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天鏡記  作者: 藤桜
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1-6

天文17年(1548年) 陸奥国会津郡黒川城

蘆名 四郎丸


さて女中が新しい麦湯を持ってくる間にどう説得するか考えるとするか…

想像通りというか思っていた以上に拒否反応がひどい

おまけに今まで協力的だった右衛門大夫までもがこの状態だ。

下手な説明では簡単には納得すまい…

やはり欠点と利点を明確にするのと少しずつ意識の改革をしていくしかないだろうな…

考えをまとめている間に女中が新しい麦湯を持って入ってきた。

麦湯を一口飲み右衛門大夫達の様子を見てみれば、先ほどに比べれば幾分ましにはなったようだが下手なことを言えばまた噛みつかれそうだ…

少し気分が沈んだが話を再開するとするか!

「さて、一息ついたところで話を再開するとしようか!

 まず初めに先ほどその方たちが言ったような欠点が多々ある事は認めよう。

 しかしそれをおしてでも利点となることがあるのうえに対策も一応考えてはいる!!」

「利点と対策でございますか⁉それはいったいどのようなことでしょうか?」

意外にも聞いてきたのは今まで黙っていた源兵衛だった

「まず利点だが人の往来が増え領内が活性化するという事だ!

 そうなれば領内に人も物も増える。

 結果国力の増加に繋がりお家を強くすることになるというわけだ!」

「なるほど。確かに利点があることは分かりましたが…欠点の部分はどうするおつもりなのですか?!

 分かっているとは申しますが通行税をもらっている国土領主などはまず納得はしないでしょう!!」

今度は右衛門大夫が聞いてきた。

やれやれそう目つきを鋭くするなよな…怖いだろうが!!

「分かっている。まず通行税の代わりに市で売買をする者に税をかける!

 その日の売上利益の何割という感じだ!

 つまり領内で物が売れれば売れるほどこちらに収益が入ってくるという事だ。

 まぁこれにはその土地で売れるものを作っていかなければいかぬがそれも考えはある。」

「お考えは理解できますがそれだけでは納得しないものも必ず出てくるでしょう!

 そうなればいずれは謀反を起こす者も出てくるかと…

 それはどうお考えですかな?」

次に聞いてきたのは大和守か

「確かに大和守殿の懸念も分かるが、何も全てを一度に変えるつもりはない!

 まず耶麻郡一帯の直轄地、次に大和守殿や右衛門大夫の領地へと少しずつ広げていく。

 そして少しづつ成功例が出てくれば国土衆達も納得するほかあるまい。」

俺の言葉を聞き皆可能かどうか腕を組んで考え始めている

良い傾向だ。このままの勢いで押し通すか

「次に座についてだがこちらはあまり対応はしない。

 問題となるのは主に寺社勢力だからだ。

 だからそちらには蘆名家からの援助という形で納得していってもらうつもりだ。

 それならばむこうもそこまでうるさくいう事もあるまい」

一通り対策について話したところで喉の渇きを感じたので麦湯を飲むことにした。

さてこれで納得してもらえるか…

「父上、四郎丸様の考え一考の価値はあるかと私は思いまするがどうでしょう?…」

「源兵衛!!そのように簡単に答えて良いことではない!!何かあれば我が家も責任を取らねばならんようになるかもしれんのだぞ!!」

「だからこそ四郎丸様は我らに相談という形をとってくれたのではないですか⁉

 それに私も簡単に答えを出したわけではありませぬ!!」

まさかの親子の言い合いが始まったしまった…


天文17年(1548年) 陸奥国会津郡黒川城

佐瀬 種常(源兵衛)


相変わらず父上は考え方が硬すぎる…

今回の話うまくことが運べば我が家の発言力も増すことになることは間違いないのだ。

そして私はすでにこの話を受ける気になっている

ここはなんとしても私が父上を説得するしかないか…

「二人ともそう感情的になるな。大和守殿の懸念も理解できる。

 だからこの件の最終的な責任は私がとる!

 大和守殿と右衛門大夫には口添えという形をとってもらいたい。

 それならば大和守殿も納得してくれるか?」

四郎丸様が見かねたのか自分が責任をとると言い出してきた

「お口添えでございますか?確かにその程度で良いのであれば…」

父上は責任を取らずに良いと言われて明らかにほっとしている。

なんとも現金な事だ…

「それにここでどれだけ責任どうのと話し合ったところで最終的な判断は父上がすることになる!

 最悪お聞きいただけないかもしれないがそこは今のように私が説得することになろうしな…」

確かにその通りだ。

ここでいくら話し合おうとも殿が否と申せばこの話は無しになる…

四郎丸様は殿を説得できると御思いなのだろうか?

「まぁすぐにこの話を持って行ってもまず間違いなく駄目だろう…

 そこで説得する材料を増やす為にも二人の領地で作ってもらいたいものがあるのだが」

はて?何を作るおつもりなのか?

「何を御作りになるのでございますか?」

右衛門大夫も気になるようだな

「なにも難しいものでもない!簡単に言えば酒だな!!

 しかし色が澄みきった今までにない酒だ!!」

澄んだ酒か…確かに出来れば買いに来る商人が後をたたないだろう。

しかし澄んだ酒とは…本当に出来るのだろうか?

「作り方はおって右衛門大夫と共に私自身がが領地へと教えに向かう。

 初めての試み故失敗もあるかもしれんが、出来ればこの地の特産品になることは間違いあるまい!

 ただそこまで作り方が難しくはない為製造法が流出すれば真似する者も出てくるだろう。

 その為出来上がり次第いろいろと有効活用していくつもりだ」

そこまで考えているとは…

父上と右衛門大夫も取りあえず納得しているようだ。

ならば取りあえず四郎丸様に従い作ってみるとするか

その後四郎丸様が領地に赴く日などを決め、その日は座を下がるになった。


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