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冒険者ギルドの受付嬢? さん  作者: くれないこがね
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37 ビンボ嬢様 2

「なんですかそれ?」


 湖のほとりにたどり着くとリタさんは、懐から液体の入った小さな小瓶を取り出した。


「何って、スライムですわ」


 瓶のコルク栓を外し中身を手のひらに出して行くリタさん。

 たしかにもといた世界にオモチャとして売られているスライムとなんら変わらないように見える。

 あれって遊んでるとなんか黒くなるよね。


「そんなものどうするんですか?」


 まさかこんな所までスライム遊びをしにきたわけではないだろう。まあ、うん、でも女子にスライム。嫌いではないが目的が分からない。


「あなたスライムを使ったことはなくて? まあいいわ、ちょっと見てらっしゃい」


 そういうとリタさんは、そこら辺に落ちていた長めの木の枝を拾い先端にさきほどのスライムをつけだした。

 正直、何をしようとしているのか見当もつかない


「それじゃあ、いきますわよ」


 スライムのついた枝を大きく振るうリタさん。

 枝についたスライムが糸状に伸びていく。へぇー、釣り糸ってそうやって作るんだ。


「後はこれにうきと針ををつけて完成ですわ」


 あっという間に釣竿を完成させるお嬢様。なんだろう、すごい生活力があふれていらっしゃる。


「ほら、あなたもやってごらんなさい」


 リタさんが手に残ったスライムをそのまま差し出してくる。

 えっ、直で受け取る感じ?


「何をしてるの? 早く手をお出しなさいな」


「はい」


 言われた通りに手を差し出す。リタさんの手からスライムが垂れてくる。なんだろうこれすごいドキドキする。これはあれかな。


「メリッサ何故、財布を取り出しているの?」


「オプションの料金を払った方がいいかと思いまして」


「訳の分からないこと言ってないで早く受け取ってくださる」


 えっ無料で。

 いや別に変な下心とかないからね。本当に。

 リタさんからスライムを受け取る。ああ、なんだこれ。すごい。うん。なるほどなるほど。すごい。

 いや、別に本当にね、変な意味じゃなくてね。うん。純粋にそのひんやりとして気持ちいいとかそれだけなんだから。


「これ、どうすればいいんですか?」


「もう、しょうがないわね。ほらこの枝につけてごらんなさいな」


 リタさんがちょうど良さそうな木の枝を渡してくれる。これの先端にスライムをつければいいのか。

 ん? あれ、思ったよりサラサラしていて全然くっつかないけど。


「何をしているの? 魔力を込めないとつくわけないでしょ」


 あっそうなんすか。それは先に言って欲しい。

 おっけい。魔力を込めるのね。最近はもう魔力とやらの扱いにだいぶなれてきましたからね。ちょっとみててくださいよ。


「こんな感じですか」


 言われた通りにスライムに魔力を流す。なにこれ。スライムの粘り気が増してきた。

 いや、あれあれ、ちょっと待ってなんかガチガチかたまってきちゃったんだけど。


「リタさん、ガチガチの石みたいになっちゃたんですけど」


「魔力をこめすぎよメリッサ。なにこれ本当にガチガチじゃない。どれだけ込めたのよ。メリッサ、あなた不器用ね」


 はい。お気づきの方もいらっしゃると思いますが、もう全然なれてません。

 なんか自分、人より魔力が強いらしくてですね。軽く出しているつもりでも多く出ちゃうみたいなんですよね。

 なんかもう、心は優しいのに力が強すぎて触るものみな傷つけてしまう悲しきモンスターみたいな状態です。


「しょうがないわね。これ使いなさいな」


「いいんですか、ありがとうございます」


 さっきリタさんが作った竿をもらう。

 リタさんはもう一本の竿をつくりだす。とても手際がいい。


「あとは餌だけね」


「餌ですか」


 餌、なんだろうとても嫌な予感がする。


「ちょうど良さそうな石があるわ。これをもちあげて」


 スイカぐらいの大きさの石をひっくり返すリタさん。


「いましたわ、ほら良さそうなのか」


 いたって、いたってあれだよね。

 なにかしらを捕まえるリタさん。

 やめてお嬢様、そんないい笑顔でこっちもってこないで。


「ほらあなたのぶんも捕まえたわよ。ちょっとメリッサ何故逃げるのよ」


「いや、、ちょっと、ほんと、虫はちょっと、まじで。ほんと、事務所NGなんで」


 素手でなんかヤゴみたいなやつ捕まえてきたよ。すごくないこのひと。本当にお嬢様なの。ほんとやめてしい。虫怖い。


「訳わかんないこと言ってないで餌ぐらい自分でつけてくださる」


「どうしてもですか」


「どうしてもよ」


 鬼だ。鬼だよ。スパルタ生まれのスパルタンだよ。


「ほら早く手をおだし」


 虫をできるだけ見ないように渋々手を差し出す。


「きゃあ」


「まだなにも乗せてないわよ。なに乙女みたいな声出してるのよ」


「だって乙女だもの。誰がなんと言おうと今の私は乙女だもの」


「はいはい、わかったから早くしてくださる」


 わかった、わかったよ。やってやんよ。じいちゃんが言ってたもん。人間は死ぬ気になればなんでもできる。それでも俺はあのときあいつを……あいつを救ってやることが……って言ってたもん。


「わかりましたリタさん。一思いにやってください」


「一思いにって別にとって食うわけじゃないんだから」


 ※ここから事細かく描写しようと思ったのですが、思ってたよりもグロくなってしまいました。なのでここではあえて多くを語るのはやめました。ここからはメリッサのセリフのみでお楽しみください。


「うわ、うわー。これうごっ、これうそ、えっうそ、これをさすの? いや、ほんと、いや、まじで。えっ、うわーうわーえ。なんか、なんか、でて、うわーうわー。ひっ。ひっぐ。ひっぐ。でぎまじだ。りだざん」


「あなた、もう少し静かにできないの」


 あきれながら半べそのおれを眺めるリタさん。何はともあれ釣りの準備は整った。


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[良い点] 虫怖がってるのかわいい(確信)
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