傍観者
ケータイが壊れた。むかつく。
人がぶつかってきた。むかつく。
ジュースをこぼした。むかつく。
お気にの服にしみがついた。むかつく。
親がうるさい。むかつく。
お金がない。むかつく。
むかつく事だらけ。どいつもこいつもウぜー。
ブスなくせにかわいいと思っているあいつ、話が超なげーあいつ、マジであり得ないあいつ、存在自体が消えろって感じのあいつ、それから口うるせーし金をケチる親、全部クソだわ。
「あなたに、むかつくという感情がなくなったらどうなりますか?」
は?意味わかんねーんだけど。むかつかねーことなんてねーし。
「あなたがもし、明日1日むかつかないでいられたら、あなたにとって良いことを起こしましょう。」
は?マジで言ってんの?そんなの超簡単じゃね?
「やってみますか?」
いーよ。別にヒマだし、簡単そうだし。
そして、その1日が始まった。午前0時。そんなん、とりあえず寝るに限るべ。あ、でも朝になって親に顔合わすとうるせーから、今のうちにバレないように外出るか。
足音をたてないようにして家の外に出ることに成功。ってなにこれ夜超さみー、むかつくんですけど。
あ、むかついた。マジむかつく。じゃあ外に出た意味ねーじゃん、なにこれウッゼー。バカバカしい、部屋に戻ろう。
「あなたは何にむかついたのですか?」
いや外があり得ないぐらい超寒かったから。
「その他には?」
え、いや別に、ただ思ったより寒かったからむかついただけなんだけど。
「では、思った程度の外気温であったらむかつかなかったわけですね。」
まあね。
「わかりました。では今から巻き戻りますよ。」
は?何を・・・・
・・・
そして、その1日が始まった。午前0時。そんなん、とりあえず寝るに限るべ。あ、でも朝になって親に顔合わすとうるせーから、今のうちにバレないように外出るか。
足音をたてないようにして家の外に出ることに成功。じゃあ、マンキツにでも行って寝るか。その前に財布の中を確認。564円しかない。うっわータバコ買ったら何も出来ねーじゃん、マジでふざけんななんですけどー。
とりあえずタバコがないとどうしようもないので、コンビニに行く。時間つぶしに雑誌でも立ち読みすんべ。と、思ったら、いつもは封がしていない雑誌に、封がしてある。(きれいな雑誌を購入したいお客様のために、立ち読みを禁止させていただくことになりました。ご了承ください。)いやいやいや、ご了承出来ないんですけどー、マジむかつくわー。
あ、むかついた。マジむかつく。じゃあ外に出た意味ねーじゃん、なにこれウッゼー。バカバカしい、部屋に戻ろう。
「あなたは何にむかついたのですか?」
いや、金はねーし時間潰せなかったから。
「その他には?」
え、いや別に、立ち読みしようとしたら出来なかったからむかついただけなんだけど。
「では、立ち読みが出来たらむかつかなかったわけですね。」
まあね。
「わかりました。では今から巻き戻りますよ。」
は?何を・・・・
・・・
『ねえねえ、何しているの?』
「この人間、面白いんだよ。24時間ぽっちも”むかつかない”でいることすら出来ないみたい。それが出来たら良いことが起こるっ、ていうことに釣られているにも関わらずだよ?信じられる?」
『へえ、それでそれで?』
「だからね、1回むかつくごとに彼女の時を巻き戻してみているんだけどさ、絶対にゴール出来ないよ、これ。永久にこのままだね、この人間は。」
『えーなに、じゃあずーっと構ってあげるの?』
「まさか、飽きたら良いことってやつを起こさせてあげて、それでおしまいさあ。」
『やだー、悪魔がここにいるー、こわーい。』
「悪魔なもんか、悪魔は彼女だよ。だって常に負の感情しか発生させられないんだよ?思考も人間にしては非常に稚拙だしさ。何も自分をコントロール出来ないんだ。下等生物の類だね。」
『じゃあ悪魔っていうより、餓鬼だね。キャハハ。』
「うん、そうだね。人間が外的環境に及ぼす影響の論文を書くのに、すごくいい実験体だよ。」
『じゃあ、良いことして殺したあとは、ちゃんと供養してあげなきゃねー。キャハハ。』
「もちろん、人間の様式にのっとってね。」
さーせん、「文学」って、何ですかね?笑