こんにちは、ハーフのイケメンさん!!
「おはようございます。」
俺、秋山郁は昨日から商店街から少し離れたところに
ポツンっと立っているカフエでアルバイトを始めた。
働き出して二日目の朝、店に顔を出した俺は見たことのない人が一人増えていたことに
気づいた。
「あれ?」
このカフエのオーナーである爽やかな笑顔が特徴の室山享と
21歳の一見チャラそうだが爽やかな富谷翼
は昨日知り合って様々な仕事を教えてくれた。
でも今日ここにいるのは室山さんと富谷さん。
そして今までに見たこのない銀色の長い髪の毛を後ろで一つにくくっている。
いかにも外国人という感じの人。
俺が顔を出した時から何故か俺をずっと凝視している。
「あの・・・享・・・」
このカフエの従業員は年の差関係なく下の名前を呼び合うことが原則なのだ。
だから仕方なく下の名前を呼び捨てで呼んでいる。
俺はずっと見られていることに耐えられなくなり
室山さんの後ろにそっと隠れるように逃げた。
室山さんは笑顔で教えてくれた。
「この人はここの従業員の秋山レイ《あきやまれい》君です。
苗字が同じなのはボクも最初は驚きました。」
俺は勇気を出して恐る恐る彼の顔を室山さんの後ろから覗きみた。
「うへっ!?」
俺はいきなりの衝撃に変な声が出てしまった。
秋山レイという男は俺に勢いよく抱きついてきたのだ。
「初めましてっ!これからよろしくねっ」
そう言って俺のほっぺに軽くキスをした。
俺は状況を把握できず固まってしまった。
「あぁ!なんて可愛いんだっ!!」
ぎゅーっと抱きついてくる。
すかさず室山さんが口を挟んできた。
「やめなさいっ!僕だって・・・まだ抱きついたこともないんですから!」
『そこかよ・・・』
男の腕の中にいた俺の腕を掴んで引っ張り出した室山さんはめずらしくも眉間に皺を寄せた。
そんな室山さんを気にせず眉間に皺を寄せて言った。
「君には関係ないだろう享。僕の可愛いハニーを返してくれないかい?」
疑問形になっているのに言っている端から俺を室山さんの腕の中から引っ張り出して
ぎゅっと抱きしめた。
『てか・・・・ハニーってなに?俺のことなの?・・・・』
「そんなこと勝手に決めたら郁が可哀想でしょう!」
『お・・・室山さんは俺のことを思ってくれてるんだ・・・。』
安心してなんとなく内心ガッツポーズ・・・・。
「ならハニーに決めてもらえばいいんじゃないか。」
「そうですね。そうしましょう。私とレイとどちらが好きか。」
『そういうことですか・・・なんとなく分かってましたよ。』
「さぁ、ハニー。僕とこのへなへなな享のどっちが好き?」
「へなへなは余計ですよっ!」
「本当のことを言っただけじゃないかっ!!」
2人がにらみ合っている隙に俺は第三者である富谷さんの方に逃げた。
「ボクを選んでくれたんだ郁。嬉しいよ」
富谷さんは爽やかに微笑んで俺の頭をなでた。
それに気づいた2人は目を見開いた。
「ハニーっ!?」
「郁っ!?」
富谷さんはおっかねぇ~と言いながら開店の準備のためにホールの方に出て行った。
俺も呆れて二人を置いてロッカーに着替えに行った。
数分後着替えてキッチンを覗いて見るとそこには室山さんとレイがいた。
「あれ?えっと・・・・レイ・・・は厨房なんですか?」
呼び捨てで呼ぶことに少し躊躇いながらも聞いた。
「あぁ!!ハニーに僕の名前を呼んでもらえるなんてレイ感激っ」
レイはニッコリと本当に嬉しそうに笑った。
「レイ速く郁の質問に答えてあげたらどうなんですか」
室山さんは不貞腐れたようにボソッとしかし確実に聞こえるように言った。
こんな室山さんを見るとなんとなく可哀想に見えた。
というよりも可愛く見えた。
「あぁそうだったね。 僕は基本は厨房にいるよ。ハニーと同じ所で
仕事ができないのは本当に悲しいんだけど。」
レイはウィンクを軽くしてみせた。
「あ・・・あははは」
俺は苦笑いをした。というよりもせざる負えなかった。
「じゃ、じゃあ俺もホールの準備をして来ますね。」
クルッと向きを変えて走ってその場を去った。
ホールへ行くとせっせと仕事をしている富谷さんがいた。
「さっきはありがとうございました。」
俺も富谷さんと開店準備をしながら頭を下げた。
「郁はモテモテだね」
富谷さんは爽やかでどこか安心感のある笑顔で微笑んだ。
少しして開店準備ができ、俺は
厨房の問題児のところに知らせに行った。
「外の準備はOKです。そちらはどうですか??」
厨房に軽く顔を出すとそこには
何かマグカップで飲むレイと室山さんがいた。
「おや、ちょうどいいところに来てくれたね」
レイが俺の手を軽く引っ張って厨房に俺を招きいれた。
いきなり隣にいた室山さんが俺の目の前にマグカップを差し出した。
「な、なんですかこれ??」
俺は恐る恐るそれを受け取り中身を見た。
そこにはなんとも言えない爽やかな香りがするコーヒーが注がれていた。
「これは新メニューです。まだ開発中なんですが、とりあえず
意見を聞いてみようと思いましてね」
そういっていつものやさしそうな笑顔でにこっと笑った。
「俺みたいな下っ端のバイトがいただいてもよろしいんですか?」
室山さんはゆっくりと頷いた。
「じゃ、じゃあいただきます・・・」
・・・・!!!!
「美味しい!!」
口の中に含んだ瞬間に
何とも言えない爽やかで落ち着けるような香りが広がり
お花畑にでもいるような錯覚に陥ってしまった。
この匂いは・・・
「お花!!お花ですね!!」
俺がそう言うとレイはもたれていたキッチン台の上にあった
一輪の桃色の花を手に取り笑って見せた。
「正解だよ。今回はコーヒー豆に工夫をしてお花の風味がする
ものにしてみたんだ。」
レイは手にしていた花を俺に手渡した。
匂いを嗅いでみると先ほど飲んだコーヒーの匂いと同じ
匂いがした。
「レイと共同作業でお花の図鑑で探していい香りで人間の
体に取り入れていいものを探して色々試してみた結果この
お花になったんです。」
「え、じゃあこれは高いものなんじゃないですか!?」
俺は手に持っていたまだ中身が残っているコーヒーカップを
キッチン台に急いで置いた。
「あぁ、これはただのコーヒー豆に調合しただけだから
普通の値段だよ。ねぇ享」
「はい。ちなみにこのコーヒー豆は郁が散らかした豆ですよ」
え?・・・てことは・・・俺が散らかしたコーヒー豆って・・・
「普通のコーヒー豆と同じ値段なんですか?!」
俺は焦って勢いよく聞いた。
そこでいきなりレイが口をはさんできた。
「もしかして享に‘このコーヒー豆高いんですけどどうしてくれますか??‘
なんて言われたんじゃないのかい??」
俺は必死に頷いた。
「いやぁ~あの時はすみませんでしたぁーははは!!」
「はははじゃないですよ!!俺騙されたんですよね?!」
享は普通に真顔で頷いた。
「享!!郁に謝ってくれるかい?!」
レイが真面目に言った。
すると享は明らかに土下座をする姿勢になりだした。
「やめてください!!すみません、もういいですから!!!!」
誰もバイト先のオーナーの土下座姿なんか見たくない。
さらに加えればイケメンに土下座をさせたくない。
「いいんですか??郁??」
目をうるうるさせながら見上げて聞いてくる室山さん。
「はい!!もういいですから!なんだかんだでこの店で働けて
楽しくて幸せですから!!ね!」
「本当ですか?!」
室山さんは勢いよく立ち上がり俺の手を握り締めた。
みかねたレイは手を二回叩いて鳴らした。
「ほらっ開店するよ」
これから、また忙しいけど、それでも楽しい一日が始まる。
今日もカフェは賑やかですよ!!
~続く~
更新遅くなってごめんね。
がんばって書いたよ!!
メッセージ頼みますね