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僕の能力

勝負が終わった後、大けがをしている2人は保健室へと運ばれていった。

 原作でも好きだったシーンの一つを見ることができたのでまだ興奮がおさまっていないが、とりあえずお見舞いに行こう。


 2人のお見舞いに向かうと保健室の中から言い争う声が聞こえる。

「あ、か、ば、ね、ほ、む、ら、だ!」

「…赤羽」

保健室に入ると2人ともベッドに横になりながら言い争っている。

「やぁ、2人とも元気そうだね」

「あっ、優矢!聞いてくれよ、こいつ俺のこと絶対名前で呼ぼうとしないんだぜ。」

「ふん、なぜ名前で呼ぶ必要があるんだ」

「なぜって、拳で語り合ったらもう友達だろ?」

「…俺に友は必要ない。」

「だぁー!強情な奴だな!でも俺は蒼斗って呼ぶぜ!」

「すきにしろ。」


 焔君もあれだけ言われた後に友達になろうとするなんて心が広いというかなんというか…流石は主人公だ。そんな中、突然後ろから声をかけられた。


「おや、2人の友人かな?」


振り向くと、小柄な体格に紫色のウェーブがかかった髪の女子。

「はい、1年の宇治 優矢です。」

「ああ、君がそうなのか。私は3年で保険委員長の小林 紫だ。」

「2人は大丈夫そうですか?」

「ああ、けがは全部直しておいたよ。ただ、エナジー切れで今日はまともに動けないだろうがね。」

「それなら僕が…あっ」

「ん?」


しまった!原作では僕はここにはいないし、能力を把握するのはもう少し先のはずだ。


「エナジーを変化させられるのは知っているが、受け渡しもできるのかね?」

「いや~、あはは…でもこんなところで変身するのは…」

「かまわん、保健室内だ。やってみたまえ。」


なんか興味深そうな目で見られているし、やるしかないだろう。

とりあえず原作通りの姿に変身するか。コアにエナジーを流すと羊の顔がモチーフになったネックレスに変形する。


「変身」


体がエナジーの光に包まれて西洋風の鎧を身に纏い大きな盾を装備した格好になる。ここでは盾は邪魔になるしいったん置いておくとして、まずは犬神君から行くかな。


「やあ犬神君、会話は聞いていたね?」

「ああ、なんださっきの会話は。俺はお前とも友になったつもりはないぞ。」

「はっはっは、焔君の友達なら僕の友達さ。なっ、焔君。」

「おう!そうだな!」

「というわけでよろしく犬神君、いや蒼斗君。」

「話を聞かない奴らめ…」

「そんなことよりも、はい握手。」

「なっ、こんなことで本当にエナジーが…回復した!?」

「ほんとか!?…おぉー!すげー!」


驚く蒼斗君と焔君。しかし、時間がたつにつれ蒼斗君の顔が険しくなっていく。


「宇治、お前はずいぶんと自分の能力を把握しているみたいだな。お前も何か特別な教育を…」

「いやいやいや!僕は一般人だから!能力だってたまたま…」

「過程などどうでもいい、強いならばお前も俺と勝負しろ。」

「待てよ!そんなに勝負がしたいのなら俺が受けて立つぜ!」

そう言って焔君が立ちふさがる。


しばらくにらみ合った後、今日の敗北が効いているのか舌打ちをして保健室から出ていった。

「た、助かったよ焔君。」

まぁ、勝負をすることになっても怪しまれないようにうまく負けるつもりだったが。

「ああ!今後もああいったことがあれば力になるぜ!」

「まったく、今年の一年生は騒がしいな。ほれ、君たちも元気になったのなら早く帰りたまえ。ベッドをいつまでも占領しているんじゃない。」

「「す、すみません…」」

小言を言われてしまったので、僕たちは慌てて保健室を出た。


 焔君と別れた後に思わずため息をついてしまう。実際にゲームのイベントを体験できたのはよかったが、自分の能力を把握していたことが露呈してしまうというミスをしてしまった。あまり今後に影響はしないだろうが同じようなことをしてその後の展開が大きく変わってしまっては困る。次のイベントのことを考え、気合を入れなおして帰路に就いたのだった。



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