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天鏡記  作者: 藤桜
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天文16年(1547年) 陸奥国会津郡黒川城

蘆名 四郎丸


数ヶ月たち自分のおかれている状況を確認できた。

転生したということを知り最初は喜びもした。

しかし自分の知っている歴史を思い出した所全然嬉しくないない事実が分かった

なにせ蘆名家は伊達家に滅ぼされる…

おまけに蘆名家の嫡男は確か酒毒の病やらなんやらで早世だってはず…

そして俺がこの地域の歴史についてあまり詳しくないという事。

しいていえば昔大河ドラマでやっていた幕末の時代の事ぐらいだろうか?

全然楽観視できない。

どうするべきか考えていると

「顔をしかめてどうかしたのですか四郎丸?」

近くにいる母親から声をかけられた。

「いえなんでもありませぬ」

「そうですか…」

母は怪訝な顔をしながらこちらを見ている。

なぜ母がこんな顔をしているのかは分かる気がする…

俺が薄気味悪いのだろう。

なにせ普通の子と違い数ヶ月で言葉を覚え大人と対等に話す

俺が親でも気味が悪いだろう。まぁ親になった事などないが…

今更取り繕うのもおかしいのでそのままにしている


とりあえず母のことは措いておいてまた考え事をはじめた。

先ず考えることは周辺勢力の事だろうなぁ

今は同盟関係にある伊達家ここは今の所問題ないと思う。

確か伊達家が攻めてくるのは政宗の時代だったはずだ

それに今の伊達は身内争いの真っ最中な上にここからしばらく弱体化していくはずだ。

次に考えるのは越後の上杉謙信‼今はまだ長尾景虎だったけか⁈

こちらとは確か敵対していたはずだがそちらも関東出兵や川中島で武田と戦っているからすぐにどうこうなることもないだろう思う。

そうなると今は国力の増強に努めるべきか?良くわからん!!

そもそも今の俺に如何こう出来る問題でもないな‼ 次だ‼

早世に関しては健康的にすごす事以外に思いつかなかった…

何せこの時代の医学知識はかなり低い…

俺も風邪程度なら対応法も分かるが他はからっきしだ

取りあえず酒毒と言われているなら酒を控えるしかできないしな…

いろいろ考えながらその日は過ごしていた。


天文16年(1547年) 陸奥国会津郡黒川城

蘆名 盛氏


「お前様あの子は大丈夫なのでしょうか?あまりに周りの稚児達と違いすぎ気がするのですが…

 もしや物の怪の類ということは…」

妻が息子の事で話があるというので聞いてみれば途方もない話であった。

なんでも早々に言葉を覚えたらしい。まぁそれは良いがなんでも大人のように話し色々と聞いて回っているというのだ。まだ赤子の息子がだ!

何を馬鹿な!と思い他の者に聞いても周りも同じ事を言う…

確かにおかしい…しかしやっと生まれた嫡男だ周囲も喜び儂もひと際喜んだ。

そんな子をすぐにどうこうできるはずもない…

「大丈夫だ‼せっかく出来た嫡男だというのに母親のその方がそんな顔をしていては四郎丸が可哀そうだ。もう少し様子をみてやれ!」

「そうですね…」

儂はそう声をかけるしかできなかった…

息子の事も心配だが正直な所今は他に考えなければならないことがある。

田村の件があり左京大夫様(伊達稙宗)を裏切り息子の方に加勢することにしたのだ‼

そのことで家中もまとめねばならんしやることが多いのだ。

「心配するな!戦が終われば儂も四郎丸の面倒を見る!立派な跡継ぎに育てねばならんからな…それまでの間良く見てやってほしい」

「わかりました…」

そう言い座を下がった。

しかしあいつにすべて任せきりにするわけにもいかんか…

誰をつけるか...

そうだな右衛門大夫にするか。

あやつなら知恵も働くし大丈夫なはずだ‼なんならそのまま守役の一人してもいいだろう。

「誰か!!金上右衛門大夫を呼んでまいれ!!」

近くの小姓達に声をかけた。


しばらく待っていると廊下をドタドタと歩く音が聞こえてきた。

「殿!!右衛門大夫お呼びにより罷り越してございます!!」

目の前には静観な若者が座っていた

「来たか…右衛門大夫その方に頼みたいことがあって呼んだのだ。実は息子の四郎丸ことでな…」

「四郎丸様の事でございますか⁉どういった事でしょうか?」

「その方も噂に聞いていると思うが、どうも他の赤子と違い随分と賢しらだというのだ!その事で千が心配しておってな。そこでその方にも見てもらおうと思ってな!頼めないだろうか?」

そういって頭を下げた。

「千姫様がでございますか?確かに四郎丸様の事に関してはいろいろと聞き及んでおりますが…

そういうことであれば他の宿老達の方がよろしいのではないでしょうか?こう言ってはなんですがまだまだ若輩者でありますから…」

右衛門大夫は断ってきたが今の現状ではこれが一番良いと儂は思ったのだ!!

なにせ内も外も今動かせる人材で信じられるのは右衛門大夫しかいないのだから!

「それは分かるが今は戦の最中だ…宿老達には近くにいてもらわねばならん‼それにずっとその方だけに任せきるわけでもない。まぁ正直その方がいないのも困るには困るのだがな。」

苦笑気味にそう言うしかなかった

右衛門大夫はこちらを窺いながら「かしこまりました」と言い下がった。

さて儂の息子は人か物の怪か…

考えることが多すぎるな…

そうして思考の中におぼれていった。


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