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現実逃避に必須なのは?

 世にも珍しい幽霊の再会劇。

 感動を呼ぶ前に白けるのは自分だけなのか?と香陽は生ぬるくそれを見つめる。

『どうしてもっと早くに来ないのか・・・・っ!待ちくたびれた!』

『と言うことはずっと待っていてくれたと言うことか・・・・』

『ち、ちが・・・・そう言う事じゃなく!!』

『事実であろう?』

 ツンデレ白黒クラゲとそれをも抱擁する赤クラゲの舞台劇。

 今なら出来る、砂糖が吐ける!と香陽は心の中で絶叫する。

『お前が待ってろって言うから・・・・!』

『嫌なことは何一つしないお前がこうして待ってくれてたと言うことはそう言うことだろう?』

『おま・・・・えは昔からそうやって・・・・!』

『違うのか?』

 イチャイチャベタベタ。

 正にその通りにしか言いようがない幽霊のラブシーン。

「ウォッカをくれぇ・・・誰か強いお酒をくれぇ・・・・・」

 こんな物が一時どころじゃなく張り付いてた事に香陽は強い目眩を感じる。

 ああ、そう言えばそうだった。夢でもそうだった。

 まるで自分とは思えないべったべたな騎士のおっさんらしいテンプレ通りの言葉を吐き続けてたよ、忘れてたよ!と思い出す。

 これで女をコマしたことはないだなんて嘘だろてめぇ!である。

「コウヤちゃん、未成年の飲酒は禁止よ?」

「うるせー・・・飲まずにいられるかぁ・・・・・うあああ・・・・・」

 余りの光景に鳥肌まで立ち始めた。

 べったべたのファンタジー再びである。

「どうでも良いんだけど・・・・・そちらさんは大丈夫なの・・・・?」

 同じく取り憑かれていたであろう美丈夫に声を掛けてみると返事がない。

 はて、と香陽が見ると、美丈夫は耳を塞いでいた。

 しかも何かをぶつぶつ呟いている。

「ああ・・・・領主ほっといていいよ。こうやっていつも見ない振りしてるから」

「はあ・・・・」

「そらそうだろ?あれだけの男前の前世らしきものが女で、しかもあんなおっさんと悲恋物みたいな事しでかしてるんだし。それも見学は女側」

 悲惨すぎる。

 しかもどう考えても自分の性的趣向がとち狂ったのかとお年頃なら悩む所だ。

「・・・・・・・悲惨だ」

「流石にそうよねぇ・・・・・ノーマルな嗜好ならそうよねぇ・・・」

 これには水輝も気の毒そうな表情を見せる。

 とても美しい物語もそうなればただおぞましい悪夢でしかないだろう。

 二人揃って南無南無、と手を合わせてしまうのは至極当然のことだった。

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