34 おしえてアキムさん!! 魔法編 3
「はい、先生! いきなりそんなことを言われても何をどうすればいいのかわかりません」
わかってる感じで進められても困る。こちとら、そこらへんの赤子より素人だ。
「そうですね。普通は子供の頃に自然にできるもんですからね。いざ、言葉にするとどう説明すればいいのか。そういばメリッサさん防御結界は使えてましたよね」
防御結界? あっ、あのガラスの壁みたいなやつ
「あれはだしてましたけど、ほとんど無意識でやっていたのでやれと言われてもできないです」
ガラスの壁みたいなやつを出したのは洞窟の中でアキムさんに襲われたときと、ナンパやろうズに絡まれたときだけだ。
「そうですね。それならちょっと待ってください」
そう言うとアキムさんは手を広げて正面に突き出した。何をするつもりなのだろう?
「魔剣フラガラッハ」
アキムさんの手に何も無いところから突然に剣があらわれた。アキムさんはそれを宙でつかみ構えをとる。なにあのカッコイイの。
「それじゃあ、いきますよ」
「えっ、行くって? どこへ?」
アキムさんはそのまま俺と距離をとり先ほどの剣を振るう。洞窟の中でやられたのように斬撃が飛んでくる。
マジ、急に何してんのこの人!?
俺はとっさに目をつぶって手ガードをしようとした。
「やはり、かなり強力な防御結界ですね」
恐る恐る目を開けてみた。俺の目の前にできたガラスの壁がアキムさんの放った飛ぶ斬撃をはじいたみたいだ。
「何をするだァーツ」
全力で抗議の声を上げる。そりゃあ、いくら教えてもらってる立場とはいえ、文句の一つもいいたいよね危ないもん。
「いえ、こうしたらあの時みたいに手っ取り早く結界を張るかと思いまして」
アキムさんはまったく悪びれる様子もなく、爽やかな笑みを浮かべてる。なんなんこの人、サイコパスなん。
「それにしてももう少しやり方というものがあると思います」
本当にガラスの壁がでなかったらどうするつもりだったんだ。めっちゃ怖いからやめてもらいたいんですが。
「大丈夫ですよ手加減しましたから」
「そんなふうには見えませんでしたけど!」
洞窟の中で突然襲われたときに見た斬撃と違いなんかあるようには感じなかったよ。なんなのほんと、まじおこぷんぷん丸だよ。
「まあまあ、こういうのは体で覚えるのが一番ですから。それよりもどうですか魔力を放出している感覚ないですか」
なんか無理やり話をそらされている気がする。
でも、ここでこれ以上に腹をたてていてもしかたないし。いいよもう、大人になるよ。
「魔力を出している感覚ですか? 別になにか特別な感じはしませんね」
やっぱりガラスの壁を意識的に出している感じはしない。勝手にでてしまってるものに感覚とかいわれてもいまいちピンとはこない。
そうこうしているあいだにガラスの壁は空気に溶けるように消えてしまった。
「魔力の放出が止まっちゃいましたね。それならもう一度いきますね」
壁が消えた途端にまたしても、距離をとり剣を構えるアキムさん。
えっ! もしかしてもう一回撃つきなん、なんなん、正気なんこの人は。
「ちょっとそれ本当に怖いから、やめて本当に、ちょマジで」
両手を突き出してアキムさんを制止する
「あれ、なんか出た」
アキムさんが斬撃を飛ばす前にガラスの壁が出てきた。なんだか少し分かってきた気がする。こうなんかギュッてする感じ。
「アキムさん! これなんだか分かった気がしま……うわ、ぁぶねぇ」
ガラスの壁がアキムさんの攻撃を弾く。
また飛ばしてきやがった斬撃を。出てたよ壁。ねぇ、あなたがなんかそのわけか分からない剣から出るやつを出す前に、壁出てたよ。壁が出てたら飛ばす必要なくないですか。もー怖ぁ、この人めっちゃ怖い。
「できましたか。そしたらその魔力の方向を内側に向けて手の上で回すイメージです」
なにもなかったようにあいもかわらず爽やか笑顔で説明を続けるアキムさん。
「悪びれろ! 少しは悪びれろよ!」
「何がですか? それよりどうですか、できそうですか?」
えーこっちが怒ってるの全然ピンときてないじゃん。なんなん。俺が長男だったなら耐えれたかもしれないけど、末っ子だから耐えられないよ。爆発寸前だよ。
「こう手のひらで回すようにすれば。ほら」
手にバスケットボール大の魔力を練ったものを作り出し無邪気な笑みを浮かべるアキムさん。
まあ、もういいよ。ここでごねていてもも話進まないし言われたとおりにやってみるよ。
まずはガラスの壁から出してみよう。こうギュッと。
「おお! 出た」
目の前にガラスの壁ができる。やりかたのコツは完全に掴んだ。なんだかテンションが上がってきた。
今度はこれを内側に向けて手の上で回す感じか。やってみるか。
「うおーー!! できた」
手の上で輝くなんかシャボン玉みたいなやつ。なんかギュッてやってシャッてやったら出来た。
何を言ってるかわからないかもしれないが、そうとしか説明できない。そう自転車の乗り方をうまく説明できないようにね。
「できました。できましたよ。アキムさん。なにこれ、すげー、なにこれ」
なんだかコツをつかんだら楽しくなってきた。楽しいよこれ。なんかすごいファンタジーだよ。
「慣れれば省略できますが、基本的にはそれを変換する事で魔法を使うことができます。とりあえずは魔力の扱いに慣れるために魔力を強めたり弱めたりしてみてください」
言われた通りにギュッという感じを強くしたり弱くしたりしてみる。強さに応じてシャボン玉が大きくなったり、輝き方が変わったりする。
あれ、なんかこれ見たことある。あれあれ、もしかしたらこれはあれができるのではないか。いや、やらずにはいられようか。
両手を合わせ魔力を包み込むようにして腰に当てる。
「◯ァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーッ」
誰もが一度は練習したことがあるだろ。
「◯ェェェェェェェェーーーーーーーーーーーーーーッ」
日本の男の子憧れ。いや、全世界の男の子憧れ。
「◯ァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーッ」
それが今ならできる。
手の中で魔力、いや気が高められ輝きを増していくのを感じる。
「◯ェェェェェェェェーーーーーーーーーーーーーーッ」
おら、わくわくすんぞ。
「◯ッ!!!!!!!!!!!!!」
俺が放った魔力の塊はニメートルくらい飛んで虚しく飛散し空気の中に消えていった。




