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カラスとセイレーン  作者: 真川紅美
とあるメイドの観察日記。
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とあるメイドの観察日記。

すごい短い自己満足的なお話。

 私たちの旦那様は、それはとても高潔なお方で、魔術師としても有能なお方で、そして同時に剣士としても有能な、何が欠点なんだって言われても首を傾げるぐらい完璧なお方だ。


 軍部の魔術師と魔法騎士の複合師団の統括であり、師団長のディラン・ラインベルグ様は、いつものように朝早くに出勤なさる。誰も師団員が来ていない、早朝だ。

 夜明けとともにおき、夜更けとともに眠るといわれる魔術師の中でもおそらく早起きではないだろうか。

「おはようございます」

 濃い目の苦味が強いコーヒーを差し出して、軽めの朝食を用意する。

 初老を迎えようかとしている旦那様は、鷹揚にうなずいて、私たちが作った軽食を口にいれる。

 旦那様の苦手なものはねっとりとしたもの。むしろ好まれるのは、さっくりとしたもの。なんともわかりやすい好みで、でも、それに気付いているのはごく少数。

 苦言を呈すると周りが気にする、場合によっては首が飛ぶ事態にもなるとわかっていらっしゃる旦那様は、めったなことでなければものを言わない。

 魔術師の基本は呼吸だという、やかましい連中を見ればうそのような言葉を体現されている旦那様を尊敬する声は数多い。

「……」

 ふと、笑う気配。目を伏せながら伺うと、紙面に視線を落として小さく笑っていらっしゃる。おそらく、誰が見ても表情が変わっているなんて思わない微細な表情だ。

 かすかな笑顔だけれども、それだけで私はご飯三杯行けます。はい、大好きでございます。旦那様の笑顔。

 こんな残念な思考をしても、きっちり仕事は仕事だ。完璧な仕事をしてこそ旦那様を愛でる資格があるのだ。


 そう思って、毎日精進している所存であります。

もうちょっと残念な思考を出したかったな……(笑)

こういう残念系な女の子結構好きです(笑)

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