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傾聴

作者: 海星

よく「介護職は『傾聴』しなさい」と言われる。


言われなくても『傾聴』するしかない場合も多いのだが。


「お母さんが言ってるの」


その方のお母様は既に五十年前以上に亡くなっていたりする。


荒唐無稽な内容でも意味がわかれば良いほうだ。


全く意味不明な事を言い続けている方もいらっしゃる。


「考えるな、感じるな、とにかく相槌を打て」


「何が『うん、うん』だ!」と機嫌を損ねられる方もいる。


何が正解なのかは人によって違うらしい。


でもまともに聞こうと思うと気が狂いそうになる。


理解出来ても間違えている事が多い。


その間違いを指摘する事は傾聴とは言わない。


「話を聞いて欲しい」という願望には出来るだけ応えたい。


日常業務に追われて「傾聴」が充分に出来ている状況ではないのだが。





血が繋がっていないからこそ傾聴できる。


「自分の親が変な事を言い始めたら、冷静ではいられなくなる」


きわめて普通の事だ。


私の祖母は認知症だったが父親の兄弟はテレビで高校野球をみながら「こんなたくさんの人がこちらを見てる」という祖母の言葉を「何言ってるんだ!」と怒鳴りとばしていた。


介護職員は「そうかも知れませんね」と傾聴しなくてはいけない。


しかし介護職員が身内の言動に冷静でいられない事も多い。


「他人だから」冷静でいられる、という事もある。


「あの聡明な父親が」「あのやさしかった母親が」と「もしかしたら間違いに気づくかも知れない」と藁にもすがる気持ちで怒鳴る、冷静ではないのだ。




認知症の人に限らず「聞いて欲しい」「本当は自分の中で答えがある事を人に質問する」と言うのは珍しい事じゃない。


かく言う私も過去に何度か感情的になってここに書き散らした事もある。


返信をもらい冷静になり「そういう考え方もあるんだ」と思う。


「その人の考え方は人に否定されるべきではない」と言うのは『傾聴』と言う考え方が定着している介護的なのかも知れない。


「その人の考えはその人の中では間違っていない」たとえ訳がわからない事を言っていたとしても「その人はそう考えている」のだ。

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