
「………」
言葉を失う白峰。そして
「気持ち悪い……かな?」
と、朱梨が言うと白峰は、ブンブンと頭を振って否定する。
「師匠って呼んでいいですか?」
「悪い気はしないね」
と、まんざらでもない感じに返した。
そこに、桜坂が現れた。
「おっと、会っていたのかい君たち」
蒼依は絶句し、海紫と朱梨は身を引いて「よう、サギ師」という。
「蒼依くん、白峰くんは所見だね。よろしく、桜坂だ」
すると
「蒼陀……鬼依…様……??」
雰囲気が似ていたというべきか、それは、蒼依に装甲を教えた本人に似ていた気がしたのだ。
「違う違う。この世界で会うのは初めてだ」
「この世界?」
「あのね、此処は四方市から見た東京じゃない」
蒼依の頭のなかに次の言葉が流れた
『君ら8人は混線した異端人さ。さぁ、元の世界に帰してあげるよ』
蒼依から体の感覚が無くなった。そして。
目の前から蒼依と白峰が消えた。
「「!?」」
何気ない顔で桜坂は
「さぁ、ミーティングを始めようか。えっと、残りは下にいるのかな?」
奇妙な少年たちとの会合はこれにて終了する。
いつか、また会えるか、それは作者にしか分からない。
これにて、G'Arb~Rielとの『蒼依の風~Deux of Meine Rosto~ 』のコラボレーションが終わりました。
何かと難解な部分もあったと思いますが、読んでくれてありがとうと言っておきます。
これからも、ボクの作品、それにG'Arb~Rielさんの作品をよろしくお願いします!!