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電脳なおれと翡翠の彼女  作者: 藤乃宮遊
【番外編】紫朱の風~The world that had intermingled of two~
2/19

【コラボⅡ】 02

あと、二、三回ぐらい続きそうです。


◇朱雄side――――


「おい、みろ柳井。美少女が居る……ぞ?」

 四人の美少女(うち二人がコスプレしていて、つつき合っている)を見つけたその後ろ、何か変人を見つけて絶句した。

「朱雄さん。重力はどこへ行ったのでしょう」

 よくわからないが、逆立ちをして、そして結構なスピードで前の五人を追いかけているようにみえる。逆立ちしたまま歩くこともすごいと思うが、それをずっと続けている彼の集中力に仰天する。

 

 マクドナルドゥーというジャンクフード店に並んでいた二人は目で追いかけて話す。

「さぁな。あいつにだけ地球が贔屓ひいきしてるのかもな」

「やべぇっす。朱雄さん本気考察ぱねえっす。では早速」

「何をするつもりだ?」


「地球の中の人――。重力の操作できるって本当ですか―ーーー」

 と、大きな声で地面に向かって叫んだ。瞬間に柳井にドロップキック。どこかのお滑り芸人バリの根気である。しかも地球の中の人って、地球はコスプレか何かか? しかも面白くも何もない。そして周りの目が辛い。


「何してる」

「だって朱雄さんが」


「おれが?」


「あれは逆立ちだ。分かるだろ、人間なら誰でできるぞッ!?」


「は………はぁ」


「柳井、オマエ馬鹿だろ。結構前から思ってたけどな」


「かもしれないと、最近自覚してきたくらいです」


「おそい」


 その時、ポケットに入れていた携帯が震えた。取り出すとメールで、差出人は蒼依だった。内容は『はやくこい』のヒトコトである。絵文字どころか、「。」も付けていない所が、文章として怖いところである。

 時間はもう一時で、ジャンクフードの列に並んではや十分。今回はやめておいたほうがいいという結論であった。

 新発売、マクドナルドゥーのポテトゥー。食べたかったのに、帰ってからにお預けだ。てか、四方市にマク○ナルドはあるけど、マクドナルドゥーはないんだよな。

「何だったんすか?」

 と、柳井が訪ねてきたので、無言で画面を見せた。「おお怖ッ。早く行きやしょう」彼は血相を変えてそういった。


 この時、朱雄は自分を見る視線に気付いた。




◆蒼依side――――


 プルルルルr――。返信があった。

『Re: 可愛い子見つけたなう。蒼依のイケメンビームが欲しいな(・∀・)』

「やなこった」

 蒼依は呟く。そもそも、現在女体化中なのに女性に対してイケメンビームをできるわけ無いだろう。まぁイケメンだと自覚こそしているが。

 

 一時の鐘がなった。東京というのは時間に厳しいのか、数時間おきに鐘のような合図があるのだ。今回は『真夏のニューTYPE』という、AOB449の曲である。だがしかし、現在の季節は冬である。場違いにも程があるだろう。

 今の季節に水着のミュージックビデオなんて見たら感覚的に手足が凍りそうだわ。そんなツッコミを入れながら。

 そして、紗希に尋ねた。

「あのゲーセンにでも入ってるか?」

 それは、あまりにも寒いのに、待ち合わせ場所に早く着いてしまったからである。三十分位待てばいいじゃないというかも知れないが、冬の都会には田舎暮らしの私達にはキツイのよ。

 誰に言ってるわけでもなく、独り言にように蒼依は心の中でそう思った。答えは「うん♪」と、即答だった。

 だって寒いからね。まだ極寒の季節だぜ。

「よし、歩け犬ッ!!」

「ワン!! ゲヘヘヘ」

 紗希の手には縄が握られていて、それは黒崎迅に繋がっていて、彼は四つん這いになって舌を出しながら気色の悪い笑みを浮かべていた。


「蒼依ちゃん。僕はクレーンゲーム出来ない」

 白峰が少し俯くように、上目遣いでそう言った。

「何か取ってあげよう、と言いたいのだけどあいにく私はクレーンゲームは苦手なのよ」

「三十回までなら、僕出せるけど」

「回数の問題でもないというか、まぁ、努力する」


 と、四人は東京タワーの下にあるゲームセンターに入っていった。名前は確か『楽市薬座らくいちやくざ




◇異端調査部side――――


「ねぇ海紫? ストーカーだと思うわ」

 エミルダが海紫に近づきなり耳が痛くなるようなことを言った。ストーカーとか、それはコスプレっ娘二人に付いてきたのだろう?

 と、だが確信もなく、結構どうでもいい海紫は

「ああ、ケインのこと? 大丈夫」

 と、応じたが、「違うわッ」と尻を蹴られた。

「あの変態じゃない。二人、……いや、四人くらい着いてきてるわ」

「一緒の方向なだけじゃないの?」

「絶対に違うと思うね」

 エミルダは、手に握っている『東京を歩く』というパンフレットを握りつぶす。


「秋野くん。ほんとだよ。二人は私達を。そしてもう一組は、私達を着けて来てる二人を着けてる」

 真城がエミルダ同様に海紫に近づいてきた。

「はは、なんか壮大だなぁ」

 頬をかいた。まぁ、結局どうだっていいのだ。いざって時はケインがどうにかしてくれるからだ。彼は、予想外にも空手で黒帯、柔道で赤白帯。そして、全国大会でヤワラちゃんをぶちのめした伝説を持っている。

「カイ。まだなのか?」

 ケインが逆立ちしたまま言った。

 いがみ合った朱梨と川原はどこへやら、先にゲームセンターに行くらしい。どうしてか、今は真城とエミルダ、ケインに合わせて歩いていた。

「後、五分くらいかな」

 海紫は腕時計を見ながら言う。

「そろそろ、手のひらの感覚が無くなってきてやばそうだ」

「手袋くらいしとけよ」

「――――その手があったか!!」

「逆に、足で逆立ちするのもいいかもしれないぞ」

「断っておこう」

 何が何だか、この部活は個性的なメンバーが多い、と言うのは気のせいだ。多分。

 

 目的地は、東京タワーの下のゲームセンター、『楽市薬座』である。

  別に、薬屋くすりやじゃないんだからね!!

 海紫は、大人の事情でツンデレ仕立てでナレーションをする。

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