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Day Break Frontline  作者: 白宮 える
re:1 日常ブレイカー
3/20

第1話 ブレイクダウン.1

 ゴゴゴーーーッ


 崩れゆく鉄の塊が、今の今まで続いていた日常を一瞬で奪い去っていった。それは地に落ちるとすぐに、辺り一面に鉄くずを散乱させた。辺りに響くのは怒号、悲鳴。地獄の焦土と化したこの場所もほんの少し前までは人で賑わっていた、高層ビルが立ち並んだ都市であった。



 ゴゴゴゴゴーーーーーッ!



 また、空を引き裂くような、巨大な建物が落ちてきた。大きな黒い影の周りはオレンジ色でそまっている。残骸は道路を塞いだ。そんな混沌とした道路上を人々は逃げ惑う。絶望、恐怖などの負の感情で染まった表情を顔に貼り付けながら。あたりには黒コゲの車だったものや、落ちてきた建物の残骸が散乱していた。人々は近くの避難用シェルターに向かって大きな濁流となっていた。老若男女は関係ない。誰もが自分や自分の大事なものが助かることだけを望みながらーーーでも、その流れの中で唯一、その惨状を呆然と眺め、立ち尽くしている男がいた。道路のど真ん中に突っ立ったまま、どこを見ているというわけではなく、焦点の定まらないような虚ろな目で。男にはある感情があった。それは、絶望、戸惑い、恐怖、といったものではなく、なぜか懐かしさであった。どこかで見たような光景。ただ場所が違うだけで、時間、惨状はとてもそっくりである。


 こんな惨状を包み込むのは目を疑うほど美しいオレンジ色ーーー夕焼けであった。





 パキッパキパキッゴォオーーー!!



 コゲくさい臭いが辺りを包み込む。建物が崩壊し、火災まで起こったようだ。即座に火炎が辺りを覆った。この臭いも… 男がそう思い書けた時、ドンッと強く肩がぶつかった。その衝撃で男は少しよろめいた。


「いってぇなぁ、こんなとこで、、おまっ、蒼依アオイじゃねぇか!何やってんだ、早く逃げるぞ!!」


 ぶつかった男は戸惑いや恐怖の混ざった顔で、怒気を含んだ声で彼に向かってそう叫んだ。その叫びで、男ーーーアオイと呼ばれた青年は現実に引き戻された。


寛司カンジ、、!」


 アオイは目の前の男をそう呼び、気が付いたように辺りを見渡し、今置かれている現実を改めて理解した。そして、心にあった懐かしさは消え、純粋な恐怖、戸惑い、絶望を感じ始めた。少し頭痛がする。気持ちが急速に入れ替わったせいだろうか。懐かしさの後の絶望の味は最悪だ。色々な感情が混ざって混乱したのか、ズキズキと痛みはじめた脳内。思わず手を頭に当てる。


「うぅ、、」


「おい、アオイ、大丈夫か!?

 うわぁッ!!!」



 ゴゴゴゴゴゴゴーーーーー!!!



 再び周りの建物は崩壊を始める。今度は大きな地響きを連れて。


「うわぁあーーー!!

 早く逃げろぉーーー!!!」


 たちまちあたりの人は驚愕し、すぐに絶望、恐怖という感情も現れる。もう何度繰り返したかもわからないくらいの負の感情の連鎖、いや、輪廻であろうか。何人もの人々が揺れに耐えられず、地面にうずくまる。カンジやアオイも。



 キィィイギャァァアーーーーーーー!!!!



 続いて聞こえてきたのは、誰も今まで聞いたことの無いような奇妙で、そして不快極まりない音ーーー叫び声であった。金属が擦れているのだろうか。いや違う、それだけでは無い。叫び声の中には、獣の咆哮のような、荒々しく、そして、猛々しさもある。誰もそのようには思っていないだろう。彼らの中の絶望や恐怖は勢いを増し、急速に心の中を占領していったのだから。


「うぅ、やべぇな、、、」


 起き上がったカンジはそう呻いた。アオイもクラクラする頭痛をこらえてなんとか立ち上がった。同様に、うずくまっていた人々は次々に起き上がり、シェルターに向かって走り出した。再び人の流れは濁流となった。


「おい、アオイ、おまえもいくぞ!」


 カンジにそう言われ、腕を掴まれたアオイはなすすべなく人の流れに沿った。懐かしさへの疑問を抱く暇もなく。



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