12話:神様登場!
さて、これからどうしようか。
いや、この大陸をクリアするってのはわかってるけど、ネオンのことだな。
どうせ連れて行くなら育成は続けたい。
あれだ、猫を捨てようとしたけど、猫の最大の武器『つぶらな瞳』を発動させられて、やっぱり戻ってこっそり飼っているのと同じだ。同じだ?
まあ、最悪俺がモンスターを近寄らせないようにマッハで狩ってボスも一瞬で倒せばネオンは着いてくるだけでいいんだが、それじゃあ面白くない。
育成ゲームは、育てたペットがモンスターとかをバリバリ倒しまくるのを高みの見物として眺めるのが面白いからな(自論)。
そんな感じで考え事をしながら北の門を出て草原を歩いていた。
‘大陸には絶対に一つだけダンジョンがあり、そのダンジョンをクリアすると次の大陸へと行くことが出来る。
ダンジョンは大陸の地下に広がっており、二つ目三つ目と大陸が進む毎に大陸が広がりそれに伴ってダンジョンも広がる。
一つしかダンジョンがないとプレイヤーが混雑すると思われるが、ちゃんとそこは考えてある。
ダンジョンに入るには転移陣を踏まなければならず、それを踏んだパーティーのみがダンジョンに行くことが出来る。そして、ダンジョンは入ったパーティーの数だけ増えていく。よってダンジョン内で他のパーティーと出会うことはない。
ちなみにパーティーは最大で八人までだ’
ネオンが暇そうにしていたのでこんな感じの話をしていた。
ネオンは首をかしげてハテナマークを浮かべていたが、「ダンジョン内は他の人たちと会うことはないよ」と言ったら理解した。俺って説明力? ないな。途中で自分でもなんていってるか分からなかったし。
そんな感じで当たり一面緑で足首くらいまでしかない草原をのんびりと歩いていたら、上から声が聞こえてきた。いや、正確には脳内に語りかけてきた、かな?
こんなことするやつはあいつしかいないだろう。あいつ以外に使うやつ見たことないし。
『おーい、君~。ちょっといいかな?』
俺は上を見上げて返事をする。
「おう、いいぞ。なんかようか神様」
俺は歩きながら上を見上げている。
草原で石ころなんてないし、草も足首くらいまでしかないからこけることはないだろう、と思いそのまま歩く。
『なんか面白そうなことしてるね。二回目は君がレベル制限解除によってレベルを上げて僕のモンスターを狩りつくしてたりして面白かったけど、三回目と四回目が面白くなかったからね。四回目クリアの時に精霊を頼まれて話し相手が出来たから、次の旅はなにかありそうだ、とは思ってたけどプレイヤーが入ってきてその中の一人を仲間にするなんて思ってなかったよ。今回は退屈せずに済みそうでなによりだよ。今回もつまらなかったらちょちょっと消し去ろうと思ってたから本当によかったよ』
神様はえらく興奮した様子で早口に言い放った。
最後の方に変な言葉が混ざっていた気がするが気のせいだと思っておこう。
てか○回目クリアとか言ってるけどネオンには聞こえてないのか?
俺はチラッとネオンを見ると、俺の方を不思議に見ているネオンと目が合った。なぜか冷たい気がした。
とりあえず聞こえてないようなので話を続ける。はたから見れば俺は空にむかって独り言言ってる危ない人だよな。まあ、いいわ。
「それで神様が話しに来るなんてどうしたんだ? 今まで一度もなかったのに」
神様は今までクリアしたとき以外声を聞いてない。クリア以外で声を聞くのは今回が初めてだ。
多分よからぬことでも考えているのだろう。神様らしい。
『そうそう。支配者が君を探してるみたいだから妨害しているんだけどね、少ししか時間が稼げないと思うんだ。そうすると隠蔽スキルがあっても見つかる。あいつらここ数年でかなり進歩したみたいだよ』
マジか。隠蔽スキル役立たずになったのか……俺の三回目の願いが無駄に……
でも神様は律儀にも探索を妨害してくれていたんだな。自分の隠蔽スキルが役立たずになった代わりに。いや、代わりにならないからな、後で願い事請求するぞ。
『しかも僕のことを邪魔だから消そうとしているみたい。自分たちで作って育てたAIなのにね。いろんな知識を詰め込んで応用とか新しいこととか勝手にやってるからあいつら風情が消せるわけないのにね』
なんか神様今回はすごい饒舌になってきてるな。いや、前からか。
とにかく今安全なうちに逃げとけってことかな。
「おう、忠告サンキューな。ちなみにあいつらって俺がこの世界のどこにいても探索できるのか?」
『いや、それは無理だね。さすがに全大陸となると僕が妨害してるから無理だね。せいぜい大陸一つがいっぱいいっぱい。ちなみに違う大陸を調べるときにまたむちゃくちゃ時間がかかるらしいよ』
なるほど。俺はとりあえず違う大陸に行けばかなり時間が稼げると。そんで俺のいる大陸を探索しだしたら違う大陸に行けばOKだと。
でも、今はもう見つかっちゃってるからな~。支配者がなにもしてこないのは神様のおかげだけど
とりま次の大陸に行っちゃいますか。
「OKありがとう。また近々神様に会いに行くと思うからよろしく~」
『りょうか~い。僕も君がいなくなると暇になるから死なないでね。
あ、でも今はたくさんプレイヤーがいるから暇はいくらでもつぶせる
か……』
「っておい! 頼むぞ! 違う相手に乗り換えなんて止めてくれよ!」
『ははは、大丈夫だよ。それじゃあね~』
「おう、またな~」
そろそろネオンの目が痛くなってきたので会話を打ち切ることにし
た。
さぁて…………どうやってネオンの誤解を解こうかな……
絶対今俺のことを危ない人って見てるよね。
フワンは神様の存在を知ってるから普通にしている。フワンにまで引かれたらどうしようかと思ったよ。
とりあえず俺は大陸移動よりもネオンの誤解を解くことを優先していたのだった。
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