それじゃあ、なんてつまらないでしょ?
それでは半年後に、と言う事で今までの突っ込みやその他諸々をすっ飛ばすように和やかに話が進む。
ただ、この世界に登録をするためにどうしてもあちらの研究所へ行かねばならないのは変わらないらしい。
「まぁ、それぐらいなら良いよね」
「そうねぇ。ID登録に区役所へ行くような物なのかしらね」
何をされるのか判らない不安よりも見た事のない世界を見られる期待に水輝は目をきらきらとさせている。
その様は本当に非の打ち所のない美少女だ。
「では、お二人はこれから中央へ行って貰いますが・・・・・」
「が?」
「・・・・ご武運をお祈りいたします」
心底心配そうに領主が神妙な表情で見下ろしてくる。
はっ、と周りを見回すとベイジルもうんうん、と頷いている。
「え、ちょ・・・何ですかそれ・・・魔王でも倒しに行くみたいな・・・・」
「まだそちらの方がマシです。ええ、実体があるだけマシです」
「だな・・・・アレは魔王倒しより何十倍も苦痛だった・・・」
この二人がそこまで言う『アレ』に見当が付かない。
どういう事だと問い詰めたが二人は頑として口を割らない。
「まぁ・・・死ぬ訳ではありませんから・・・言ってみれば判ります」
領主が本気で心配そうな表情で訴えてくる。
よく見れば白黒クラゲも心底うんざりした表情で項垂れているのが見える。
どういう事なんだそれ・・・・。
なんて考えてた頃が自分にもありました。
ええ。
水輝と二人、現在まっただ中うんざりなう。な状態である。
もう良いよ、好きにしろよって言いたいぐらいだ。
とりあえず、室温が+5℃ぐらい上がってる気がする。
「母上ー!見て下さい!私取ってきました!」
と見せるのは見事な松茸・・・卑猥な意味でなく、ガチ1本ん万円しそうな菌糸類の方だ。
それも大人が両手で抱えるぐらい大きなカゴに山盛り。
タケノコ掘ってきたんじゃねーだろこれ。なぐらいである。
「あー・・・うん、頑張ったね」
苦笑しながら頭を撫でている女性はどうやら彼女の母親らしい。
色彩違えど顔はそっくり同じである。
ただ、その彼女の背後にはあの白い男がいる。
「この間母上がドビンムシ食べたいと仰ってたのでちょっとイフのおっちゃんと一緒に行ってきたんですけど」
イフってまた誰かの名前が出たがさっぱり判らない。
「ちび・・・・・イフは一応族長だから忙しいんだぞ・・・・しかも奥方が今二人目出産した後で大変なんだから余り迷惑をかけるのは良くない」
「いえ、イフのきらきらさんの分も入ってます。母上の事だからウサギさんときらきらさんにもお渡しするだろうと思って!」
ああ、よく行き届いた生意気なお子様だな・・・この子・・・と何となくやるせない家族の会話。
だからあれだけの量なのか、とまぁ納得は出来たけれども。
「じゃあ、ちびはイフの奥方と王妃のところにこれを持っていってくれる?」
「勿論です!母上のお願いは私にとって第一至上命令ですから!」
「そうか。じゃあ頼んだよ。行き道の古代竜には喧嘩売らないようにな。あれ一応陛下のペットだから」
「了解です!と言うか彼は私のダチでありますから!」
古代竜と友達の幼女ってどんなジャンルだよ・・・と本気でため息を付きたくなる、と言うか香陽は既にため息しか出せない。
水輝はあらあら、とほほえましそうに見ている。
どこまで図太い友人なのだろうか。
そしてそんな幼女が消えてから、空気が変わったのは気のせいでは無いはずだ。
もうそろそろ彼女らもおうちに帰れそう・・・・なのか?




