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冒険者ギルドの受付嬢? さん  作者: くれないこがね
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36 ビンボ嬢様

「暇だ」


 何はともあれアキムさんに魔法を教わってから二十日がたちました。これはこちらの世界での二週間に当たるのですがそこらへんの細かい設定は一度おいといて。

 何はともあれ、時の流れとは早いものです。


「ネットの動画配信とか観たい」


 実は先週に個人的には大事件がありました。しかし少々デリケートな話題で触れづらくてですね。その上に作者が男ゆえに圧倒的な経験、知識不足なのです。

 だからここでは、イリーナさんがいてくれて良かったとだけ言わせてもらいこの件は割愛させていただきます。


「SNSとかしたい」


 さてさて、最近ギルドでの生活はすこし慌ただしいものでした。やれゴブリンだのやれオークだのと、亜人種が異常発生しているとかで、右往左往しています。


「ゲームでもいい」


 しかし、人間は二十日もあればそんな状況にもなれるものです。


「ガチャとか回したい」


 そうすると生活にも少し余裕ができます。そんなふうにして、うまれたのがこんな空き時間です。


「もうマンガとかでもいい」


 とりあえず晴れているから散歩でもしてみようと外に出てきたまではよかったのですが、早々に歩き疲れました。

 たしかにこの街の景色は綺麗です。この湖に浮かぶように建っているお城なんて世界遺産レベルでみごとなものです。


「文明がほしい、文明が」


 しかし毎日毎日、同じものをみていればそれなりに飽きてしまう。

 それでも、ほかに見るものがない俺はこの湖に浮かぶ城がみえる見えるベンチに今日も今日とて腰を落とします。


「ヒマダーーー!!」


 やることがない。

 現代日本を生きてきて、文明にどっぷりつかったインドア派の人間にとって、ネットもスマホもテレビもマンガもない生活は割ときつい。

 こうなったらなんかもう、あの歌を歌ってしまうか。こんな場面にぴったりなやつ。著作権なんか知ったことか。

 さぁ、皆さんご一緒に。


「は〜テ……て……うわ、なんだあれ」


 最大の禁忌を冒そうとした俺の頭上を巨大な黒い物体が通過して行く。なんだあれは、鳥か、飛行機か、いやドゥラァゴンだ。


「でっけぇ〜〜。すげ〜何あれ。あんなんいるんこの世界。なんであのデカさで飛べるん? すげえな異世界。てっまだくるじゃん」


 最初の一体が通過して後に続くように八体のドラゴンが通過していく。


「まじか、大群じゃん。ていうかなんか、お城のほうに飛んでいくけど大丈夫なのかなあれ」


 ドラゴンは真っ直ぐに湖のお城に向かって飛んでいく。あれ敵とかじゃないよね。大丈夫だよね。


「あら、メリッサじゃない。こんな所で何しているの?」


「あっ、リタさん。こんにちは。とても天気が良かったので少し風にあたりに」


 ドラゴンに夢中になっていると、いつのまにかリタさんが現れていた。


「て、それどころじゃないです。あれ、あれ大丈夫なんですか」


 そう、呑気に挨拶している場合ではない。そう、何故ならそこにドラゴンがいるから。


「ああ、竜騎士じゃない」


「竜騎士? もしかしてあれに人がのってるんですか。ここからは見えないですけど」


 竜騎士なにそれ。そんなのいるの。やべぇカッケェーなにそれ。


「ええ、竜騎士なんだから当たり前じゃない。ほらあそこ。羽根のところに紋章がついてるでしょう。最近、亜人が異常発生にしてるからおそらく領主が王都に応援要請でも出したのではなくて」


「そうなんですか。私初めて観ましたよドラゴン」


 いや、すっげ〜な。でっけーなー。大型トレーナーぐらいの大きさあるんじゃないか。もっと近くで見てみたいな。ただ乗りたくはないな。高い所怖いから。


「そうそう、そういばリタさんはこんな所でどうしたんですか」


 ふとリタさんの方をみる。ドラゴンに気を取られて気づかなかったが、今日はいつもみたいな冒険者ぽい格好ではない。それこそ貴族のお嬢様みたいなフリフリのドレスを着て手には大きな籠をかかえている。

 こうしてみると本当はちゃんとお嬢様なんだなと思う。ただ、ドレスに所々に散りばめられた、つぎはぎが気にはなるが。


「こんなところもなんも私そこに住んでましてよ」


 リタさんが指を刺した方を見る。なんだか公園とか橋の下などでよく見かけるタイプのお家がある。えっまさかあれことじゃないよね。

 あっ、ダメだ。あの家だ。あの場所には完全にそぐわないイケメン執事とネコミミメイドいる。


「へぇー。その手に持ってる大きな籠はなんですか」


 なんだか気まずいから話をそらそう。


「そうみてちょうだい。今日はたくさん取れたの」


 リタさんの持っている籠の中を見せてもらう。中にはいろとりどり野草がはいっていた。


「けっこう美味しいのよこれ」


 なるほどなるほど、食べれるタイプの野草ね。うん、なるほど。話がそれない。


「あのー失礼ですけど。リタさんて、それなりに稼いでいますよね」


 報酬を俺が渡しているから、リタさんの収入はだいたいわかる。銀狼の冒険者の報酬はそれなりに良く、少なく見積もっても俺の五倍くらいの収入はあると思う。

 この世界の平均収入からみてもそれなりにいい暮らしはできると思う。


「メリッサ愚問よ。愚かなる問いだわ。わたくし借金がありましてよ。オーホッホッホッホ」


 いつも通りにリタさんが高笑いをあげる。明るい中の人。


「さすがお嬢様。本日も清々しい開き直りです」


 うお、ビックリした。イケメン執事いつのまに。


「あら、ちょうど良いところに。これよろしくね」


 突然現れた執事にリタさんが手に持っていた籠を渡す。


「メリッサ、これから私は釣りに行きますけど、あなた暇なら一緒にどうかしら」


 釣りか。このお嬢様はかなりのアウトドア派なんだな。


「はい、行きますいきます」


 やることもないし俺はリタさんについて行くことにした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 推定ダンボールハウス的なサムシング 久しぶりに軽く読み返して「ああ、なんか不穏な伏線とかあったなぁ」とか思った今日この頃
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