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九つの主人公と一人の黒幕─七つの大罪を添えて─  作者: オルタナ
第一章─平凡たる強欲(プレーン・グリード)の平凡たりえない物語(旧題:三人目の主人公編)─
6/57

正義の在り処は

主(人名)

ふざけた名付けだなぁ(適当)

残酷描写ってどこからどこまでをいうんでしょうね。

ちなみに本作品初のセリフがここで放たれます。()はあくまで考えていることで、セリフではないです。

というわけで、いますぐにでも飛び出したい気持ちを抑えながら耳に意識を集中させ続けること10分弱。


わかったことは、

・ゴロツキはこの街において地位のある人間の手駒だということ

・女将に声を荒らげているのは、勇者関係のことが理由だということ

誹謗中傷メインの罵声だったためわかったことは少ない。


だが、俺が勇者であるということは誰にも悟られていないだろうし、なぜ女将が勇者関係のことで罵られているのかは不明だ。


まあ推測の域を出ない話だが、女将が過去の勇者の縁者だったとか、可愛がられていたとか、そこら辺の勇者との関係に嫉妬した貴族あたりが嫌がらせをしているのだろう。



勇者とは、俺が思うにだが、人を救うものである。

それが理不尽なものであれば、なおさら。


ならば、俺がなすべきことは一つだろう。



その思考がまとまるときには、俺はすでに女将とゴロツキの間に立っていて、聖剣を抜いていた。


その輝きは太陽のごとく、月のごとく、つまりこの世界の全てを照らすもののようであった。


「聖剣技──閃──」


その祝詞は悪魔のごとく、神のごとく、つまりこの世界の全てを統べるもののようであった。



故に、その聖剣の閃きにひれ伏したのは、ゴロツキだけではなかった───。


とりあえず女将を抱きかかえる。勇者の役得、とはこういうことだろうか。


それはさておき。

状況を整理すると、俺がゴロツキと女将の間に躍り出て、そのまま聖剣を構え、文字通りの()()()を繰り出した。

つまり、ゴロツキは死んだ。俺が殺した。

悪人の死から罪悪感を引き出せるほど、俺は聖人君子じみてはいない。


不思議と、心は落ち着いていた。自分の冷酷さを今、知った。



女将が起きるのを待って、俺は状況を説明した。

そして、女将からいろいろなことを聞いた。


なんでも、勇者の殺人は─たとえ誰を殺したとしても─罪に問われないらしい。

それを聞いたとき、俺はこの世界に転生して初めて、怒りのようなものを感じた。


理性では理解できるし、納得もできる。

勇者はこれまでも、これからも、俺を含めて、悪人ではない。

だから、許されるのだ。


溢れ出る涙の理由は、少なくとも、気づかぬうちに自分が背負った重責と、ようやく感じた罪悪感だけではなかったことは、確かだ。


だが、状況を進めなければならない。

上半身と下半身が分か()れたゴロツキの死体()をしっかり見なければいけない。


女将と相談した結果、といっても俺に決定権があったのは確かだが、ゴロツキの死体は宿屋の裏庭に埋めることとした。


穴掘りに使われる聖剣の気持ちは、少なくとも良い気持ちではないことは、確かだろう。


だが、これもこれ以降の勇者のためになる行動なのだ。



どうせ穴掘りは時間がかかる。聖剣でやるからなおさらに。

というわけで、まだ説明していなかった聖剣についてお話ししよう。


聖剣はプラスチック製である、名前はまだない。

いや、正確に言えば、元は聖剣のレプリカである、そういうと話が複雑になるのだが。


もともと、この世界に聖剣などなかった。

主が持ち込んだものを除けば、の話だが。

主はこの世界に転生してくるときに、『身を守れる武器』の存在を願っていたらしい。慎重派の主らしいことだ。


その願いが反映され、主が転生したところには、元の世界でオタク活動に勤しんでいたときに買った()()()()()()()が突き刺さっていた。という話だ。笑ってしまう。


もちろんただのプラスチック製のレプリカというわけではなく、内部には魔法陣が刻んである。

その魔法陣によって発動される効果とは、()()()()()である。


つまり、この聖剣は切れば切るほど切りやすく、投げれば投げるほど投げやすくなる。


そこで話がようやく戻ってくるのだが、今、俺は、()()()()()()()()()させている。


馬鹿らしいことだと笑うものもあるだろうが、もしかしたら、この慣れを必要とする時が、俺の時でなくとも、あるかもしれない。


いや、きっとある。そうでなければ、憐れみのこもった視線でこちらを見る女将がなおさら可哀想だ。



穴掘りは終わり、死体も埋め、土も戻した。


どちらにせよ罪に問われないのだから、普通に報告すればいいと思う人もいるだろう。

だが、俺の良心は、一度抱いた罪悪感を容易に捨てられはしなかった。

ただ、隠秘したことで、気が楽になった。



(流石に、もうここにはいられないな)

俺はそう思って、この街に入った時とは逆の出入り口から、去っていったのだった。

(正義とお節介って、何が違うんだろうな)

女将の複雑な表情を思い出しながら、そんな物思いにふけりながら。

まるでラノベみたいなルビの振り方だぁ(適当)

上半身と下半身が分かれたゴロツキの死体と書いて現実と読む。ふざけてるのかな?

というわけでニアの街編終了です。

本当はレプリカ屋に行く予定がありましたが、別主人公に回します。

ちなみに作者は枕元にアニメの聖剣のレプリカをおいてます。なんででしょうね。愛着かな?


こっから真面目パート。

ちょっと文学的な描写を入れてみました。

冷やし中華始めました的なノリなので深く考えないでください。

今思うとふざけた法ですよね。私が考えたんですけど。

まあ罪悪感がある主人公なら平気でしょうけど。

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