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それじゃあ皆様またいつか!

 世界に登録する、と言われて水責めに合い、出てきた二人の外見が全く違う事になっていた。

 水輝は綺麗な水色の髪と白に見える銀色の目になっていた。

「コウヤちゃん・・・・赤いけど・・・・」

「水輝こそ・・・・・」

「正規の手順でこの世界に訪れると身体の組成が変わって色が変わるんですが・・・・・これはまた凄い変化ですねぇ」

 はい、と渡された鏡をお互い覗き込む。

 香陽の色はあの赤クラゲと同じ色だった。

「ぎゃーす!!!」

「香陽さんの場合はまあ納得の色合いですけども・・・・水輝さんはまた珍しいですね」

「目が白いですけど・・・・・」

「と言うか銀ですね。ああ、ご心配なく。戻れば元の色に戻りますから」

 主任の言葉に二人はほっと息をついた。

 こんなままで戻るとなると学校にはドウイウ説明をしろと言うのか。

 非行を通り越して突き抜けすぎたコスプレイヤーもどきである。

「これで登録も終わりですから、次は目印を付けさせて頂きますが・・・強烈痛い、普通に痛い、死んだ方がマシ。どれがいいですか?」

 にこやかにこれまたとんでもない事を言い出す主任。

 これは突っ込んだ方が良いのか?!と香陽が青くなっていると、水輝が首を傾げた。

「普通に痛い方が一番マシ、よねぇ?」

「まあそうですよね。聞いてみただけです」

 しれっと言いながら主任が二人の前に差し出したのは栞だった。

 薄い水色の和紙のような表面なのに硬そうな感じだ。

「これにさっき採血した所からで結構ですから血をそれに付けて下さい」

「こう・・・かな」

 まだ少し血が滲んでいる注射跡に栞をぺったり貼り付ける。

 二人の栞に血が滲んで、すぐに消えた。

 ファンタジーである。

 しかも傷も綺麗に消えたのはビックリである。

「痛くないじゃんこれ!!」

 そんな香陽の手から栞を抜いた主任が、栞を指で弾いた。

 ぺちっと頼りない音と同時に香陽の額が赤くなった。

「いったああああ!」

 骨を打たれたようなでこぴんの痛みが走り、香陽は額を押さえる。

「接続出来たようですね」

「そんな確認か!!それで痛いのか!」

「感覚が繋がってるか確認できれば良いので、別にこれを捻ったりしても良い訳ですが・・・・普通に痛いのが良いと仰られたので」

「もうちょい平和的な確認の仕方をしてください!」

 水輝も自分の手の中の栞をぺちんと弾き、額が赤くなった。

 しかし、手加減していたのでそこまで痛くはなかったようだ。

「自分で確認出来るんじゃん・・・・くっそお・・・」

 やられ損だった香陽は涙目になりながら額を手で撫でる。

 じんじんと熱い感覚が和らがず、更に痛みが増すような気がしたので手を放す。

「ああ・・・・それ、私もやったなあ・・・」

 と遠い目の女性。

 同士ですか、と目で訴えると、こっくり頷かれた。

 彼女とは仲良くやって行けそうな気がする。

「とりあえず、これで終わりです」

「これで帰れますか」

「ええ。帰れますよ。ただ、時間まで戻る訳ではありませんのでしばらく行方不明だった扱いになるかもしれませんが・・・・・」

 なんて物騒なファンタジーなんだよコンチキショウ!


 何やら仰々しい転送装置のような魔方陣のようなよく判らないものを通らされ、出てきたのはあの公園だった。

 それと同時に髪が黒に戻っているのを確認する。

「水輝・・・私髪の毛黒いよね?赤くないよね?」

「大丈夫よ」

 水輝も元の色に戻っている。

 ちゃんと戻って来れたのだ。

 ただ。

 言われた通り、周囲は真っ暗で、街灯だけが辛うじて明かりで付いている。

 公園に備え付けられた時計の時間は真夜中の0時だった。

「・・・これ、戻ったらどう怒られるんだろ」

「それは・・・・・ちょっと怖いけど・・・」

 いっそ夢であってくれ、と願う香陽だが、手の中には薄い水色の栞。

 血を付けたのとは違う物だったが色も素材も同じ物だった。

 どうもこれが異世界の携帯電話の代わりらしい。

「でもあれよね・・・・半年後また行かないとダメなんだよねえ・・・・・」

「そうねぇ・・・・」

 またあんなしんどい目に会うのか、と思うと香陽はばっくれたくなる。

 しかし、自分の魂には別の人間が混じっているとなると流石に気持ちの良い物ではない。

 しかも彼らはこちらの男の魂に用事があるらしい。

「とりあえず、テスト期間じゃないことを祈りたい」

「そうね・・・・・それは確かに芳しくないわね」

 とぼとぼと歩き出した香陽の隣に並んで水輝も歩き出す。

 公園を出て、いつも歩く道のり。

「ねぇ・・・コウヤちゃん」

「何?」

「私、今とても大事な事を思い出したのだけれど」

「何?」

 水輝は香陽を見て、一瞬躊躇った後、桜色の唇を震わせる。

 何を言われるのか、と香陽は足を止める。

 それはとても衝撃的な事だった。

「私たち、鞄持ってないわ」



 彼女たちは半年後、と言わずその場で渡された栞を使う羽目になった。

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