初めてのクエスト開始
入学2日目、今日は学校生活についての説明をされた後、校内施設の見学をする予定になっている。
まあ、そんな予定通りには進まないのだけど。
今日起こるであろうことを考えながら担任の女性教師の説明を聞いていく。
「いいですか、この学校の近くに機械獣が出現した場合、生徒にクエストとして機械獣の討伐依頼が出されます。この際確認された機械獣の危険度も一緒に提示されるのでよく確認してから受けてください。レートは国際基準でE~SSSまでありますが、レートSSSの機械獣はこれまでに…」
ここでいきなり学校から支給されたデバイスからアラームが鳴った。
「おや、クエストが発令されたみたいですね。でも皆さんはまだ能力の確認どころか変身もまだなのでこのクエストを受けることをしないで…」
「ごめん先生、俺受けちゃった。」
そう言って焔君が気まずそうに手を挙げる。
「…まあ、現れた機械獣はレートEですし、君のコロシアムでの決闘を考えれば大丈夫でしょう。」
「よっしゃー!」
「他に受けてしまった人はいませんね?」
「あの~…すみません。」
そう言って申し訳なさそうに手を挙げたのは
「はぁ、あなたは何を考えているのですか…奥村 桜さん」
「あはは…」
「笑い事ではありません!あなたには危機感というものがないのですか!?」
先生は怒って注意している。いくら弱い機械獣とはいえ、戦う以上命の危険はあるから厳しくもなるだろう。
「…受けてしまったものはしょうがないですがクエスト終了後に二人共職員室に来るように。説教をしますから。」
「えっ!俺も!?」
「当たり前です!私の説明が終わる前の勝手な行動を許したわけではありませんからね!」
「は~い…」
「ではクエストを受けてしまった二人は正門に行ってください。」
そう言われると二人はトボトボと出ていった。今回はゲームでは主人公がメインヒロインと出会うイベントなので僕が絡むわけにはいかないだろう。よって、こっそり見守ることとしよう。
変身後の姿は本人が無意識に望む姿だが、これは融合するコアがその人のエナジーを介して思考を読み取っているのだ。つまり、エナジーを変化させられる僕は変身後の姿もある程度コントロールできる。
授業終了後、物陰に隠れて姿が変わらないように変身をする。その後、吸収した能力を複数発動する。使うのは「分身作成」と「透明化」、そして「気配遮断」の3つだ。分身は授業に出席させ、僕自身は透明化で姿とエナジーを、気配遮断で気配や足音などを消してこのイベントを見届けるのだ。
校門に行くと2人はすでに出発していたので急いで後を追う。今回機械獣が出現した場所は学校の裏山だ。機壊高校は適合者の養成施設としての側面も併せ持つので広い敷地を有しているが、広い土地が余っている場所には限りがある、高校の周囲は自然に囲まれている。
裏山の入り口でようやく2人に追いついた。2人ともすでに変身は済ませてあるようだ。奥村さんの変身後はフリルのついたスカートで腰には大きなリボンがついている。
「能力ってどうやって発動させるの?」
「俺の場合は使おうと思ったらできたぜ。」
「能力能力…え~い!」
手を前に出して叫ぶと手の先から火球が飛んで行った。
「わっ!でた!」
「おおっ!俺と一緒だな!」
「えへへ…」
意気揚々と山に入っていく2人。すぐに追いかけようとしてふと考えた。
「そういえばゲームでは表現されてなかったけど山で火なんか使ったら…」
火球が当たった木の着弾個所はきれいに丸くえぐれている。能力を使えばこうもなるだろう。しかし、触れてみると確かに熱いし、何なら残り火がチロチロと燃えている。
「サポートもするか…」
このまま山火事になったら大変なので見守るついでに火を消してまわろう。
「はぁ…」
思わぬ手間がかかることに若干気が重くなってきた。




