scene13 エピローグ
時を同じくして、元人間で肉体のない意識に仮想に肉体をもたせた世界は、現実世界の端末に依存していなかった。
《舞華》が創りだしたスーパー量子コンピュータ《M.K》は、無人宇宙ステーションに配置してあり、出力80%でずっと稼働していた。
それは、《シティ》を維持するためである。
ステーションにドッキングした宇宙船には、十五人の《舞華》の信仰者兼、現実世界のトップ60に入るような最高頭脳が乗り込んだ。
『ねーぇ。――聞いてる? 聞いてるの?』
あまり、機械音と言われても判断が効かないくらいの人間声で彼女は話しかけるのだ。
誰もいない司令室に座っている一匹のうさぎに人形に。
『今日はね私のお友達が来るの――。それとねー、私の大好きな海紫が見つかったの。私のゲームっぽいシステムに色々組み込んだへんてこりんな世界でね、朱梨ちゃんと二人見つけたんだー♪』
その声は嬉しそうで、画面の中の彼女は飛び上がっているのではないだろうか。
『私から海紫を奪ったあいつもこの調子で見つからないかな――。狩生政規――――私のお兄ちゃん』
ウィーン
司令室の扉が開いて、ぞろぞろと十人くらいの人間が入ってきた。
「我ら、舞華様にお仕えしたく参上した所存」
『じゃあ、私のコンピュータ室に入らないでね、お義父さん方♪』
満面の笑みで受け答える。その画面の下、《M.K》が置いてあるコンピュータ室に入ろうとしていた五人の研究者が、リアルタイムで撃ち殺される姿が表示された。
数人は、本気で舞華に力を貸そうとしていたのは事実。しかし、数人は唯、技術が欲しかっただけの人間であるのも事実。
それは、しかたのないことだった。
「一緒に狩生を打倒しましょう」
そのメンバーの筆頭が、舞華に提案する。
彼女は、アハハと笑っているだけ。
「舞華姉。今何処にいるの?」
《異変》の中で、海紫が呟いていた。
舞華はその時、ビクリと動いた。
「ここにいるよ」
そう、思った。
――――――――君の声が聞こえたから。
読んでいただきありがとうございました。
ここまで完結までストーリーを書くのは初めてで、全く全てがはっきりしないまま終わらせるのは遺憾の極みですが、此処で終わらせずに何処で終われせればいいのか。伏線なんて投げやりです。
楽しく書かせていただいたので、完結して嬉しいです(白目
もしも、続きが読みたいのなら、感想コメに書いてくれれば、もしかしたら続きを書き始めるかもしれません。
本当に、ありがとうございました。




