22幕 平安中学校
「さぁ、早く行きますよ。」
僕は太子にそう言う。彼は、口を押さえて欠伸をしながら、
「へ~い。」
と言って歩き出した。
今日、僕たちが行こうとしているのは平城中学校と同レベルの学力を誇る名門私立学校。平安中学校。かなり広く、ボンボンが集まっているらしい。しかも、政治家として将来有望な人が多い。そして、歌人や俳人としても。
「こ、ここが平安中学校!?」
太子は平城中学校の時とほとんど同じ驚き方をする。そこはかなり広かった。本来、あるべき校庭が見当たらない。代わりに、庭園がある。そこには、池や橋、水路などが点在している。しかも、やけに建物が多い。どうやら、学生寮らしいが、僕たちの知る限り、学生寮のある中学校は、ましてや、敷地内にそれがある中学校など見たことがない。門には生徒会の腕章を着けた、生徒が覗いている。
しかも、校舎は何故か寝殿造。1階に3学年全てのフロアが収まっている。玄関は庭を囲み、真ん中は3年生、左は1年生、右は2年生と分かれている。それから、職員たちは、3年フロアのど真ん中の部屋に集まっている。
「何者だ!」
やぐらから覗く生徒会の人が怒鳴ってくる。僕は、彼に招待状を見せる。すると、
「よろしい!」
と、言って門を開けてくれた。それから、庭園の景色を楽しみながら、僕たちは裏にあった客用の下駄箱に靴を入れて、中央の職員室の役割をするフロアへ入った。
そこで、出会ったのは、藤原兼家や藤原頼通、藤原定家などの名字が「藤原」の方々と、中央にいる藤原道長理事長。
「こんにちは。」
僕はそう言い、頭を下げる。ボッーとしている太子の頭も無理矢理、下げさせた。
そして、理事長は即興で短歌を完成させた。
「この世をば我が世とぞ思う餅月の欠けたる琴の梨と思えば。」
響きはとても良かった。しかし、漢字がすごくヤバい。例えるなら、曲の空耳のような感じだ。
それから、理事長があることを勧めてくる。それは、この後、体育館で行われる連歌会。ゲスト募集中だと言う。
見る限り、ここは平安時代を元にしているように見える。だが、連歌と言うのは鎌倉時代からの遊びであったはず。そんな疑問は好奇心によって消し去られた。
「やります!」
僕は宣言する。
「嫌だ!嫌だ!」
と反対する太子の頭を押さえながら、飛びっきりの笑顔で。
こうして、僕たちはその連歌会のゲストとして参加することとなった。ちなみに、この連歌会は、各学年の親善目的で行われているので、勝ち負けは無いらしい。




