人間の体。
俺は宿に戻り急いで大浴場に向かった。
そう鏡を見るためである。
万に一つでも見間違いの可能性があるからだ。と言うかそうじゃなきゃ困る。
....魔王の俺が人間になってるだと!?
なぜだ!いや....なぜと言うかどうやって俺は人間になったんだ!?
魔法か!?それとも死んで生まれ変わったのか!?
それならなぜ魔王の頃の記憶があるんだ!?
くそ.....「イーストグラム」に居る事と良いこんな姿になってる事といいもう訳がわかんねー。
そうだ!ユウトは生きてるのか?
あいつが生きてるならあいつを探し出して聞き出せば良い。
俺は今人間の姿なんだ。あいつに魔王だという事を明かさずに聞き出すんだ!
そんな事を考えながら大浴場に到着。
....やはり完全に人間だ。
魔王の頃よりステータスが貧弱になり。魔法は一つ残らず使えず。
多分人間の中でも最弱の部類なのだろう。
だが一つだけ魔王の頃と変わらないものがあった。
そう。MPである。
MPとは、魔法を使うために必要な能力だ。
たとえば最弱の炎魔法『メラル』を唱えたとしよう。
体調や意志の力が同等の場合。
魔力が100、MPが10の者が唱える『メラル』と。魔力が10、MPが100の者が唱える全力の『メラル』は同等の威力を有するのだ。
あの頃の俺の中で一番低かった能力だ。
MPが少なかったからこそ俺は色々な魔法補助スキルを覚えたのだ。
なぜ人間になった俺はMPだけが全く変わらずあの頃のままなんだ?
それにMPだけ高くても肝心の魔法を使えねーんじゃ全く持って意味ねー。
俺は大浴場から出るとカウンターに向かった。
ユウトの生死を確認するためである。
しかし先ほどの大柄の男は俺を見るとそそくさと裏に入ってしまった。
はぁ。今日はもう寝よう。
人間の体は少し運動しただけでかなり疲れるらしい。
俺は部屋に戻ると起きたら元に戻ってるんじゃないか。と言う淡い期待をこめて眠りに落ちた。