魂の考察は現在判明しておりません?
とんでもファンタジーはまだ続くのか、と香陽はいい加減遠い目をする。
それを見ていた大本の原因であるエーヴァルトは香陽の様子を苦笑しながら何も言わずに見ている。
「つかさ・・・・何で私、このおっさんに取り憑かれてるんだろ・・・」
根本的な原因を香陽が呟いた事で領主は苦笑した。
その問題は領主にも掛かってくる問題だからだろう。
「大雑把に言うならば生まれ変わり・・・・なんだろうな。俺の方で調べた結果は魂が酷似しているから出てきた、と中央の研究員の報告だったが」
「なんですか、それ」
きょとんとした香陽と水輝に領主が説明する。
生まれ変わり、と一口で言っても皆が皆前世を持ったまま産まれる訳ではない。
転生の結果次第では生前と全く違う魂の形を持って生まれてくる場合が殆どで、その場合前世という物は表層には現れない。
そして転生は一度ではなく何度も行われる。
魂とは固定の形を持たないエネルギーのような物と言うのがこの世界での定説だ。
「表層にこういった形で前世が出てくるのはおそらく魂の器がその前世に近しい形をしているから波長が合いやすい、と」
「身体的な特徴ではなくな・・・・」
そう言われて領主と白黒クラゲを交互に眺める。
水輝はこちらを見ているのを考えると同じような事を考えたのだろう。
クラゲ二人の姿と領主・香陽の姿は類似する所などどこにもないからだ。
「性別すら違うのに現れるのはまぁそこそこに珍しいらしいが全くない訳ではない」
「ふーん・・・・。でさぁ、おっさんらはこの先どうしたい訳なんだろうか?」
言うなれば未練があるからこんな形で出てきている訳だろう。
その未練が解消されれば消えるのか否か。
「こんな物抱えたまま人生過ごしたくないんですけどね・・・」
「あら、コウヤちゃん・・・・素敵な男性が傍にいて良いじゃないの」
「趣味じゃねえ」
と言うより恋愛そのものに興味がない。
そんな物考えた事すらない香陽である。
「お約束の展開なら、ここで領主様と恋に落ちるんでしょうけど・・・・・・コウヤちゃんですものねえ・・・」
「そんなテンプレいらねええええええええええ!のーせんきゅう!!!」
『それは直接的に領主が気に入らない、って事か?』
今まで黙っていたエーヴァルトが苦笑しながら口を出してきた。
「そうじゃない。そもそも恋愛なんぞしてる場合か?私は元の世界に帰って無事平穏な人生を送りたい訳よ。とんでもファンタジーは真っ平なの!」
「でも行き来は出来る訳でしょう?」
「え、なに?遠距離恋愛でもしろと?水輝さん??」
「だってこんなに素敵な方なのよ?」
「じゃああんたがこの領主と恋愛しろ!ぴったり当てはまって丁度良いわ!」
春の女神級美少女と超絶美丈夫の恋物語なんぞファンタジー王道すぎるが。
しかし見た目だけで行くのならばこれ以上とないベストカップルである。
写真に撮れば一財産築けそうな気がする。
「うーん・・・・・・エーヴァルト様なら考えないでもないけれど・・・・理想ど真ん中だし」
「この筋肉至上主義があああああああ!!本当にお前は残念な美少女だよおおおおっ!!」
こんな状況においてもむさ苦しい傭兵のおっさんが理想だと言う水輝に何故か白黒クラゲはうんうんと頷いている。
クラゲの分際でノロケかコノヤロウ、と香陽は拳を握りしめる。
『この場合、ここまで美形な領主が女二人に振られている事に慰めればいいのか・・・・しらね・・・?』
己の宿主を見ながらぼそりと呟いた言葉に領主はがっくりと肩を落とす。
「いや・・・・結構。と言うかそもそも出会ってすぐ一目惚れとかそういうのに陥る状況じゃないと思うんだが」
『まあそうだわねぇ・・・・何せ私もあいつもクラゲで一括されてるし』
『中々斬新な感性ではあると思うが・・・女性としてどうなのかと若干心配ではある』
「おっさんがいうんじゃねええええええ!」
『む・・・・』
500年前に人気者(?)だった傭兵も現代女子高生に掛かれば形無しになるのだった。




