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血まみれた墓標に愛をこめて  作者: 千鶴
わたしのはじまりと、おわり。
1/13

プロローグ?

拝啓、天国のお父様。お母様。お元気にしていますか?


私、サリア・スウォードは今地獄にいます。


いえ、本物の地獄なんて見たことはないのですが、目の前の惨状は地獄と表す以外にどう言葉にすればいいのでしょうか。




ほんの、ほんの少しの好奇心だったのです。事の発端は最近街はずれに住み着いた獰猛で人を襲う獣。食料がなくなると畑を荒らし、夜になると人を襲う。住民からの苦情もあり、領主でもある私の父は国へ討伐を依頼。数日もしないうちに討伐隊が街へ来てくれた――のですけど。




好奇心が旺盛でお転婆な私は、酒場で盛り上がる兵隊さんたちのお話を聞いて、見てみたいな、なんて思ってしまったり…。




今では少し…いや、かなり軽率だったと思っています。なにせ剣術にはとても自信があったものだから。あまり大きい街ではないのだけれど、この街で一番強い、なんて持てはやされて天狗になっていたのでしょう。




剣術での試合なら負けたことはありません。幼いころから負け知らずだったのです。敵が少しくらい強かろうと、私ならば問題ない、とタカをくくっていたのです。




ですが、目の前のケモノと形容してしまうには異質な生き物は一体なんなのでしょう?護身用に持ってきた銃を使った攻撃にもビクともせず、剣による攻撃なんて全く効いてる素振りも無い。




動揺した私は攻撃をよけることもできず一発食らっただけで虫の息…。




助けてくださいと大声を発してみても聞こえてくるのは反響する自分の声と、バケモノの叫び声だけ。


周りには臓物を撒き散らし死んでいる兵隊さんしかいないし、誰かに助けてもらうのは期待できなさそう。


攻撃は何も効かないし、逃げようにも出口はバケモノの後ろ。バケモノは私のことを睨むような目つきでずっと見ているし、油断せず殺す機会をうかがってるみたい。




とても鋭利な爪が見えるわ。今、腕を振り上げて…。


そのまま振り下ろすだけできっと私は死んでしまうでしょう。まだ恋もしてないし、まだまだやりたいこともいっぱいあったのに。


あの子との約束も果たしてないし、学園に通って友達もいっぱい作って恋もして…。もう、目が霞んできちゃった。できれば苦しまないように一瞬がいいなあって、思うん、だけどな…。




私の記憶はここで途切れている。

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