1幕 ヒストリカル!法隆寺中学校
「太子、起きてください。学校行きますよ!」
僕はそう言う。しかし、太子は鼻提灯を膨らませながら、ぐっすり眠ってしまっている。そこで、今度は、彼の体を揺さぶりながら、さっきより大きな声で、
「太子、早く起きてください。遅刻しますよ!」
と言った。まだ、起きない。流石にキレたので、僕は
「起きろっーーー!」
と耳元で叫んでやった。すると、鼻提灯が割れて、彼は飛び上がった。
「うわぁぁぁ!」
と驚きながら。そして、しばらくの沈黙。それが、終わると彼はふと、時計を見た。すると、
「何でもっと早く起こしてくれなかったんだー!妹子ぉぉぉ!」
と逆ギレされた。僕は、
「いや、何度も起こしましたけども...。」
と返す。
それから、僕たちは朝食を済ませ、学校の準備を整え、ドアを開けた。
「妹子、早く行くぞ!遅刻する!」
「いや、待ってたのはこっちなんですが...。」
「うるさいぞ!妹子!走るぞ!妹子!行くぞ!妹子!ついてこいよ!妹子!」
「ああ!!妹子、妹子うるさいな!そんなわかってんだよ!」
「妹子、ショートコントをしてる場合ではないぞ。走るぞ!」
「ああ、もうわかりましたよ!行きますよ!」
そして、僕たちは走り始めた。
「おりゃぁぁぁ!」
太子が大声を出しながら、とんでもないスピードで走るので、僕は追い付くことで精一杯だ。そんな中、何とか
「太子、待ってください。前に気をつけてください。」
と警告することができた。彼はそれを珍しくちゃんと聞いてくれたようで、
「いや、絶対にぶつからないぞ!でも、注意するに越したことはないな!」
と、答えてくれた。
ゴッツーン!
しかし、数秒後には前方不注意で誰かとぶつかってしまっていた。僕はフラグ回収早っーーー!と目を丸くして、太子に近寄った。すると、何ということでしょう。
「あなたに一生着いていきます。どうか、私と...へぶらっ!?」
彼がぶつかった人に迷惑をかけていたので、僕はチョップでそれを制止し、その人に、
「家の太子がすみません。」
と謝ってから、彼に
「ほら、早く行くぞ。」
と言って、その体を引きずり始めた。この状況でも、
「おい!妹子、話してくれ!あの人は私の運命の人だ。」
と言っている。全く何なんだ、この人。僕はそう思いながら、彼を解放してあげた。すると、またあのスピードで走り始めた
ゴッツーン!
フラグ回収早っ!なんなの、この人!?僕は奇妙に思いながら、太子に近づいた。すると、何ということでしょう。
「私はあなたの摂政として生きて...ギャー!!」
彼がまた迷惑をかけていたので、僕は心変わりが早いなと思いながら、蹴りでぶっ飛ばし、その人に
「すみません。」
と謝ってから、再び走り始めた。
その後も、ずっと走っていると、やがて、太子が空から帰還してきた。彼の肩には宇宙人が乗っている。お前、どこまで飛んだんだ?と、ツッコミたくなるが、我慢して、走りに集中した。
学校のような建物が見えてきた。すると、彼は焦って信号を無視してしまった。しかも、運の悪いことにそこへ大型トラックが通りかかった。と、三度何ということでしょう。彼はそのトラックを我らが白井健三考案の難易度Hの技『シライ3』で飛び越えたのだ。僕は、信号を待ちながら
「えぇぇぇぇぇ!?」
と驚かずにはいられなかった。だって、『シライ3』だよ?最高難易度のHだよ?そんな技を、軽く決めちゃうなんて、本当に何なんだあの人...。凄すぎて、言葉も出ない。僕はそんな思いで、横断歩道を渡った。
そんなこんなで、ついに僕たちは中学校についた。そこは、木造の塀に囲まれ、校舎は全て木造だった。風情はあるが、火事になったらヤバいんじゃね?そんな心配をしながら、僕たちは正門を抜け、入学式に滑り込んだ。もちろん、遅刻だったので、ナポレオンとか言う、二角帽子でハゲを隠している厳つい先生に
「初っぱなから遅刻とは何事だ!」
と怒られてしまった。