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閑題休話に見せかけて?

 結局何の為に呼ばれたのか判らないまま香陽と付き添い状態の水輝は勧められるまま優雅なお茶会へと突入する。

 その間にベイジルは中央にあるお役所に二人を帰還させる為の準備に連絡を取りに行く事になった。

 ちなみにそのお茶はこちらの紅茶と全く同じ味がする物だった。

「見事に紅茶の味がする・・・・」

「美味しいわね」

 紅茶を飲み、受け皿に乗せる。

 ただそれだけの動作が見事なまでに美少女を演出している水輝に、香陽はため息をつかざるを得ない。

 それもこの背景に見事に溶け込み、元々この世界の人間でしたと言わんばかりのはまりっぷり。

 けれども中身は筋肉フェチ。

「そういえば」

 カチャン、と音を立ててカップが置かれる。

 この場にいるのは二人だけではなかった。

 先ほどから領主と呼ばれたあの美丈夫も一緒にいる。

 水輝と並んで座る姿は一枚の絵と思わせるほどのお似合いっぷりだ。

 普通の感性を有した女性であれば余りの神々しさにため息どころか涎を垂らしてかぶりついて見ていたいだろう。

 例え背後に白黒クラゲのような美人浮遊霊をつけていても。

「君らはどこの国から来たんだ?」

 まっ先に聞かれて然るべき情報を今ここで聞くのか、と香陽は心で突っ込む。

 もう口に出すのもめんどくさい。そんな心境に到達して通り過ぎてしまった。

「日本です。ご存じですか」

「ああ・・・・・王妃の故郷か・・・・」

 ふむ、と領主が頷く。

「ご存じなのですか?」

「ああ。王のご母堂・・・・元王妃の故郷でもある。あの方のお陰でこの世界に日本食がもたらされたと言っても過言ではない」

「え、あるんですか?日本食」

 もはや何でもありかよコンチキショウ、と口の中で香陽がぼやく。

 ファンタジーなら何でもあれば良いってもんじゃないんだぞコノヤロウ、など。

「お陰で食に関してはかなりの幅が出来た。しかも日本食は栄養価も高い上に保存も利く物がある。納豆とか」

 洋風美丈夫の口から『納豆』の一言はかなりの破壊力だ。

 確かに香陽も納豆は食べる。毎朝必ず小鉢にお徳用パックの某会社の納豆が食卓に上がる。

 しかしその納豆は一部関西圏や海外の人間には受けが宜しくない。

 あの匂いがどうしてもダメだと、納豆嫌いの理由に必ず上位に食い込む理由で。

「な・・・・納豆があるファンタジー・・・」

「納豆だけじゃなくサバ鮨もあるしくさやもあるぞ。後お茶漬け用にお漬け物も」

「ぐあああああああ!やめろおおおお・・・・!」

「食文化が豊かなのですね」

「かなりの頻度で異世界からの人間がこちらを渡ってくるからな。中央ではそういう他の文化を研究して取り込む機関もある。魔法が優れた世界やそちらのように様々な食文化を持つ世界。それらを上手く取り込み発展させていくのはこの世界では大きな仕事の一つだ」

「素晴らしい試みです。今の政治家に聞かせたいぐらい」

 ほわほわと微笑む水輝の意見に香陽も心の中で賛成する。

 それぞれの文化の良い所を抽出して取り込む。

 それは発展するために良い事だ。

 勿論危険性も考えた上でやっているのであれば。

 優れた力は1歩間違えれば優れた凶器でもある。

 が。

 一介の女子高生がどうこう考える問題ではないので香陽はそこまでで思考を放棄する。

「そういえば・・・・領主ってえらい人?」

 話題を変えるように呟いた香陽の言葉にクラゲ状態二人が首を縦に振る。

 ああ、やっぱり・・・と香陽は紅茶を飲み干してカップを置く。

「しかし俺は領主と言ってもこの一部地域を治めているに過ぎない。俺の上にはまだ種族を束ねる族長がいる」

「普通は逆じゃないの?それって」

 はて、と香陽が首を傾げる。

「この世界は王を頂点として、各種族の族長、その下に領主がいる。少数部族ならば族長がそのまま領主を兼ねている所もあるが」

「言うなれば族長ってのが昔で言う所の侯爵で、領主ってのは公爵以下の地位と?」

「まあそんな所だ。族長は名前はなくその種族の名前を冠している。そちらで言う所の召喚獣の名前だな」

「王様も?」

「王もだ」

 やっぱりとんでもファンタジーだよ・・・・、と香陽は心底疲れたようにため息をついた。

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