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天鏡記  作者: 藤桜
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天文16年(1547年) 陸奥国会津郡黒川城

金上盛備(かながみもりはる)


殿からの命を受けすぐ御方様と話しあった後にご嫡男四郎丸様の所へ参った。

「失礼いたしまする‼

四郎丸様この度お世話を仰せつかった金上右衛門大夫にございまする‼良しなにお願い致しまする‼」

そう言い頭を下げた後に四郎丸様の方を見てみれば静かにこちらを見ていた…

静かに見ているといえば聞こえは良いかもしれんが明らかに赤子の見かたではない!

こちらの思惑を探るような目つきで見ているのだ…

背筋になぜか一筋の汗が流れ、寒気が走った!

なんなのだこの赤子は⁉確かに御方様が心配する気持ちも分かるというものだ!!

四郎丸様はひとしきり見終わったのか「よろしくお願いいたします。」と一言いい頭を下げまた何かを考え始めた。

確かに言葉遣いも対応も赤子のそれではない…

うすら寒いものを感じつつも私は殿のご下命に応えようと四郎丸様に話しかけた。

「四郎丸様は何をお考えになっているのですか?」

声をかけられたことにびっくりしたのかわからんが不意にこちらをみた

「右衛門大夫殿は私が気味が悪くはないのですか?他の者は母上以外私にめったに話しかけてこないのですが…まぁその母上も明らかに私を避けていますが…そうか父上の命ということもあるか…」

そのような事を言われ私は目を見開き驚愕してしまった!

まるでこちらの考えが見透かされているかのような気分だった…

四郎丸様といえば少し悲しそうな表情をしていた

私は少し考えた…

ここでごまかすことは簡単だが四郎丸様は明らかに気づくだろう。

それならいっその事正直に言っても良いのではないかと…

「確かにこれは殿のご下命でございます。四郎丸様を観察し報告せよと」

私は丹田に力を込め正直に話す事にした。

「そうか…さて何から話せば良いか…」

四郎丸様は少し考えていらした。

「実はな私には生前の記憶というのかわからんがそういものがあるのだ!誰に言っても信じてもらえないようなものがな…おまけにこのような事を言えば皆気味悪がり最悪物の怪の類だと斬首もあり得よう。だから一人考えていた。」

とんでもない返答が返ってきた!!

普通に考えれば確かに四郎丸様の申す通りになってもおかしくはない!

ただ私はふと気になり四郎丸様に質問してみた

「その様なことだと思いませんでした。しかしなぜ私にその話をなさったのですか?この場で斬られることも四郎丸様には考えが及んだはずですが?」

「考えた結果明らかに隠し通す事が難しい事、そして右衛門大夫殿が信用できそうかもしれぬと思った事。まぁ斬られた場合はその時はその時だと思ったのだ!」

四郎丸様は苦笑しながら話してくれた…

これはまいった…どうすれば良いか…私一人で考えるのは明らかに度が過ぎている!

殿にも相談しなければ判断がつかん!!

「してこれからどうするのですか?」

私は訳が分からず四郎丸様に問いかけてしまっていた…

「どうするか…そうだなぁこのまま生きられるのならば取りあえず蘆名家を大きくしてみるか」

蘆名家を大きくする…

その言葉聞いて右衛門大夫は覚悟を決めたのだった。


天文16年(1547年) 陸奥国会津郡黒川城

蘆名 四郎丸


ヤバい!!

考えることが多すぎて訳も分からず話してしまった!!

どうするか?冗談だと笑い飛ばすか⁈

いや流石に無理だろうなぁ…そんなことを考えていた時

「四郎丸様‼蘆名家を大きくするその言葉に相違ございませんか?その言葉信じられるのならば某は四郎丸様にご協力いたしまする!!」

とんでもない言葉が返ってきた!!

まさかの協力すると言うのだ

「右衛門大夫殿はこの話をお信じになられるのですか?戯れ言だと一笑にふすこともできるでしょうに。」

そう普通に考えればこんなの子供の戯れ言だ!!赤子が言わなければだが…

「確かに四郎丸様の申す通りでしょう。ですが四郎丸様の目を見て話を聞いて戯れ言ではないと思いました。そしてお家の為とあらば何を迷うことがありましょう!」

マジか!!まさかの展開すぎる!!だが赤子の俺ではやれる事は限りなく0だ!協力してくれるというなら開き直って使えばいいか…

「右衛門大夫殿ありがとうございまする!では始めに此の話右衛門大夫殿と私だけの秘密とさせていただきたい!!父上にもだ!!」

この言葉には右衛門大夫殿もびっくりしていた。

「四郎丸様秘密にするのは構いませんが殿にも秘密なのは何故でございましょうか?」

「それは何かあった時に父上に類が及ばないようにする為だ!私一人の失敗なら最悪私の首一つでどうとでもなろう」

まぁ本音ではこれ以上自分の秘密を知るものを増やしたくなかったからだが…

「お考えがあるのは分かりました。して某は何をすれば良いでしょうか?」

何をするか…さて何から始めるか

「まず周囲の状勢と蘆名家の事などから教えてほしい!皆に聞いてまわっているがさすがに限度があるのでな。そこから自分の知識でどの程度ができるのが確認しながら試していきたい!」

右衛門大夫殿は「かしこまりました」と返事を返してくれた。

さぁ協力者も出来た事だしやれるところからやっていきますか

その後右衛門大夫殿とこれからの事について相談しながら決めていった。

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