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九つの主人公と一人の黒幕─七つの大罪を添えて─  作者: オルタナ
第一章─平凡たる強欲(プレーン・グリード)の平凡たりえない物語(旧題:三人目の主人公編)─
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護衛依頼は陰謀の中に

陰謀ってネタバレするのはどうなんですかね?

今回はセリフ多めです。書くの面倒なんであんま書きたくないっすね。

あと次回、次次回の内容についてのお知らせがあとがきにあります。

御者と女貴族に自己紹介をし、早速出発することにした。

冒険者カードを見せることで本人証明をした。Eランクであることが少し恥ずかしかった。


馬車に乗っているのは、女貴族だけ。

御者は御者台の上だし、俺は護衛として馬車の前を歩いている。

森の空気は美味しかった。


護衛が俺以外におらず、お付きの人も一人としていないのを不思議に思った俺は、休憩の際に女貴族に尋ねた。


「なんで護衛が俺だけなんだ? 貴族ならもっとたくさんの護衛が必要なんじゃないのか?」


女貴族が答える。


「私の家ね、もうとっくの前から落ちぶれてるの。自分で言うのは恥ずかしいけどね」


もうすこしだけ話を聞く。


「なんで落ちぶれたんだ?」


答えは俺の予想外だった。


「私はもともと家を継ぐ予定じゃなかったんだ。でも、私の兄、正統な後継に問題があって。圧政を敷いたのよ。素人でもしないような愚かなことを。


その結果、反乱が起きた。いえ、()()()()。そう、反乱の音頭をとったのは私なの。反乱は成功し、そして、私は家を継いだ。


でも、そのころには全てが手遅れだった。民は長い間の圧政で疲弊していた。その状況で、私ができることはせいぜいこんな風に馬車に乗って他の貴族のもとに行き、頭を下げて、なんとか支援をしてもらうことだけなのよ」



現実とは辛く苦しいものだ。

反乱や革命が成功したところで、状況が著しく改善するとは限らない。


憐憫の念を心のどこかにしまって、俺は護衛に専念することにした。


苦々しい表情だった俺に気を使ったのか、御者が水筒を渡してくれた。

御者から手渡された()()()()()()()()水は、飲むふりをして近くの木にかけておいた。



問題が起きたのは、日が傾き始めたころだった。


女貴族が御者と問答している。


「この道、行き止まりじゃない! なにをしているの!」


「いえ、私は私の役目を果たしたんですよ。既にね。」


「あなた、何を言っているの! ふざけないで!」


来た道以外の三方向が高い崖で囲まれているこの場所は、行き止まりという他なかった。


御者は、御者台を降りて、来た道の方に小走りで向かう。

そのままそこにいた男に跪く御者。

男がこちらに尊大な態度で語りかけてくる。


「我が妹よ。そして、陰謀に巻き込まれた哀れな雑魚冒険者よ。お前らは罠にハマったのだよ。」


そういうことか、と合点がいく。


反乱によって追い出された女貴族の兄が、憎悪を糧に復讐しにきた。ということだろう。


だが、ここにおいて、俺の予想は少し外れていた。


「あなたは、死んだはずよ! いえ、殺したはずよ! 私が! この手で!」


女貴族の叫びに男が答える。


「ああ、そうだとも。私は一度お前に殺された。


だが、『あのお方』に蘇らせてもらったのだ。

そして、俺は復讐の機会を得た。」


女貴族は唖然としている。

喋らないようだったので、代わりに俺が喋る。


「『あのお方』とは誰のことだ。魔王か?」


俺が質問してくるとは思っていなかったのか、男は少しの驚きとともに俺の問いに答えた。


「お前はなかなか頭が回るらしいな。Eランクとはいえ、戦闘能力以外が長けている、ということもあるのか。


そんな賢いお前には答えてやろう。


んなわけあるかバーカ! 例え冥土の土産だとしても、情報を漏らしたりしねぇよ!」


小物悪役かと思ったら案外賢いようだ。侮っていたのは俺の方かもしれない。


挑発も無駄だろうし、さっさと状況が進展するのを待つ。

あくまで俺は護衛だ。受動的に動く他ない。


御者が言う。


「あの冒険者はいまごろ毒で体が鈍くなっているはずです。あなた様の手下を使えばすぐにでも殺せるかと」


その言葉を聞いた俺は体が鈍くなっている演技をする。

その言葉を聞いた男は手下、というか後ろに控えていた魔物をこちらに仕向けてきた。


そして、鼻を鳴らして去っていった。


2メートルほどの体躯のオークがこちらを睨む。


この状況をピンチだと思ったのか。女貴族が俺に声をかける。


「あなたは逃げなさい。多分私のような落ちぶれた貴族よりもあなたの方が価値あるものでしょう。毒が回っているとはいえ、御者が用意できるようなレベルの毒ですから大したことはないでしょう。


急ぎなさい。私だって囮になることくらいはできるわ」


女貴族の自己犠牲の精神に心から賛美の言葉を送りたい。

だが、俺の口をついて出た言葉はそんな言葉ではなかった。


「安心しろ。あんな魔物ごときに俺は負けないし、あんたを守り抜くのもわけないさ」


女貴族は何か言いたげだったが、俺が聖剣を構えると同時に放った言葉に対する返答はなかった。


「自己紹介の続きだが、俺は勇者だ。黙ってて悪かったな」



「聖剣技──結界──」


聖剣を天に掲げてそう言祝ぐことで、女貴族の周りを囲む結界を作る。


オークに向かって剣を振り下ろす。

オークは剣を持っていたが、俺の剣を受け止めた瞬間に灰と化した。


「お前ごとき、聖剣技を使うまでもない」


オークが本能のままにこちらに突進してくるのに合わせて、俺はオークの腹を聖剣で切り裂いた。

聖剣技を使うまでもない。(ただし結界を除く)

真面目な話雑魚冒険者って言われたのが頭にきてたんでしょうね(適当)


次回、次次回は同じ内容の話(ただし範囲が少し異なる)を女貴族視点、御者視点で書いたものになります。

女貴族の名前は次回明かされます。(予定)


改稿

昼過ぎに出発してたのに昼休憩があるのはおかしいよなぁ(適当)

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