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ヒストリカル!法隆寺中学校  作者: プリンアラモード
第3部 名門私立学校との出会い
30/32

30幕 抜き打ちテスト

 その日、漢字の抜き打ちテストがあった。満点が五十点の小さなテストだが、真面目に授業を受け、毎日コツコツ勉強していないと結構キツい。

 教室にシャーペンを滑らせる音だけが響く。横目で太子を見る。何やらブツブツ言っているが、シャーペンすら持っていない。完全に解答を放棄してしまっている。僕はそんな彼をよそに問題へと戻った。

 平仮名を漢字に直し、漢字を平仮名に直す。そんな問題を25問全て解く。時計を見ると、まだ5分程時間が余っている。テストに見向きもせずシャーペンを鼻に乗せて遊ぶ太子をよそに、僕はその最後の5分を見直しに使った。

 「止め!」

そして、太宰治先生のその言葉でみんながシャーペンを離した。

「では、後ろから回してきたください。」

その言葉の後、みんなはその通りにし、やがて、自分の所に回って来た。僕はそこに自分のを重ね、前へ渡した。そうやって、前まで運ばれ、先生に渡された。

 こうして、全員文のテスト用紙を集め終わった先生は、1つに束ね、チャイムが鳴ると教室を出ていった。

「『にんべん』忘れてたっー!」

「『さんずい』じゃなくて『にすい』だったかー!」

「横棒1つ多かったわー!」

そんな声が聞こえくる。

 僕はそれは無視して、太子に言った。

「どうですか、太子?自己採点の方は...」

「50点!」

彼は言い終わる前にそう言い張った。

「嘘つけーい。」

僕はそう言ってやった。

 そして、次の日の国語の授業。僕は44点。3問も間違ってしまった。僕は少し憂鬱な気分で太子に点数を聞いた。すると、

「50点!」

とドヤ顔でテストを押し付けてきた。あっ、ホントだ、50点...って...。

「5点だろ、これ。」

僕は言う。太子は

「ご...50点だよ。」

と少し焦った。

 「5点。」

「50点。」

「5点。」

「50点。」

「5点。」

そんな馬鹿みたいな言い合いをしていると、後ろの方からイケメンの徳川慶喜の声がした。

 「えっ!?慶喜また100点!?すげぇ!」

「でもでも、勉強なんてしてたか?結構遊んでばっかだった気がするが。」

「彼女とやったんだから、出来て当たり前さ。」

その言葉を皮切りに僕と太子の言い合いは止まった。ついでに、体も止まった。

 同日、我が家にて。僕と太子は卓上にそれぞれのテストを置き、考えていた。なぜ、いかにも遊び人の慶喜がいつもあんな点数を取れるのかを。なんで、僕はあんなのに負けたのかを。

 「結果は努力に比例する物では?」

「それを太子が言いますか。」

「私は何もかも捨てて、勉強に打ち込んできたと言うのに。」

「いえ、勉強もろとも捨ててますよ。」

「これが生まれもった才能の差と言う奴か!」

「太子には才能の欠片もありませんけどね。」

 「さっきからうるさいぞ!妹子よ!」

出来るだけ自然に言ってきたつもりだったのだが、流石に頭に来たようだ。僕は一応しっかり謝っておいて、

「それにしても、慶喜って何なんですかねぇ。」

と言う。

「何処の誰かも分からない女と乳繰れあっているクソビッチ。故に残念なイケメン。」

太子が言う。たしかに、ある意味そうなのかもしれない。

 「あの顔腹立つし、今度引き裂いて、納得のブスにしてやろうか!シャッー!」

猫の威嚇のようなポーズを取る太子。僕は、発言が暴力的になり始めた太子に、

「その変にしといてください。壁に耳あり障子に目ありって言いますから。」

と言った。

 すると、太子の暴力的発言は止まった。だが、彼の体までが止まった。いや、少し震えている。

「妹子っー!妹子がそんな事言うから、怖くなってきたじゃないかっー!」

そう言って泣きついてくくる。僕はその顔を前へ押し込む。それても、彼は悶えながら、

「今日は一緒に寝てくれぇ!」

と懇願してくる。僕は折れることも無く、

「嫌ですよ、この野郎ぅ...。」

と彼を引き剥がし、自分の寝室に行った。

 もちろんのこと、その日は扉の鍵を閉めて眠りに就いた。

「それにしても、太子の奴、ことわざも知らないなんて...。それで、文字通り受け取っちゃうとか、ホントバカなんですねぇ。」

と最後に陰口を言って。

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