目的のために。
がやがや....がやがや....
と、外から聞こえる活気づいた音で目が覚める。
すぐに体を確認するも期待した姿には戻っていなかった。
これからどうしようか....
いや。どうするかなど決まっている。
まずは、ユウトの生死を確認し、この店の店主が言ってた俺のパーティーを名乗る女を探し出そう。
俺が人間になった鍵を握るのはこの二人だ。
俺はイソイソと立ち上がりカウンターに向かった。
そして店主が逃げる前に。
「昨日はすまなかったな。魔王との死闘の末に記憶が混乱していたんだ」
「...おっおう!元に戻ってよかったな」
「それよりアンタ、魔王との戦いの後、ユウトがどうなったか知ってるか?」
「そりゃもちろん!あいつは今魔王城を再建してるぞ!」
な...魔王城を再建だと!?
「何の為に!?」
「魔王城があの場所にあったのには理由があってな。あの場所は魔界が一番近い場所らしいんだ。だから何時魔族が来てもいいようにそこに住みながら魔族を追い払うんだとよ!」
いや。そんなはずはない!だって魔界が一番近いのは『ウエストグラム』のはずだ!
『ウエストグラム』には魔族にははずせない超強力な結界が張ってある。ゆえに人間はそこに街を作り世界一安全な街と称し発展させてきた。
しかし魔王城が壊れた今それと同じ結界を作れるはずだ。
それなのにわざわざ魔王城を復活させるメリットがないだろう。
「ユウトなら『ウエストグラム』にある結界と同じものを作れるんじゃないのか。それなのに何故わざわざ魔王城を再建させてるんだ?」
「『ウエストグラム』に結界?何を言ってるんだ?」
「ッ!!『ウエストグラム』に張られた超強力な魔族除けの結界を知らないのか!?この世界に住んでるものなら皆知ってるだろ!」
「結界なんて元々なかったはずだぞ?大体あんな安全な街に結界なんて張る必要ないだろ。やっぱまだ記憶が混乱してるのかもな。」
安全じゃなかったからこそ結界を張ったんだろうが....
そう反論したい気持ちをグッと抑え。
「そうだったな。色々ありがとう。ちょっと散歩してくるよ」
「おぉ!待ちな兄ちゃん!」
呼び止められ立ち止まった俺に。
「今日は魔王討伐の祝賀祭だ。夜にグラムギルドでパーティーがあるんだが来るか?一ヶ月も連泊してくれるんだ!金は俺が出してやるよ!」
俺が討伐されたパーティーなど行きたくもないが目的のためだ。
「あぁ!ぜひ行かせてくれ」
俺は夜を待たずすぐにグラムギルドに向かった。