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第13話:国家の関税(ブロック)には、異世界初の【蒸留酒(ウイスキー)】で市場を開拓する

いつもお読みいただきありがとうございます!

第13話は、ついに大国ロマーナ帝国の巨大商会が「関税10倍」という理不尽な圧力でTHE HUBを潰しにかかります。

絶体絶命の状況で、マコトが提案したのは会社を賭けた「国家規模のコンペ」。異世界初の【蒸留酒ウイスキー】開発プロジェクトが幕を開けます!



迷宮都市バビロンの直営2号店が、Sランク黒竜という「公式マスコット」の活躍もあり、連日過去最高益を叩き出していたある日のこと。



ルイーダの街にある【THE HUB】本店で、俺たちは思わぬ『壁』に直面していた。



「先輩……大変です。隣国のロマーナ帝国から仕入れている『上質なリネン糸』と『コーヒー豆』の関税が、今日から突然10倍に跳ね上がりました……!」



シオリが真っ青な顔で、空中に投影した【議事録(帳簿データ)】を指差す。



「10倍だと? 冗談じゃねえぞ! それじゃあTHE HUBの主力商品が作れなくなるじゃねえか!」



厨房から飛び出してきたガンツが、バンッとカウンターを叩いた。



「落ち着いてください。市場マーケットにおいて、不自然な価格操作の裏には必ず『意図(黒幕)』が存在します」



俺が冷静にコーヒーを飲んでいると、店のガラス扉が上品だが傲慢な音を立てて開いた。



「その通り。市場の秩序ルールを乱す薄汚い成金には、それに相応しい『税』を払っていただかなくてはね」



現れたのは、仕立ての良い――だがTHE HUBの『ハイ・カジュアル』に比べれば、無駄な装飾が多すぎる――シルクのスーツを着た、細身の男だった。



背後には、ロマーナ帝国の紋章を掲げた私兵が数人控えている。



「お初にお目にかかります。THE HUBの責任者、マコトと申します」



俺はいつものように完璧な45度の角度で一礼した。



「ふん。私はロマーナ帝国の経済を牛耳る『金羊毛きんようもう商会』の専務理事、ベルナルドだ。……単刀直入に言おう。貴様らの売っている安価で小綺麗な服や、下品な串焼き……あれは我が商会が扱う『最高級のドレス』や『幻のワイン』のブランド価値を毀損している。目障りなのだよ」



ベルナルドは鼻で笑い、THE HUBの店内を小馬鹿にしたように見回した。



「貴族は高価なものを着て、高価な酒を飲む。それが世界の秩序ヒエラルキーだ。貴様らのようなポッと出の店が、その秩序を壊すことは許さん。……関税の10倍引き上げは、我が商会からお前たちへの『警告』だ」

なるほど。



俺たちが展開する【ハイ・カジュアル】という「安価でありながら圧倒的に上質でカッコいい」という概念が、彼ら特権階級の「高い=良いモノ」という古いビジネスモデルを根底から破壊し始めているのだ。



だからこそ、国家権力(関税)を使って俺たちの供給ライン(サプライチェーン)を物理的に断ち切りに来たわけだ。



「……それは、非常に非合理的な市場介入(独占禁止法違反)ですね。自由競争を阻害する行為は、最終的に顧客の不利益に繋がりますが?」



「黙れ! 顧客など我々が与えるものを有難がっていればいいのだ! 貴様らは今日限りで店を畳み、二度と我々の市場に口出しするな!」



ベルナルドの傲慢な宣言に、ガンツがハンマーを握りしめ、2階から降りてきた職人ドランも殺気を放つ。



だが、俺は彼らを手で制し、とびきりの営業スマイルを浮かべた。



「ベルナルド専務。ビジネスマンとして、一つ提案プレゼンがあります。……1ヶ月後、両国の王族が列席する『王立品評会ナショナル・コンペティション』が開催されますね?」



「……それがどうした?」



「そのコンペの場で、我々THE HUBと金羊毛商会、どちらの商品が『真に世界が求める価値』であるか、白黒つけませんか? もし我々が勝てば、不当な関税を撤廃し、ロマーナ帝国での『独占販売権』を弊社に譲っていただく。我々が負ければ……このTHE HUBの看板を下ろしましょう」



「なっ……先輩!? 何言ってるんですか! 王立品評会って、審査員は全員あっちの息のかかった貴族たちですよ!? 出来レースじゃないですか!!」



シオリが悲鳴を上げる。



だが、ベルナルドは俺の提案を聞き、腹を抱えて笑い出した。



「クックック……アハハハハ! いいだろう! 己の身の程を知らない愚か者め。王族や大貴族たちが、お前らの泥臭い串焼きや地味な服を選ぶとでも思っているのか? 我々が出品するのは、国宝級の『金糸のドレス』と、百年熟成された『幻の赤ワイン』だぞ!」



「承知いたしました。では、弊社からは【異世界初の蒸留酒ウイスキー】と【次世代の戦闘用ハイ・カジュアル・スーツ】のセットでエントリーさせていただきます」



俺が涼しい顔で宣言すると、ベルナルドは「せいぜい足掻くがいい」と吐き捨て、店を去っていった。



◆ ◆ ◆



「マコト……お前、勝算はあるんだろうな? その『じょうりゅうしゅ』とかいうのは何なんだ?」



ベルナルドが帰った後、ガンツが真剣な顔で尋ねてきた。



「ああ。ガンツさんがいつも作っている『ドワーフの火酒』。あれは醸造酒としてすでに完璧なポテンシャルを持っている。だが、そのアルコール度数と香りを極限まで高め、さらに『樽で熟成』させることで、ワインなど足元にも及ばない複雑で芳醇な香りを持つ琥珀色の酒ができる。それがウイスキーだ」



俺はカウンターの上に、簡単な蒸留器アランビックの図面を描き出した。



「これを実現するには、ドランさんの完璧な革の技術(密閉)と、ガンツさんの火の調整……そして、シオリの完璧なデータ管理が必要だ」



「で、でも先輩……ワインは百年熟成だって言ってましたよ? ウイスキーの熟成にも何年もかかるんじゃ……1ヶ月じゃ絶対に間に合いません!」



シオリの指摘はもっともだった。酒の熟成には時間がかかる。



だが、俺はTHE HUBの責任者であり、最強の営業マンだ。



【タイムパフォーマンス(時間対効果)】を最大化する手段なら、いくらでも持っている。



「問題ない。時間のコストは、俺の【業務効率化(前倒し)】と【品質保証】で強引に突破スキップする。……さあ、世界最高のプロダクトを作って、古いカルテルを市場ごとぶっ潰すぞ!」


異世界に、かつてない「琥珀色の革命ウイスキー」と、それを纏う「最強の戦闘用スーツ」の産声が上がろうとしていた。


国家規模のコンペティションに向けた、怒涛の商品開発が今、幕を開ける。



第13話もお読みいただきありがとうございました!

特権階級の「高い=良いモノ」という古い価値観をぶっ壊すため、マコトたちが選んだ武器は「琥珀色のウイスキー」と「次世代スーツ」!熟成にかかる数十年という『時間』すらも、ビジネス魔法でスキップ(前倒し)する気満々ですね。

「ウイスキー完成が楽しみ!」「コンペ対決ワクワクする!」と少しでも思っていただけましたら、

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