1話:四回目のクリア
ノリで書きました。
てか基本ノリでしか書きません。
でも、とにかくたくさん書いて技術を上げて行こうと思います。
よろしくお願いしますm(_ _)m
「”#&$@>$*」
声にならない断末魔の叫びをあげながら、巨大なゴーレムは光の粒子となって消えていった。
手に持った片手剣を、血もついていないのに払う動作をして鞘へ収める。
「さ~って、次は何にしようかな~」
俺は今にもスキップしそうなのを我慢して声が聞こえるのを待つ。
そして、しばらくすると声が――というより脳内に直接語りかけてくるテレパシーが――聞こえてきた。
『クリアおめでとう。これまで頑張ってきた君には報酬をあげよう』
男性とも女性ともとれない中性的な声が語りかけてくる。
何回も聞いた事務的なセリフだ。
俺はその続きを言われる前に先に喋った。
「あ~、いつもどおり‘現実に戻る’はいいからね~」
『はぁ~、またか。もう何回クリアするつもり? これで四回目だ
よ……』
呆れたような声が聞こえる。てか、急に口悪くなったな。
「お~い、なんか今回口悪くね?」
学校の友達に話しかけるように気さくに言う。俺友達いなかったけどな。あいつらのせいで……
『なんだ? 急に元気がなくなったり、開き直ったり? って一瞬にして今度は殺気?! わけわからん。
まあ、いいや。口が悪いのはきにしないでね~。気にしたら負けだよ?』
お前が言うな。とは口には出さないでおく。
それよりだな。
「今回も報酬もらってくからな~」
『君こそ口悪くない? 僕一応神様なんだけど。まあ、いいや。ほら、好きなの選んで』
神様がそういうと俺の目の前に一〇インチくらいの半透明なリストが現れる。
それを指で操作しながらそこに書かれている報酬を見ていく。
その間ボスを倒して何もいない部屋だが、一応周りへの警戒は怠らない。石橋は叩いて渡れっていうしね。
う~ん、どうしようかな~。いろいろあるしな~。
俺はいろんな項目を見て悩んでいた。
レベル制限解除(五○○まで)、禁術魔法一つ、アイテムボックス制限解除(九九九種類を九九九個まで) etc……
そのままリストをスクロールさせていくとなにか発見!
《精霊召還》
「おお……」
つい、声が出てしまった。
え? 精霊ってあれだよね? フェアリーだよね?
身長二○~三○cmくらいの羽が生えてる人みたいなやつ。可愛いやつだよね?(ここ重要)
なんで気づかなかったんだ……って前はレベル制限解除(二五○までの)とかいいやつがあったからな。見る前に決めてたんだろう。
さて、ほかにめぼしいものもないし(嘘。結構あった。全ステータス二倍とか)精霊にしちゃうか!
『決まった~?』
退屈そうに欠伸交じりの声で聞いてくる神様。
神様、もうちょっと威厳というものを見せてくれよ……なめられるぞ(主に俺に)。
俺はリストから目を離して上を見上げる。
「おう、決まったぜ。だけど…………今回は前みたいに爆発とかないよな?」
俺は渋い顔をして前回あった事故について問うた。
確認しないとまた事故とか冗談にならない。
神様は軽い感じで言った。
『うん、もちろんだよ。この前はこの世界の製作者が乗り込んできて大変だったけどもう平気。君に、そう簡単には見つからない隠蔽スキルつけてあげたし。あいつらは君が死んだと思ってるはずだよ~』
それは三回目のクリアをしたときだった。
クリアして報酬を選んだら、急に目の前に光の玉が出現して大爆発が起こった。
なんとか切り抜けた(神様が律儀にも守ってくれた)けど、生きてることがばれたらまた殺されそうだから報酬を変更したんだっけか。ちなみになんで狙われているのかは分からない。
そん時はガチで死ぬかと思ったよ…………
「ならいいや。もし来てもまたお前が守ってくれるだろ?」
俺は天に向かってにやりと笑みを浮かべる。見えるのは石造りの天井のみだが。ボロボロだな。
神様はハハハと笑って喋りだす。
『まあね。で、精霊召還でいいの?』
「貴様! な、なぜそれを……?」
『フハハハ! お前の考えなどお見通しだ!
…………もういいかな?』
「あ、はい。すいません。それでいいです」
俺はぺこりと頭を下げた。
猿芝居を神様に付き合わせることなんてなかなかないよ。
でも、ノった後の急激に温度が下がるのは止めて欲しい。急激に恥ずかしさが戻ってくる。
ハッ! さてはそれも計算のうち?! 侮れないな。なんつって。
適当に謝って俺は報酬を決める。
『りょうか~い。それじゃ、召還するよ~』
俺は、おう! と頷いて成り行きを見守る。神様どこにいるか知らんけど。
あれ? そういえばただの精霊召還って書いてあったよな。最高位、とか何もなかったよな……
これで最弱のが出てきたら……もう次は攻略できないぞ。クリアするたびに階層が増えて俺に合わせて強い魔物が出るし。
俺は祈りながら精霊が現れるのを待った。
くそ、こんなことなら「フェアリーだ~」とかはしゃがなきゃよかった。ぐふふとか妄想しなきゃよかった。
神様の声が途絶えてからどれくらい経っただろう。
おそらく数十秒、いや数分が経った。
なにも変化は起きていない。
(あれ? 失敗?)
『ち、違うわ。どれにしようか迷ってただけだ』
なんか言い訳する子供のように言う。しかも何気に心読んでるし。
ともあれ、まだ決まってないなら好都合だ。
「じゃあさ! 火の精霊で最高位のやつ召還してよ」
俺は喜々として叫んだ。条件を付け足しておけば多少は安心だ。
そういえば、精霊を使役すればモンスターテイマーになれるのかな? そうならかなり攻略が簡単に……
神様は即座に『しょうがないな~』などと言いながら承諾する。絶対何を召喚するか迷ってただけだな。
すると次の瞬間、目の前にバレーボールほどの大きさ(微かな記憶ではそう)の光の玉が出現した。。
目も開けられないほどの光量で俺は思わず目を腕で覆い隠す。
(しまった! これはまたあの爆発か?!)
警戒はしていたが、神様の一言で無意識に警戒を緩めていた。
あ~、これで俺の人生もジ・エンドか……って諦めるの早いな。
まあ、未練なんてないし、現実にも帰る気なんてまるっきりないし。
結構楽しんだし、向こうで俺が死んでも誰も悲しまないし。
なんて目をつぶって諦めていた……が、いっこうに変化はない。
(あれ? 単なる思い過ごしか?)
そう思っておそるおそる目を開ける。
すると、目の前に燃えるような赤い瞳に腰まで伸びている真っ赤な赤髪、背中には羽がついており、真紅のローブを着てベルトで腰をキュっと縛っている。上はタンクトップのようで、下はミニスカのようになっている。あれ? ローブってこんなに露出多かったっけ?
まあ、俺としては想像どおりのフェアリーの姿なので大歓迎だが。
そんな容姿の二○cmくらいの少女が俺の目線の高さでふわふわと浮いていた。
『できたよ~。ついでに君のような下衆な心を反映して君が好む外見にしておいたからね~。それじゃ、また君を始まりの町に戻しておしまいかな?』
「ちょ、ちょ、ちょ。もうちょい説明してくれてもいいんじゃない? あと下衆ってなんだ!」
『大丈夫だって。そこにいる彼女が説明してくれるよ~。それじゃ、またね~』
「おい! こら……」
俺は文句を言い切る前に閃光で視界を真っ白にされ、意識を刈り取られた。
読んでいただきありがとうございます。
感想・アドバイス・指摘くださるとべらぼうに喜びます。
あ、きっつい批判は止めてください。心が粉砕して跡形もなくなります。
でもこうこうこうだから、これはいけない。みたいなのはOKです。
ただたんに、つまらん、とか、こんな小説投稿すんな、とかはNGです。