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再会
2 天 美 樋口
┃0 甲本工 笠田
9回ウラ
「バッターボックスには三番笠田潤。四球で出たランナーをここは意地でもランナーを返したいところ。いやーツーアウトまで来てやや制球も乱れてますね」
「これは面白いですよ」
投じた。
胸元への白球が一瞬にして消えた。歓声と打球音の響きだけが残った。あの白球をものの見事に運ばれていく。天を見上げた。
しかし、その歓声も長くは続かなかった。どのような状況なのか分からず、右向きに背後を振り返ると、笑みがこぼれた外野手のグローブには白球が見えた。
その時、やっと大きく息を吐いた。
「あれは打てん」
「高めが弱いから」
「たしか連携プレーにも阻まれたんや」
「外野も強肩でしたし」
「二度ホームで刺されたわ」
「あの頃のチームじゃなかったら負けてた」
ワイは居酒屋でひとり、呑んでいた時にたまたま樋口とばったり会う。そこであの頃に対戦したことを懐かしく振り返っていた。