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放浪狼  作者: サテライトクイーン
1/4

出会い

注意 この作品は暴力行為、殺人を推薦したり、それらを助長する目的はありません。あくまで作品として捉えていただくようお願い申し上げます。


まだこの第一話では少し話が進む程度でした。この下地を踏まえて読んでいただければ幸いです。次話では新キャラ登場も見据えております。初投稿作品なのであたたかーい目で見守ってください。そうでないと泣くくらいメンタル弱いので。


4/6 前書き修正

「ぐあっ!」

虎柄のシャツを着た男が血を吐きながら倒れた。その男は痛みのあまり呻いていた。

「なんだ、思いのほか弱いな。」

ところどころ白みが見える黄ばんだシャツに、擦れて色がはげてきているジーンズ、黒い背広を纏った異質な大柄な男が倒れた男の脇を通った。背広の男の拳は血塗られていた。誰の血かは言うまでもあるまい。

「待てこの野郎!」

虎柄のシャツの男が背広の男に叫んだ。すると血がまた出てきたため虎柄の男はむせた。

「ゲホッウエッ、待てやオラ!」

ようやく声に応えるように背広の男は頭をかきながら振り向いた。虎柄の男は血を吐いているのの対し、この異質な男はまるで怪我をしていなかった。

「面倒事は身を滅ぼす。よく覚えとけ。」

そう言い、異質な男は古ぼけたスニーカーの靴紐を揺らしながら歩き去った。

そのまま異質な男は先ほど虎柄の男を殴った路地から大通りに抜け、通り沿いに進んで通りの脇にある階段を下り、地下にあるドアを開け、中の酒場に入った。すると一人の長い髪の女がカウンター席に座っていた。

「五分遅刻ね。」

カクテルグラスを傾け男の方を向かずに女は言った。男はため息をつきながらテーブル席のソファーに座った。

「あぁ。若い男が絡んできた。」

それから男は店主の初老の男に水を持ってくるように言った。

「あなたは体が大きい上に目つきが悪いのよ。生意気なチンピラのいい的だわ。」

だけど、と言わんばかりに妖艶な笑みを浮かべながら男の隣に腰掛けた。

「あなたなら即片付けられるわね。」

「片付ける?まるで彼らをゴミ呼ばわりしてるみたいだな。さすが伝達屋、お偉いことだ。」



店主はグラスを洗いはじめていた。

「えぇそう、私が新しい伝達屋。前の人と同じようにルーラーとの情報交換役よ。」

妖艶な女は頭をさげたあと、垂れた長い髪をかきあげた。

「あぁ。お前で58人目の伝達屋だ。言わなくても分かる。ルーラー『様』の部下ってことだろう。」

そういうと男はコップの中の水を飲み干した。

「俺は狼神 真司だ。」

男が自己紹介すると、妖艶な女もそれに続いた。

「私はクリスティーニ・メイリンよ。メイリンとかクリスティって呼んでね。」

妖艶な女は狼神の膝に手を置いた。

「よろしくなメイリン。」

狼神は嫌な顔をしながら言った。

「あら、そっちの呼び方が気に入ったのね。」

メイリンは話をしながらも、狼神の膝の上に置いていた手を背広のボタンに移し外そうとしていた。

「すまないが、伝達屋と遊ぶ趣味はないんだ。」

狼神はメイリンの手を掴んでメイリンの膝の上に戻して言った。メイリンは少し不満そうな顔をした。

「ルーラーが言ってた通り、変な男ね。喧嘩ばかりしてる荒くれ者かと思ってたんだけど。というかほとんどの喧嘩屋がそんなもんなのに。」

メイリンの言葉を聞いたとき、狼神の眉がピクッと動いた。そして少し食い入るように質問した。

「ルーラーを知ってるのか。」

狼神が少し前のめりになって聞いた。

「え、えぇもちろん知ってるわ。依頼人ですもの。ルーラーからあなたのことも、私以前の伝達係のことも聞いたわ。ルーラーから話があるまで、私はただのストリッパーだったの。でもルーラーから突然店に電話がかかってきて、、っとここからは言えないわ。言ったら殺されちゃうらしいもの。」

危ない危ないと言わんばかりにメイリンはカクテルを少し飲んで落ち着いた。

狼神は前のめりの体を戻し、ソファーに深く腰掛けた。


「おい、今回のルーラーの指示があるはずだ。」

狼神はソファーに深く座りながら言った。

「ある喧嘩屋を殺せ。とのことよ。なんでもそいつ、女の子達をさらっては薬物中毒にさせたりして売ったり、自分の女にしてるそうよ。名前は、梅島龍牙。あなたなら名前は知ってるだろうって言ってたわ。これ、アジトの地図ね。」

メイリンはそう言って小さなメモに書かれた地図を渡した。

狼神は地図を受け取り、すぐに場所を把握、ポケットに地図をしまった。

「私はここで待ってるわ。さっさと済ませて報告させてちょうだい。」

メイリンはそう言ってソファーで横になりはじめた。メイリンは赤いドレスのようなものを纏っていた。ストリッパーというよりキャバクラ嬢のような格好だ。

「店長、この女を布団にでも寝かせてやれ。」

狼神はそう言って店を出て行った。

「はいよ。」

店主がもう狼神のいないドアに向かって言った。



狼神は地図で覚えた道をたどり、梅島のアジトに着いた。そこは古ぼけた大きな倉庫で、地主が行方不明で取り壊しができなかったものである。

かつて梅島は関西で名を轟かせた喧嘩屋で、自分で梅島会なる喧嘩組織を作ったほどの男である。

「名前は聞いていたが、まさかやり合うことになるとはな。」

梅島はここ関東に移ってからはあまり知られてないものの、関西では名が知られ、関東でもそれなりの知識を持つ喧嘩屋なら名前くらいは聞き覚えがあるほどの影響力である。そのため狼神は汗をかいた拳を固く握らざるを得なかった。

ガラッ ギキー

嫌な金属音をたててドアが横に滑った。、、だが

「ん?誰もいない、な、、」

先ほどの耳障りな金属音とは打って変わり、倉庫の中は静かな空気を醸し出していた。音一つ聞こえない、まるで鬼の去った住家のように不気味なほど静かだった。ドラム缶が数個あるくらいで、だだっ広い倉庫には何一つ梅島の痕跡はなかった。

「アジトが変わったのか。」

そうつぶやいて狼神が倉庫から出ようとすると、ザザッと何か麻袋のようなものを引きずる音がした。

「誰だ!」

すばやく振り向いた狼神は音のした方へとゆっくり歩きはじめた。その先には大きなドラム缶が立ち尽くしているのみで、その周りには何もなかった。


狼神は距離を詰めながら、あらかじめ服の中に潜ませておいた小刀を取りだし、鞘を抜いた。そして小刀を振りかざし、ドラム缶の後ろへと一気に回り込んだ、、だが、ドラム缶の後ろに潜んでいたのは思いも寄らないものだった。

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