愛と勇気だけが友達=モニター?
とりあえず百聞は一見にしかず。
そんな事を言いながら連れてこられたのはとても現代チックなモニタールームだった。
「おう、テレビ・・・・」
「と言うより液晶ディスプレイみたいねぇ・・・」
そんな事を言いながら画面に触れたその感触は予想を遙かに越えていた。
ぶにょん。
ぷるるん。
「・・・・・まぁ」
「プリン?ゼリー??」
硬い金属の感触がするかと思いきや、それはとても柔らかかった。
なんちゃって見かけである。
「どちらかと言うと寒天に近い素材らしい。落としても割れない」
ぺい、とモニターを持ち上げて軽々と投げるベイジル。
モニターはぶにょんぶにょんべちょ、と2回跳ねてから折りたたまれるように曲がって床に潰れた。
機能自体は全く問題ない状態である。
「ふぁ・・・ファンタジー・・・・っつーかSFかこれ・・・・」
「もはや何でもありもここまで来たらって感じなのかしらね・・・・」
寒天モニターには流石の水輝も驚きと呆れが混じったらしい。
床でへちょっているモニターを指でぷるぷる突いて確認している。
「・・・はっ!?まさかこれ飢えた時に・・・・・っ」
思いついた危機感のまま香陽がアイヴァンを見る。
きっちり5秒香陽を見つめ返して、確かに頷いた。
「まじかああああああああああああああああ!」
どうやらこれ、非常食でもあるらしい。
ない、マジでない。普通じゃない。
とんでもファンタジーもここまで来たら異常としか言いようがない!
「と言ってもそこの縁回りだけだが」
「謝れぇぇぇ・・・・・愛と勇気だけが友達のキャラクターに謝れええええええ・・・・」
「いや・・・そんな物ではないんだが・・・しかもそのまま食すのではないし・・・」
香陽の打ち砕かれたその表情と所作に・・・・と言うか膝を突いて床をばんばん殴っているのだが。
その背中にアイヴァンが苦笑しながら伝えた所によると。
『寒天なので培養するためにあるだけで、そのまま食したら雑菌だらけで食えないよ。』である。
愛と勇気だけが友達のアノキャラクターも言わば抗菌コートでもしてない限り拾い食いとなんら代わらない雑菌繁殖なのだがそこは夢を見ている小さなお友達のために割愛である。
ちなみに何の因果かそのキャラクターはこちらの世界にも勿論伝わっている。
版権問題はどうなるのか不明だが、それで商売をしている訳ではないので大目に見て貰いたい。
「言うなればインスタント食品を作るための下地のようなものだから大丈夫」
『500年の間に随分と発展したようだな・・・・・このような面妖な物体が出来ていようとは』
「急速にあちらの科学を取り入れて融合しましたから」
そう言いながらアイヴァンが叩いているのは紛うことなくキーボードだ。
それも108キーボードでかなと英字が書かれたそれだ。
へちょっているモニターとは別の寒天モニターの画面に流れていく文字は良く判らないが恐らく座標とアドレスなのだろう。
「これって通信用なのか・・・・」
「そちらのように電子による光通信ではなく魔導によるエーテルと雷の融合によるネットワーク通信ですのでそちらよりも速度は倍は速いぞ」
ふふふふ、と笑うその表情は若干マニアックが入っているが無視しよう。
そうしよう、と香陽はあきらめの境地へと達していく。
ここも突っ込んだら負けな所だ。
ポン、と軽い音がしてモニターに映像が浮かぶ。
同期しているのかへちょっているモニターもなにやら光っている。
と言うかいい加減モニター戻せよ。と香陽は心の中だけで穏やかに突っ込む。
『お久しぶりです。主席』
そこに現れたのは穏やかそうな表情をした赤髪の男だった。
何か段々予想と違うところへ着地しそうで自分でもどうしよう状態です・・・・。




