能力解放!主人公の力
「「変身‼」」
2人の声が重なり、それぞれのからだをエナジーの光が包んでいく。コアとの融合後は融合者が望む姿に変身する。ただし、無意識に心の底で望む姿なのでたまに大胆な姿に変身してしまうのはご愛嬌だ。
焔君の変身後は関節部を守るアーマーにファーが付いたジャケット、そして手には指ぬきグローブをはめている。一方犬神君の格好はレザーコートに加え武器として槍を持っている。
「これが…俺の姿…」
「さっさと始めるぞ、観客の数の視線も鬱陶しくなってきた。」
僕も周りを見渡してみるとコロシアムの観客席には同じクラスのメンバーだけでなく、上級生と思われる生徒や、教師の姿もちらほらと見受けられる。入学前から話題になっていた2人だけあって、注目度が高いようだ。
僕がコロシアムのステージから降りると同時にステージを覆うようにバリアが張られる。両者がにらみ合う中、開始のブザーが鳴った。
「行くぜ、うおぉぉ!」
焔君は叫びながら殴りかかっていく。…しかしその一撃は、犬神君が振るう槍によって受け止められるどころか、焔君が吹き飛ばされてしまうという結果になる。
「ガハッ!?」
「馬鹿め、変身後の身体能力はエナジーの総量に依存する。疲れているときならいざ知らず、今の状態で単純な力比べに負けるわけがないだろう。早く能力を使え、全力を出したお前に勝って俺の実力を証明するんだ。」
「クソ!言われなくても見せてやるよ!」
そう言うと全身から炎が立ち上がる。
「これなら、どうだぁ!」
その攻撃が当たる瞬間
「フッ…」
犬神君は不敵にほほ笑んだ。そして…
炎を纏った渾身の一撃は、
水を纏った槍に受け止められていた。
「フハハハハハ!終わりだ英雄の息子!身体能力で負け、能力も俺に効かない!これ以上は時間の無駄だ、ギブアップして負けを認めろ!」
焔君は悔しそうな顔をしながら連続で攻撃をするも、ことごとく防がれてカウンターを食らってしまう。それでも諦めはしないがダメージは蓄積していき、とうとう膝をついてしまった。
息も絶え絶えとなった焔君に対して、いまだ余裕のある犬神君
「もうあきらめろ、俺はお前よりも強い。いくらやっても変わりはしない。」
会場からもボロボロの焔君を心配する声が出てきている。しかし僕は知っている、主人公がこんなところで負けはしないことを。
「負けるわけには、いかないんだ…」
「ん?なんだ?」
「俺は!お前にだけは!父さんを馬鹿にしたお前にだけは、負けるわけにはいかないんだ!」
そう言って殴り掛かった拳は、犬神君を一歩後退させた。
「なっ、なぜ力が上がっている!?」
「うぉぉぉぉぉ!!」
観客どころか本人たちさえ何が起こっているかわかっていないだろうが、これは焔君の持つ特性によるものだ。
その名も「生存体質」
ピンチになればなるほど強化されていく特性だ。単純な力や能力が強化されるだけではなく、自身の生存が脅かされる要因に対しての耐性も得る。切られれば皮膚が硬質化し、焼かれれば耐熱性が上がる。しかも強化に上限はない。回復はしないので無敵というわけではないが、強力なのは間違いない。
そしてとうとう焔君の炎を纏った拳が犬神君の槍をはじき、犬神君が吹き飛ばされる。何とか立ち上がったものの、すでに目の焦点があっていない。
「俺は…強くあらねば…ならない…のに…」
そう呟いて、犬神君は意識を失う。
瞬間、コロシアムは歓声で満たされた。




