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放浪狼  作者: サテライトクイーン
4/4

放浪狼 第四話

手詰まりな中でなんとか搾り出して書いたのがこの第四話です。温かい目で見てやってください。

ードガッ

豪快な音をたて、二人はマンション敷地内のコンクリートの床に落ちた。狼神が命を抱き抱え空中で方向転換をし、命を庇うように下になって落ちた。

「ぐ、うぅ、、」

軍人経験もあり、幾多の危機をくぐり抜けてきた狼神でも、命を庇いながらマンション3階から固い地面に落下するのはさすがに体にこたえたようだ。そのダメージのあまり、狼神は険しい顔で地面をのたうち回っていた。

「むぅ、、ぐっ、命!命!大丈夫か!」

しばらくして狼神は痛みに耐えながら命の安否を確認しようとした。命は地面に力が抜けたような状態で、ぐったりと横たわっていた。

「はぁ、、ったく危ないことするんじゃない。俺まで落ちたじゃないか、、」

狼神が命の生存を確認して一息ため息をついたのも束の間、また銃弾の嵐が狼神達を襲った。

キュンキュンと狂気がかった甲高い音を奏でて幾多の銃弾が地面にぶつかる。

「命、ここも危ない。行くぞ。」

狼神は痛めた背中をさすりながら命の腕を掴んで立たせた。

「私、、ここで死ぬの?」

恐怖とどこか絶望に似た脱力が込められた震え声で、命は狼神に尋ねた。

「さぁな、お前次第だ。生きたいなら早く来い。いや、たとえ死にたくても来るんだ。」

そう言って狼神は命の腕を引っ張りマンションから離れようとした。

「真司!真司ー!」

狼神達が声のする方に振り向くと、桜田が手を振りながらこちらへ走っているのが見えた。

「はよ逃げるで!俺が道案内したる!」

桜田はそういうと激しく手招きをしてから、マンションが面してる通りとは反対の方へ走り出した。つまり、その方向はマンションの裏であった。

「命、行くぞ。」

その先に何があるのか、狼神には見当もつかなかったが、命に声をかけ誘導した。


「こっちや!」

狼神達は桜田に連れられ、いくらかの店の間や道を通り抜けていた。

すると、桜田が今走っている方向から見てやや右の方を指差した。

「もう二つ道を渡って右に曲がったところにある場所に行く!頑張ってついて来るんやで!」

桜田の説明がこの状況の中では複雑だったため、とにかく狼神達は無我夢中に走っていた。

もう追っ手は来ていないようだったが、狼神達の足が遅くなることはなかった。なぜなら相手は銃を持っている。油断できないのだ。



ーダッ

狼神達が右へ曲がり、少し走ると横に古ぼけた細長いビルがあった。先行していた桜田がそのビルの前で止まり、息を切らしながら入口の鍵をガチャガチャと開けた。

ガチャッという音がしてドアの鍵が開くと、桜田は急いでドアノブを回し中へ入った。

「真司、命ちゃん。こっちや。」

桜田の声が中からして、誘導された狼神達はそのビルの中へ入った。


中は縦長の細長い部屋が一つあるだけで、階段が右奥にあり、その階段下にソファーが一つあるだけだった。先程までいた、桜田の所有するマンションとは対照的である。

「殺風景ですまんな。俺もめったに使わんからレイアウトとかしとらんねん。」

「この状況でレイアウトがどうだなんてネチネチ言うやつなんかいない。」

「はっはっは!まぁその通りやな!」

狼神、桜田は命を連れてソファーに腰掛けた。


追っ手の気配がなかったため、三人はしばらくソファーで落ち着いていたが、命が次第に眠くなってきたようでソファーに横になって寝てしまった。


狼神と桜田は命をソファーに残し、部屋の中心辺りで床に座って話していた。

「あいつらなんなんや。真司。」

「さぁな。知らないやつらだが、銃をあれだけ持ち込んで襲える力と人員を蓄えているやつらはそういない。この国は銃器所持に厳しいからな。」

「せやな。そうなると絞られてくる。でもなんで俺ら襲われたんやろうな。お前どこからか恨み買ったんちゃうか?」

「馬鹿な。そんな覚えはないぞ。」

「じゃあやっぱり、、あの子なんか、、?」

「そうとしか考えられないだろう。」

狼神達は揃って命を見た。先程までの興奮が嘘のようにぐっすりと静かな寝顔で寝ていた。


「まず、あいつらがどこの組織なのか考えなあかんな。でも俺も真司も一匹狼やからな。情報もそれほど持っとらん。」

桜田の言葉を聞いた狼神は少し考えてから言った。

「誰かから聞くのが一番だ。情報を得られそうなやつを知ってる。今からそこへ行こうと思うが、」

そこで桜田がニヤッと笑った。

「命ちゃんを守ってくれってことやろ。一人にしておいたらあかんもんな。わかっとる。」

桜田は親指をたててグーサインをして見せた。

「頼んだぞ。」

狼神は桜田に命をたくし、ビルのドアを開けて外へ出た。


狼神は誰かに尋ねると言ったものの、誰に聞こうか迷ってまだ足を進められずにいた。

「やはり顔が広い人間がいいな、、ルーラー、、いや、やつに聞いても伝達係を挟んでるから返答が遅いだろう。やはり、あぁは言ったものの考えてみるとルーラー以外聞く人間がいない。もう一度倉庫とマンションに行ってみるか。」

結局人に聞くことを諦めた狼神は先程乱戦があったマンションへ行くことにした。



マンションに着いてフロントへ行った狼神が見たのは、ガラスが粉々に割れたドアだった。

「セキュリティが強固でもこのガラスドアはダメだろ、、」

狼神はガラスを踏みながら、壊れたドア枠を跨いで中へ入った。

バリバリと音を立てながら玄関を通って、狼神は階段を上った。

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