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ああ、これが原因なんですか?

 じっとり、と言うのが正しいのかも知れない。

 妙な湿気が空気に混じる。

「・・・・ペントラゴン、離れろ」

「何故です?」

「お前は仕事だろうが!!!」

 母上と呼ばれていた女性が体重の乗った綺麗な回し蹴りを繰り広げる。

 ふわりとスカートの裾が捲れ上がって白い足が見える。

「陽嘉・・・足が見えてますよ」

「っるっさい!早く仕事しろ!」

 軽くいなされた女性の身体がよろけて、主席の腕の中に収まった。

 何なんだこの人ら。

「せっかくレディがいないのに」

「アホかー!他に人の目はいっぱいあるだろ!!つか松茸折れる!私の姿焼きと土瓶蒸しと松茸ご飯どうしてくれる!」

「・・・・作るのは彩妃でしょう?」

「うん。先輩の絶品料理で松茸御膳は外せない」

 いちゃいちゃ。

 まさにそれが相応しい二人だ。

 恥ずかしい。しかも地味にMPと言うか精神だからSP?が削られていく。

「あの女の人も凄いけど、主席さんのいなし方も凄いわ・・・・」

 そんな二人を全く違う所で感心し、うっとりと見つめ、感想を呟く水輝。

 自分の回りには真っ当な人間はいないのだろうか・・・と香陽は泣きたくなる。

「今日は久しぶりにひなっちも来るんだからこれは行かざるを得ないでしょう!」

 さっきから全く知らない名前がずらずらと並んでいる。

 名前の響きから同じ日本人らしい。

 と言うかそんなに同じ日本から異世界に来る人間が多いのか、と香陽は首を傾げる。

「ひなっちの全国ツアーお疲れ様会も兼ねてるんだから、あんたもさっさと仕事終わらせろって言ってんの!ほら、ちゃきちゃき研究員さんと一緒に仕事する!」

 絡まっていた腕をべりっと引きはがして女性は犬でも追い払うような手で主席を追い払う。

 仕方無い、と言わんばかりに主席は肩をすくめ、こちらに向かってきた。

「お待たせしました」

「・・・毎度こんな感じなんですか?」

「何がですか?」

 自分たちのやってた事を異常と思ってないこのネジの緩さは何だ、と首根っこを掴んで揺さぶりたくなる表情。

 これか、二人が疲れていたのはこれなのか!と香陽は開眼する。

「いえ、良いです・・・・てか登録ってなんですかね?」

 今度はもう何があっても驚く事はあるまい、と香陽はようやっと自分に戻れた。

 水輝もいつも通りの通常運転・・・なのは変わらないが。

「ああ、ちょっと採血をしますのであちらで腕を出して下さい」

 示された方には日本でもおなじみの注射器と白衣を着た男性。

 言われるまま腕を出すと、男性は失礼します、と言いながら日本と同じ方法で採血をする。

 手つきも怪しい所もないどころか全く痛くないというプロフェッショナルぶりである。

 小児科で勤めませんか、と思わず言いたくなった。

 しかし、その後押さえるガーゼはなかった。

「では次に正規の手順で召喚されなかったので組成の組み替えをしますので」

「え、ちょ、グロい事言いますねいきなり!」

「大丈夫ですよ、ミンチになる訳じゃないですから」

「なお怖いわ!!」

「ちょっとスキャンするだけですから、痛くないですし。早くして下さいね」

 にこやかに酷い事を言いながら二人はSF映画で見るようなガラスの筒の中に服を着たまま押し込められる。

「ちょっと息が出来なくなりますけど、そのまま藻掻いてもらって結構ですよ」

「えええええええ?!」

 言うなり、二人のガラスの中に水が溜まり始めた。

「お、溺れるのか?!これは溺れるのか?!!」

「あらいやだわ・・・・水死体って美しくないって言うのに」

「そこじゃない!そこじゃないから!!」

 凄い勢いで水は溜まり、あっという間に頭の先まで水に浸かった。

 しかし、息苦しいのは息苦しいが、普通の水とは何か違った。

 なんだか魚になった気分が味わえたが、それも少しの間だけだった。

 一気に水が引き、ガラスの中から出され、香陽と水輝は顔を見て絶句した。

領主達のうんざりはこの夫婦の喧嘩っぷるぶりに当てられるからです。喧嘩6割デレ4割。

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