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Day Break Frontline  作者: 白宮 える
re:2 心情シフト
19/20

第17話 エコー.1

避難の指示が機械ばった声で伝えられた。アオイとユイがいるところから山を下って300mほど先のシェルターに避難せよ、とのことだった。

2人はそこに向かうために外へ出た。すでに職員達が避難のための誘導を開始していた。まだあたりにNWCナウォックの姿は見えない。恐怖はまだそこまで感じてないが、アオイは気を張り詰めた。


「行こう、ユイ」


「うん。」


ユイも緊張し集中している。自分の命に関わる事態なのだから当然だ。

温泉施設の建物からぞろぞろと人が出てくる。十数名といったところだろうか。職員が点呼をとり、下山の案内を始めた。人々は歩き始めた。恐怖はじわじわと心を侵食していった。





「おい、このまま指示に従ってたら逃げられなんいんじゃねぇか?」


後ろで中年男の声が聞こえた。


「たしかに。俺らだけでも走って逃げた方がいい気がするな。」


恐怖か不安からか、そんなことを言っている。暗い山道で迷ったらどうするんだーーーアオイがそう思っていたその時、だった。



ウゥアァァオォオーーーーーン!!!



狼のような遠吠えが響き渡った。少し機械のノイズのようなものも混じっている音だった。ビリビリと空気が震えている。

アオイとユイを含むその場にいた人々は、姿は見えないが、NWCが付近にいることをはっきりと知覚した。恐怖は加速する。


「やっぱりやべぇよなぁ!

ゆっくりなんてしてられるか!!

にげろぉーーー!!!」


先ほどの男達はそう叫んで走り出した。職員たちの制止を振り切って山の中をかけて行く。それに感化された何人もが続いて走っていった。恐怖や不安からかだろうか、皆冷静さを欠いている。


「ね、ねぇ、アオイ、私たちもーーー」


ユイが急かす。だが、アオイだけは誰よりも冷静だった。


「いや、それは良くない。

この山は割と入り組んでいる。それに今は夜だし迷ったら山を抜けられないかもしれない。ここはあの人たちの指示に従った方が安全で良さそうだ。」


アオイは落ち着いた雰囲気と口調で言ってみせた。目にはそれでも強い力が宿っている。それを聞いた何人かは納得したのか、もう勝手に走り出そうとはしなかった。彼らは案内に従い、再び出発した。

ここにいるのは7人だけであった。


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