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ヒストリカル!法隆寺中学校  作者: プリンアラモード
第3部 名門私立学校との出会い
27/32

27幕 前代未聞の狂戦士

 試合は太子のサーブから始まった。

「おりゃぁぁぁぁぁっっっっっ!」

そんな怒号と共に彼の超強烈なジャンプサーブが繰り出される。大声は反則のはずだが、正式な場では無いので僕は目を瞑った。

 と、そうやって打ち出されたボールはは凄まじい音を立てながら、とんでもない速度で縦回転をし、信じられない弾速で、地面に激突する。激突した地面を抉ったと思えば、今度は高く遠くへと吹っ飛んでいった。太子は15点を先取した。彼は明らかに人間離れしてしまっている。

 そして、次のサーブ。今度も太子はジャンプサーブを繰り出してくるのだが、先程のような超が付く程の強烈さは無い。実を言うと、僕は小さい頃からテニスを習っていて、何となくレシーブの感覚は覚えている。僕は冷静にボールの軌道を目で計り、落下地点へ。そのまま、縦向きのラケットを横へ振る。すると、ボールは太子の方へと返っていた。

 「はいぽん!」

太子にボールを返され、同じく僕も返す。

「はいぽん!」

また返されたので、また返す。

「はいぽん!」

またまた返されたので、またまた返す。そんなラリーがしばらく続いたその後。

 「せいりゃぁぁぁぁぁっっっっっ!」

また、太子が怒号と共に縦回転のストロークをぶち込んでくる。しかも、どちら向きの回転かと言うと、相手向きの回転である。僕はコントロールを間違えたんだろうなと思いつつ、それを眺めている。しかし、それは大きな間違いであった。

 その相手向き縦回転のボールはベースラインギリギリでバウンドし、前へと飛んでいきサービスラインの少し前で再びバウンドした。

「そんなのありですか!?」

僕は驚きのあまりラケットを下に落としてしまう。そして、ツーバウンドしたボールは勢い余って、太子の体へ激突。彼は鼻血を出して、倒れた。と思えば、鼻を押さえて芝生をゴロゴロと転がる。その度に、芝生の草が舞い上がった。

 「この人、どこまでバカなんだろ。」

僕はその様子を見ながら呆然とする。優れて才能と言うか人間離れした才能と言うかそんな物が備わっているのに、このバカさは何なのだろうか。ギャップにしても酷すぎるが故、そんな太子が優勢なのはかなり屈辱的である。

 何はともあれ、太子は僕から30点を奪った。のにも関わらず、バカみたいな顔で、

「な、中々やる...な...!」

と言っている。僕は呆然としながら、

「いや、僕も何もしてませんけど。そもそも、何の話だかわかりませんけど。」

と「いやいやいや」と首を横に振る。

「しらばっくれるんじゃないぃぃぃぃぃっっっっっ!」

「いや、何でキレられなぎゃいけんないのぉぉぉっっっ!?」

彼の言葉に僕はそう言った。

 そんなキレた太子はより一層強かった。横回転にかかったジャンプサーブ。その変化する軌道にレシーブはできずまたゲームポイントを取られる。その次は何とかレシーブを返せたが、相手にとって絶妙な位置へと飛んでしまい、スマッシュを打たれ、あっさり1ゲームを取られてしまった。

 そして、2ゲーム目。僕は無難にノーマルなサーブを打った。

「はいぽん!」

レシーブを打たれる。右に来たので、両手バックハンドで打ち返す。自分では結構、強烈な物を打ったはずだ。だが、彼の前には無駄であった。何とそのそこそこ強烈なバックハンドをボレーで打ち返してしまったのである。小学生とは思えないその才能に驚きながらも、僕はファアハンドで打ち返す。すると、運の良いことに彼から一番遠い場所でワンバウンドして、ついに僕は彼から15点を奪取した。僕はガッツポーズをする。

 「調子出てきたぞー!」

そう言って、今度はジャンプサーブを難なく繰り出す。太子はそれを難なくレシーブで返す。そらから、しばらくのラリー。その末、彼に点を取られてしまった。

 こうして、2ゲーム目は進んでいき、太子にゲームポイントを取られて、それはまぐれの連続によるデュースで凌ぐ。しかし、結局2ゲーム目も彼に取られてしまう。

 続いての3ゲーム目。もちろん、僕は勝つことなど出来なかった。ここでは、何とか15点を手に入れることが出来たのだが、やはり彼には敵わず、あっという間にマッチポイント。デュースになることも無く、3ゲーム全てを取られてしまう。

 そんな僕の惨敗と言う結果に終わり、僕は芝生にもたれた。そのよこに太子もやって来て、横になった。

「やるね、君。」

「何ですか、その上から目線は。」

「いや、私をここまで熱くさせたのは君が初めてだよ。」

「だから、何なんですか。その上から目線は。」

「他の連中は雑魚ばっかりでね。ありゃ、テニスクラブ失格じゃないかなぁ。そう思うでしょ、君!」

そうやって、僕の方を叩いてくる。流石に僕も穏やかではなくなった。

「いや、人の話を聞けよ!」

 「ふわっつ?」

そんな太子のリアクションに僕は思わず吹き出し、それに次いで当事者まてもが笑い出す。僕たちは芝生に寝転び、しばらく笑い合った後、すくっと立ち上がる、あたがいに見つめ合った。

 目と目が会う瞬間。太子は、

「私は太子だ。君の名前は何だね。」

「知ってます。僕は小野妹子。小さい野に妹の子って書いて、『おののいもこ』って読ませるんです。」

僕が聞かれたことに答えると彼は

「妹に子?オカマ?」

と首を傾げる。僕は、

「バカ、ちげーよ。よく言われますけど。」

と一応、否定しつつも現実から目をそらさずに言う。

 「そうか、そうか!じゃぁ、宜しくな!妹子君よ!」

太子が手を出してきたので、

「だから何でそんな上から目線なんですか。」

と良いながらも、その手を握った。

 すると、太子は握った手を勢いよくブンブン振って来たので、

「痛い、痛い。」

と言うのだが、

「いってぇぇぇぇぇっっっっっ!」

一番痛そうなのは太子であった。よく見ると、彼の方には青タンが出来ていた。僕は別にその青タンが気にもならずのただただバカだなと呆れた顔をしてみせた。

 そして、この日以来、僕と前代未聞の狂戦士・聖徳太子はあ互いにかけがえのない大切な存在だと、自分たちは真の親友であると思うようになっていった。

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