第十六話 政界
「なんかタケルが生活厳しいって連絡来たんですけど……」
「へー」
「大企業に勤めててもそうなるんですか?」
「まあ今の日本だとな」
俺は今の世の中の生きづらさに疑問を持つ。
「まあ、今の日本は税金で大体持ってかれるからな。働いたら分かるよ」
「そうですか……」
まともに働いたことがないから分からない。
「給与明細を老人に見せたら驚かれるくらいだし」
「そうなんですね」
すると平川先生は新聞紙を畳み、コップを手に取る。
「ほとんどは財務省がやってることだからな」
「いや、俺政治には詳しくないんですが……」
「まあ聞け」
「財務省ってのは増税したら出世して、減税したら左遷される。国民を舐め腐った機関だ。それに財源を握ってるからほかに省庁は頭を下げていく。簡単に言えば独裁国家だ」
「へー」
「すべてがすべて財務省が悪いわけではないが、今の世の中の生きづらさには関係があるだろう」
「なんか、それだけ聞くと悪く思えてきますね」
「そうだな。でもあいつらはベビーブーム世代のエリート中のエリートが仕切っているからな。良くも悪くもプライドってのが高いのだろうな」
「なるほど」
「ほかにも今の日本が衰退していく理由もあるぞ」
「なんです?」
「それは国会議員のイメージの悪さだ」
「……? イメージの悪さ?」
「まあ簡潔に言えば、国民が望んでないことをしでかすからな」
「俺ネットとか見ないからよく分かりません」
「例えば、裏金しかり国会で寝たり会議中に競馬の予想をしたりしてるからな」
「そうなんですね」
「まともな議員が目立たずにいるから国民も誰に投票したらいいか分からん」
「でもそれだと我こそはと立候補する人とかいるんじゃないですか?」
「もちろんいる。だが、志をもって政界に進むが、あまりの腐りようや待遇のよさでみんな寝返ってしまう」
「そうなるんですか……」
「今の日本の悪さを訴えたら議員はなんていうと思う?」
「さあ?」
「みんな揃ってこう言うんだよ『じゃあお前も国会議員になればいい』ってな」
「確かにそうですけど、なにかおかしなことでも?」
「これを言うってことは今の日本の悪さを理解しているし、今の政界を変えるつもりはないってことだよ。かなりタチが悪い」
「なるほど……」
「こんだけしでかしておいてお咎めなしってきた。ボケ老人しかいない政治じゃ日本も悪くなるもんだ。生理用品が消費税減税の対象外って頭おかしいだろ。国民の生活なんて何も考えていない」
「あんまり熱くならなくても……」
「そうだな。熱くなりすぎた……」
静寂が流れる。
「まあ、この私でもこれだけ不満があるからな。今の政治ってものに声を上げる人の少なさも原因ではあるが」
「確かに、色々言われますしね」
「まあ確実に言えることは、いまの政界が死んでもいい理由はある。」
「なんか怖いんで別の話でもしましょうか」
「そうだな……」
誰かこの日本を変えてくれないかな……。
こんな他力本願な考えがダメにするかもな。




