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天鏡記  作者: 藤桜
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天文18年(1549年) 陸奥国会津郡黒川城

蘆名 四郎丸


佐瀬殿達との話し合いからすでに半年がたっていた。

澄み酒の試作品だが結果としては良好だった!!

しいて難しかった事といえば使用する灰に関することだが、こちらはこれから試行錯誤していくしかないだろう。

佐瀬殿も右衛門大夫も酒がうまかったのかかなり上機嫌だったな。

しかし自分で作っておいてなんだが、自分の死の原因が酒毒といわれているのに酒を造るなんて…

改めて考えてみれば自分で死期を早めている気分だ…

だが今すぐに出来そうだったのが澄み酒ぐらしか思いつかなかったのだからしょうがない…

それはそれとして試作も出来たことだし、そろそろ父上に楽市楽座について上申してみるか。

他にも色々と諮りたい事もあるしな…

「悪いが右衛門大夫を呼んできてもらえるか?それと新しい麦湯も頼む!」

女中に頼み、右衛門大夫が来るのを待った。


半刻もしないうちに右衛門大夫はきてくれた。

しかも佐瀬家の嫡男の源兵衛も一緒のようだ

「四郎丸様がお呼びとのことで参りましたが、どうかなさいましたか?」

「源兵衛も一緒とは都合が良い!

 大和守殿にも伝えてほしいのだがそろそろ例の件を父上に話そうかとおもってな!!

 その際一緒に来てほしいのだ。」

俺が例の件と言ったことで二人は呼ばれた理由が分かったようだ

「かしこまりました!!していつ頃のご予定にございまするか?」

「近いうちに評定がおこなわれると聞いた。その後にでもと考えている。

 なので右衛門大夫は先に父上に俺から話がある事を伝えてもらいたい」

なんでも例の伊達家の内紛が先年に一応の決着したことで、父上が今後の動きを考える為に評定を開くことを噂で聞いていたのだが…

まったく!!やっと終わったかという気分だ!

なにせ俺が生まれる前から争っていたらしい。よくもまぁ長い事争ったものだ。

俺の知っている通り公方様の仲裁で父親の稙宗は隠居という結果で一応決着したらしいが…

なんでもまだ納得しかねる者もいてまだ戦が続く可能性があるそうだ。

かくいう父上も田村家を攻める気満々といった感じだが…

まぁ今の俺が戦の事について考えてもしょうがないな。

さて二人と一緒に父上に話す事についてまとめるとするか


天文18年(1549年) 陸奥国会津郡黒川城

蘆名 盛氏


ひとまず今日の評定で近いうちに田村を攻めることが決まったが、問題はこの後の話し合いだ。

なんでも右衛門大夫が言うには息子の四郎丸様が儂に話があるというのだ!

おまけに大和守も一緒だという話だ。

いつの間に大和守と知己になっというのか…

あれが生まれてからというもの妻や右衛門大夫に任せきりにしてきたせいか腰を据えて話したことが無いというのもある。

それというのもあれが物の怪類などという話がでてきてしまったせいだが…

いったい何を言われるのか…

まったく先ほどの評定よりも気が重いというものだ!!

さて気を引き締めるとするか


「父上!四郎丸でございます!入ってもよろしいでしょうか?」

来たか…

「大丈夫だ。入ってこい!」

四郎丸と一緒に大和守と右衛門大夫、それに大和守の嫡男が入ってきた。

「父上この度はお時間を取っていただきありがとうございまする」

「気にしなくて良い!して此度はどういったはないなのだ?

 重要な話というのは分かるが…なにせ大和守も一緒のようだしな」

さてどんな話し合いになることやら…

「まずは父上に召し上がって頂いていただきたきものがございます!!

 源兵衛!!持ってきてくれ!!」

大和守の嫡男が筒から何かを注いでいる。

あれは水か?そう思っていたが近くに持ってきたときに酒特有の香りがしてきた。

「どうぞお召し上がりください。最近できたばかりの新しい酒です」

まさかこれが酒だというのか⁉今までの濁っていた酒とは違い水のように澄みきっている。

それになんともいい香りだ。さて飲んでみるとするか

⁉⁉なんという飲みごたえだ!これはかなり旨い!

「これは旨いな!重要な話とはこの酒のことか?確かにこれは重要だな!!」

儂が笑み崩れていると四郎丸が返答してきたが、その内容を聞いて儂は思わず絶句してしまった!

なんでも通行税の廃止やら楽市楽座その利点や欠点、それの対策方法などまったくもって想像だにしないことがでてきてしまった…

これが数えで2歳の子供が考える事か⁉儂の時とは比べもつかん!!

やはり儂の息子はどこかおかしい…

しかし右衛門大夫は普通に接しているのだもう少し様子を見てみるか。

「内容はわかったがやはり家臣達を納得させるのは難しいな…

 よし取りあえず四郎丸の申す通り耶麻郡の直轄領でまずは初めて見るとするか」

だがまだ序の口だったようだ…

次の四郎丸の発言を聞いて再度驚かされることになろうとは…

「此度の酒ですが朝廷と幕府にも献金と一緒に送りたいと思います!

 それとこちらは私個人のお願いになりますが、

 長尾家との同盟を前提とした話し合いをしたいと思っております」

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