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九つの主人公と一人の黒幕─七つの大罪を添えて─  作者: オルタナ
第一章─平凡たる強欲(プレーン・グリード)の平凡たりえない物語(旧題:三人目の主人公編)─
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王都

王都って何なんでしょうね。

言葉だけが一人歩きしている感じがします。

まあ、皆さんの考える王都が王都です。


ちなみに設定集の方に追記があります。

七つの大罪関連です。


改稿しました。

ファーストネームは前に持ってこいって言ってんだよ。

息巻いてニアの街を飛び出した俺だが、

実のところ、特に行くあてがない。


とりあえず王都の存在を主やオルタナティブから聞き及んでいるので、そちらに向かうことにする。


(王都の方角は?)


頭に疑問を強く思い浮かべる。

途端、自分の認識の中に王都の方角の情報が入ってくる。

この体の便利機能の一つである、ナビゲーション機能の便利さを知る。


こちらに飛び出してきた自分は幸運だったようだ。

おそらく、この道を道なりに進めば王都に着くだろう。



草原の道を歩くこと、なんと二時間ほど。

方角はわかっていたが、距離はわかっていなかった。

こんなことなら、なにか移動手段を用意しておけば良かった。


ようやく王都が見えてきた。

検問所の存在を忘れていた。

一体どんな名前を名乗り、どんな経歴を語ればいいのか。


というのも、俺は死んだ時に名前を失ったらしい。

いや、気がついたらなかった。悲しいことだ。



検問所はそこまで混んでいなかったので、待ち時間はそこまで長くなかった。

だが、考え事をする時間があまりなかったことは、どちらかといえば不運だろう。


「君、名前は?」


検問所の職員が俺に問う。


「プレーンだ。プレーン・グリード」


咄嗟に俺は、自分でもよくわからない名前を告げていた。


「生まれは? ここへはなにをしに?」


問いは続く。


「生まれはニアの街だ。王都には、出稼ぎに来た」


来た方角を鑑みれば、ニアの街生まれを装うのが自然だろう。

また、あそこはどうにも働き口が少なそうだったので、出稼ぎという目的を騙ることにした。


「そうか、君も若いのに大変だな。君の王都生活に明るい未来が待っていることを祈っているよ」


検問所の職員はそう言って俺に王都の滞在証を渡してきた。目的欄には『就労』の文字。どちらにせよ、お金は必要だ。


とはいうものの、実はお金には困っていない。

餞別の品々の中には、金貨も含まれていた。

この世界の金銭レートを見たところ、その金貨だけで数年は生活できそう、な気がする。


それにしても、定職に就くのは重要なことだろう。

勇者という身の上を当分明かす気がないのだからなおさら。



検問所を離れ、王都を少し歩き回った。

王都はとても広く、おそらく東京ドーム何個か分はあるだろう。


この王都で、何かしら運命的な出会いを果たしたいものだ。



そんな風に思索を巡らせているうちに、目的地に到着した。


冒険者ギルド。

冒険者を目指す腕自慢どもが、世界のさまざまなところから訪れるらしい。別に俺は冒険者になりたい訳ではないのだが、腕試しとしての意味合いも含めて、訪れたのだった。


受付で冒険者になるために必要な用紙に名前などを記入する。

この世界は識字率100%らしい。優秀だ。


用紙を記入した後に待っていたのは、試験官による模擬戦形式の試験だった。



結果は惨敗。言い訳をするならば、模擬戦用の木製武器しか使えなかったからだ。

聖剣の力抜きでは、俺はそこまで強くない。


でも、冒険者にはなれるようだ。

冒険者にはランク付けがあり、EからAまでの評価があるらしい。

俺はE。言うまでもないか。


冒険者カードというIDカードのようなものを渡された。

前世で持っていたIDカードとの相違点は、魔法に依存しているというところだろうか。

まあ、受けた依頼の情報や、依頼の達成率などがわかるのは便利なのだろう。



気がつけば、昼になっていた。

ニアの街を飛び出した時はまだ日が出ていなかったような気がするが、いろんなことに時間を使っているうちに、時間が過ぎていたようだ。


王都にも飯屋はある。

冒険者ギルドに併設されてる飯屋に行くのが楽だったので、そこに行く。


味は普通だった。いや、値段が相場より安いらしいので、これでもお値段以上の味だろう。



そういえば、今朝の朝ごはんは女将に持たせてもらった弁当だった。


(俺の行為によって彼女が少しでも救われていたらいいな)

いつかあの宿に舞い戻れる日が来ることを信じて、俺は空になった弁当をポーチにしまった。



冒険者ギルドの掲示板を見て、何の依頼を受けるかを考える。隅の方に、護衛募集の依頼があった。これにしよう。


依頼の用紙に冒険者カードをかざす。そうすると、冒険者カードの方に依頼の情報が記載され、依頼の用紙が消える。

いや便利だな。本当に。


依頼者の元に向かう。

依頼の開始時間は今日の昼過ぎだったのだが、間に合っているだろうか。


そんな心配を胸に集合場所に走る俺を待っていたのは、貴族っぽい女性と、馬車の御者だった。

なんで貴族なのに御者以外いないんですかね?(適当)

厄介ごとは絶えなさそうですね。

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